円安、半導体不足の解消で自動車株が来る!

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以下、文章化したものです。

 


今回は自動車株についてです。
 
なぜ今自動車株を取り上げるのかというと、目下円安が進んでいて、この円安の好影響を受ける代表例として自動車銘柄が上がるからです。
 
円高が自動車株に好影響を与えるのかということと、今自動車会社が置かれている状況についても説明して参ります。

円安は追い風

先に結論を言うと、私は2022年は自動車株の年になるのではないかと考えています。
 
まず為替です。
 
これは過去2年のチャートです。
 
コロナの時に一瞬だけ1ドル100円ぐらいの円高になりそこからしばらく円高傾向が続きましたが、特に今年に入ってからは一気に円安となり、足元では1ドル115円台と、これが4年8カ月ぶりの円安水準だといいます。
 
この円安の要因の最大の要因は日米金利差だと考えられます。
 
アメリカでは景気回復とかインフレの進行によっていよいよFRBが金利を上げざるを得ない状況になりつつある一方で日本はインフレも全然進んでいませんしそもそも国の債務などの状況を考えると日銀が金利を上げられるような状況ではないのです。
 
そしてアメリカが先に金利を上げ、日本は上げられないということになると、金利の高いドルへお金が流れるという動きが少なくとも短中期的には加速します。
 
それを見越して円を売ってドルを買う動きが進んで円安の状況となっているわけです。
 
円安にまると輸入価格などが上がり、また足元の原油高原材料高ということもあり、輸入企業などにとっては苦しい状況になっているのですが、一方でこの恩恵を受ける銘柄というのももちろん存在します。
 
それが自動車や機械などの輸出産業です。
 
あるいは海外で多くものを売っている企業ということになります。
 
その中でも特に代表格とされる自動車について見ていきたいと思います。
 
まず、本当に円安になると自動車会社の業績は上向くのか、あるいは株価は上向くのかというところです。
 
まずこれをデータで示しますと、これがトヨタとホンダです。
 
為替と営業利益は瓜2つの状況になっていますよね。
 
利益が増えるということは株価も同じような状況となっていて、やはり円安に合わせて株価も上昇し、足元でもこの円安を受けて株価上がっているというところがあります。
 
ホンダについてもおおよそ同じような傾向があるかと思いますが、トヨタほどは相関が強くないです。
 
しかし基本的には連動していると言ってよいかと思います。
 
一方でこれは日産自動車です。
 
2016~17年あたりは調子が良かったのですが、これは為替とは関係のないところでゴーン氏が逮捕され、そのゴーン政権の間にかなり無理な経営をしていたことが分かり、その反動で大きなマイナスとなっているという状況です。
 
これはあまり為替とは関係のない業績の悪化であったり株価の下落であったりするわけです。
 
話を戻しまして、トヨタを見れば分かる通りやはり為替が円安になると業績・株価ともに上向きやすいということです。
 
ではなぜホンダと比べたときにトヨタの方がこれほど為替と連動性が高いのかというと、それは円安がいかに業績にプラスの影響を与えるかというメカニズムを知れば分かります。
 
例えば1ドル100円が130円なった場合を仮定しましょう。
 
為替の問題ですから日本国内だけでやっていたのではあまり関係がないわけです。
 
一方で日本で作ったものを海外に持っていく「輸出」と、現地に工場を建ててそこで作ったものをそこで売る「現地生産」という2つのパターンが主にあります。
 
そしてこの輸出に関しては日本で作って海外で売るということになります。
 
日本で作る場合、原材料や輸送費は基本的にはドルベースなのであまり変動ないのですが、人件費に関しては円で払われるものですから円安だと小さくなるということになります。
 
ドルベースで見たときに原価がこの人件費の減少によって下がります。
 
一方で売価に関してドルベースで考えると一定になりますから、人件費が下がった分利益が上がることになります。
 
さらに、利益分のドルを円に直すときに円安だとその分円の額が大きくなります。
 
これほど輸出の場合はプラスの効果が大きいと言えます。
 
一方で現地で作る場合です。
 
原材料費、人権費、輸送費、全てドル決済ということになるので原価に変化はありません。
 
それから売価に関してもそこで売るわけですからこちらも変化ありません。
 
したがって利益にも変化は無く、利益を円に直した時には円安になった分の額が増えることにはなりますが、現地生産なのでここで出た利益は基本的にはもう一度ここで使うことが多いでしょうから、長い目で見た時にはあまり変わらないのではないかという見方もできます。
 
とはいえ目先の業績に関しては円安になると見かけの利益は増えることになります。
 
ただこの2つを見比べると分かるように、現地生産よりも輸出の方が円安が業績にプラスの効果を及ぼしやすいです。
 
だからこそ経団連や日本を代表する企業、あるいは日本経済全体は円安を歓迎する雰囲気になっているわけです。
 
実際に日経平均の多くも自動車関連や似たような機械関連の企業だったりします。
 
それで構成されているのが経団連だったりします。
 
なので基本的には円安が歓迎されやすいというムードがあるのですが、ただ時代は少し変わっています。
 
このグラフを見てください。
 
 
自動車に関して現地生産台数と輸出台数の比較をしてみました。
 
輸出台数に関してはこのグラフの通りほぼ横ばいですが、現地生産台数に関しては今もどんどん右肩上がりになっています。
 
つまり自動車は今海外に売ろうと思ったら輸出するよりも現地で生産しているのです。
 
これは一つには1985年のプラザ合意によって円高が急に進んだことによって日本企業が一気に苦しくなってしまったがゆえに海外で生産しないといけないような状況になってしまったということがあります。
 
円高に対して海外生産を進めたということですから今とは逆です。
 
円高になると輸出はデメリットが大きいということになりますから現実生産を進めたくなるわけですが逆に言うと円安になった時のメリットも小さくなります。
 
それが先ほど説明したように、円安が現地生産よりも輸出の方がメリットが大きいというものになってきます。
 
これを各社に当てはめてみますと、実はホンダや日産は国内生産はもう海外販売品のうち17%とか16%しか担っていないのですが、トヨタは国内生産35パーセントというのを堅持しているのです。
 
これはなぜかというと、トヨタのポリシーでもありまして、国内の産業を維持することを大きな目的にしていますからそのためにやはり海外生産ももちろん進めていますが一定程度は国内に残して輸出を進めているということになります。
 
だからこそ円安の恩恵を受けやすいという状況になっているわけです。
 
この関係性というのは一つ頭においていただければと思います。
 
トヨタが特に円安がプラスに働きやすいところではありますが、現地生産を行っていた場合も円安はプラスに働きますから、ほぼ全ての自動車会社にとって円安はプラスになると見て間違いないわけです。

2022年は自動車株の年

それでは今自動車業界がどうなっているのかということを改めて見てみたいと思います。
 
目先の課題としては最近ありました半導体不足です。
 
世界各国でPCやスマホの需要はどんどん増える一方でサプライチェーンの混乱によって新たな半導体が作れず、特に自動車向けの半導体は後回しにされてしまい、自動車が作れないという状況が続いています。
 
だからこそ各社は年間の販売台数目標をどんどん下方修正しているという状況があります。
 
また、原材料高もあります。
 
原油価格や運賃の上昇もこの原材料高に拍車をかけている部分があり、コストの増加になります。
 
そして、今説明したような円安は基本的にはプラスの状況と考えてよいと思います。
 
これらは目下の課題ではありますが、1~2年先のことを考えてみましょう。
 
今は半導体が足りなくて作れないということはありますが、幸いなことにこれは需要、つまり買いたい人が列を成して待っている状況なのです。
 
というのも直近の第2四半期の決算では各社冒頭で半導体不足により納車が遅れてしまって申し訳ございませんという謝罪から入っているのです。
 
これはつまりそれだけ待っている人がいるということです。
 
それを裏付けるように、新車が買えないなら中古車でも買いたいという人が中古車市場に流れて中古車の価格が上昇しているというところがあります。
 
これがやがて半導体不足が解消されて、この待っている人たちに車を生産できる状況になるといよいよ来年はその受注が売上として立って業績に現れてくるということが考えられます。
 
需要の爆発も想定されるわけです。
 
また、原材料高に関しても、コストが上がるというのは当然マイナス要因ではあるのですが、これは各社とも同じ状況です。
 
そんな状況の中で需要が存在するということは、十分に価格に転嫁できる可能性もあるということになります。
 
もちろん景気が冷え込んでしまったりして買いたい人がいなくなったら話は別ですけれどもそれほどシビアな問題ではないのではないかと思います。
 
この円安は企業によって大小あるもののプラスになることは間違いありません
 
したがってこれらのマイナス要因もプラス要因もいずれも短期的に見れば上向きの方向に向かっているもではないかとこういうことが考えられます。
 
もちろん長期的な課題が無くなったわけではありません。
 
中長期的な課題としてはEVシフトです。
 
トヨタなんかは遅れていると言われていますし、自動運転などの部分はテスラが一歩先を行っているようなところがあります。
 
また、カーシェア、これが自動運転とも連動しているのですが、車をシェアするような状況が続いてしかも運転手なしで街中を車が自動で走ってそれをスマホで呼ぶような世界になると自動車の台数そのものはあまり要らなくなるとも言われているので、業界全体として縮小するのではないかとも言われています。
 
こういった課題はもちろんありますがこれは10年単位での変化であり、この1~2年に関しては自動車会社の業績はほぼ間違いなく上向くというふうに私は想定しています。
 
問題はそれを株価がすでに織り込んでいるかどうかということです。
 
株価水準は、例えば今季だったら半導体不足によって生産が追い付いておらず下振れしていると考えられるので、直近の最高益の水準で計ったPERが比較的妥当なのではないかと思います。
 
それを見ますとトヨタは2018年3月期が最高益でしたからそれに対して12.3倍とまずまずの水準、ホンダに関しては2018年3月期が最高益なのですがその時は特別利益などもありましたからそれを除く最高益の2017年3月期で見ると9.5倍という数字となり、これもまずまずの割安水準です。
 
日産に関しては目先の業績はボロボロですけれどもこれも17年3月期と比較いたしますとなんと3.8倍という、割安感で見たら猛烈に安い数字が付いています。
 
これに関してはゴーン氏の無理のある事業からの回復が図れるかというところがミソになってきますが、円安や半導体不足の解消というような状況は各社とも同じです。
 
好きな会社を選んで買うのも良いですし、まるっと買ってしまうというのも手ではないかと思います。
 
トヨタは円安の影響が大きい、というように各社で特徴もあります。
 
ちなみにホンダに関して一言だけ言うと、実は利益の大部分は自動車よりもバイクで出していますから、この辺は別途検討する必要があると思います。
 
結論としては、2022年は自動車株の年になるという想定をしています。
 
株価に関しては、織り込み済みなのか否か、また人の心理もあり、難しいところではありますが、一つのシナリオとして悪くはないのではないかと思います。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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