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以下、文章化したものです。
今回はソフトバンクグループについてです。
株価がものすごく下がっていて、年初来30%下落しています。
なぜこれほど株価が下がっているのでしょうか。
なぜこんなに下がるのか
そもそもこの銘柄は持っている株式の時価に対して常に割安だとも言われています。
それでも株価が下がる理由を説明します。
端的に言うと、この株価下落の最大の理由は現在の流動性相場の終焉というところにあると考えます。
まずこの株価の推移です。
今年の始めは調子は良く株価は1万円越えというところでしたが、それをピークに12月9日の終値では5551円と、年初来から30%弱、ピークからすると半値近くにまで下がっているわけです。
直近で相場が非常に荒れて、日本株は全体的に下がっているというところはありますが、それにしてもソフトバンクグループは大きく下がっていると言わざるを得ない数字ではないかと思います。
下落している要因として最大のものはアリババの株価下落です。
中国最大のネット企業、中国におけるアマゾンのような会社ですけれども、ここの株価が下落していることが大きな理由としてまず挙げられると思います。
それから直近で滴滴、中国のUverのような配車サービスの会社が米国の上場廃止に至ったということもあります。
上記の二つからわかることは、中国のハイテク企業に対する政府による締め付けが強まっているということです。
アリババに関しては、創業者のジャック・マーが中国政府を暗に批判するようなことを言ったことが大きな問題となって睨まれて、直近では独占禁止法の違反ということで巨額の罰金を徴収されて一時は四半期ベースで赤字になったということもありました。
滴滴もアメリカと中国の関係が悪化する中で中国政府に相談無しで米国に上場したことが中国政府の中で問題になり、様々ないじめを受けて結局諦めて米国の上場を廃止しました。
ソフトバンクグループはこのような中国の会社に投資していますから、これらの事例を見れば分かる通り、『チャイナリスク』を意識しなければならない状況です。
それに加えて、直近発表された決算ではビジョンファンドの利益も直近のピークからは低下傾向が見られるというところです。
このビジョンファンドの利益というと非常に水モノ的なところがあり、普通の利益というと売り上げからコストを引いたものですが、ソフトバンクグループは投資会社の側面が強く、投資会社の利益は、ソフトバンクグループが採用している国際会計基準だと、四半期で持ち株の株価が上がったらそれが利益として計上され、次期に株価が戻ったとしたら戻った分は損失ということになります。
したがって上下動が激しくなる傾向があり、今は低下している状況です。
アリババの株価はソフトバンクグループ以上に下がっていて、年初来で45%のマイナスというところです。
この要因として最も大きなところは中国政府から今執拗ないじめを受けていることです。
急成長してきた会社ですけれども、基本的にはやはり中国のみで事業を展開する会社ですから政府に目をつけられてしまったらたまったものではありません。
同時に業績の方も成長の鈍化が見られます。
中国ではネットショッピングが一気に成長し、今やEC化率が45%と、アメリカでも15~20%と言われていますから相当高い水準です。
あっという間にネット先進国となったわけですが逆に言えば成長余地は小さくなっているということです。
それからコストもかかってきていて、利益率の低下も見られます。
もっとも、未だに年率でいうと30%ぐらいの売り上げ成長を見せているのでまだまだ成長株とも言えるわけ
ですが一方で中国ですから政府の一存で利益がまた罰金として持って行かれたり、さらには事業そのものを破壊してしまうような政策が行われるということも十分に考えられるわけです。
利益に関しては、2020年上期はコロナショックの反動で1.8兆円というとんでもない利益を出していて、それに比べると大きく減少しました。
そういう意味では目先のピークは越えたという見方が出来るわけです。
ただ、私は今説明したような内容はソフトバンクグループの大幅下落の本質では必ずしもないという風に考えています。
なぜかというと、例えばアリババが中国政府に睨まれているだとかそういった話は今に始まったことではないからです。
では本当の問題は何なのか。
それが流動性相場の終焉です。
ソフトバンクグループというと時価純資産(NAV)、持っている株式の時価から負債を引いたもの、つまり財布にいくらお金が入っているかというものが20.9兆円あります。
ソフトバンクグループの財布の中に20.9兆円入っているはずなのに、その財布を含めた株式が12月9日午前時点で11.1兆円で売られていて、ディスカウント率47%という割安となっています。
株価が下がったのはこの後のことですから更に割安となっています。
一つ目の不安要素として挙げられたのはアリババの株価が低下していることですが、持っている株式のうちのアリババの分が7.3兆円で、仮に中国政府にいじめられてこれが無くなったとしても20.9兆円から7.3兆円を引いて13兆円くらいは残るので、それでもまだソフトバンクの時価総額以上の価値があるように見えます。
したがって、これだけがソフトバンクグループのマイナス、あるいはディスカウントの本質ではないのではないかと考えられます。
では何が本質かというと、私はどんどん大きな割合を占めるようになっているビジョンファンドが重要だと考えています。
このビジョンファンドの仕組みというのは実はかなり難しいというか、金融相場の影響を非常に受けやすい
仕組みとなっているのです。
アリババやソフトバンクの携帯会社の方などは上場しているので株価が付いています。
こういった企業の評価はかなり洗練されていて確度の高いものとなり、そう大きくは変動しないことが多いです。
一方でこのビジョンファンドに含まれている株式というのは、新興企業やハイテク企業だったりして、評価が非常に曖昧でボラティリティが激しいのです。
例えばまだ上場していないような企業の取引をしようとしたときに、目安となるものが無く、鉛筆なめなめで決められている状況があります。
ではソフトバンクのビジョンファンドの時価はどうやって評価されているのでしょうか。
上場しているものは市場取引価格で見れば良いということになりますが、他のものについては『取引事例法』というものがあります。
未上場の会社には、一般的に「ラウンド」というものがあり、その成長段階に応じてベンチャーキャピタルなどがお金を入れていきます。
基本的にはその企業が成長していくにつれて入れるお金も多くなっていき、その直近の評価額を基準にするのが取引事例法です。
また、その企業と似たような企業のPERやPSR(売上高倍率)、EV/EBITDA倍率などから算出する「マーケットアプローチ」もあります。
最後に「インカムアプローチ」という、いわゆるDCF法で、将来のキャッシュフローをシミュレーションして現在価値に割り引くものがありますが、これは将来のキャッシュフローをある程度正確に予測できないと意味がないので実際にはそれほど使われていないと思います。
この分類の中で、市場取引価格、取引事例法、マーケットアプローチの3つに関しては、金融環境、すなわち市場にどれだけお金が余っているかということに左右されてくるわけです。
上場企業の株価については、特にソフトバンクが出資しているのは新興企業なので、相場が良い時はPER100倍にもなったりしますが、悪い時は当然それも下がってきます。
そうなるとビジョンファンドの持ち株価値も下がってきます。
取引事例法は、ベンチャーキャピタルがどれだけお金を持て余しているかによります。
お金を持て余している時はどんなに高い価格であってもとりあえず突っ込んでおけというような形で評価価格はどんどん上がっていきますが、逆にお金が無い時にはどんどん渋くなります。
マーケットアプローチでは、上場類似企業の株価が下がるとそれに伴って低く評価せざるを得ないという部分があります。
これらによってソフトバンクのビジョンファンドの評価額というのは変動しやすいというところがあります。
しかも金融環境が今金融緩和の相場が佳境を迎えていて、FRBがテーパリングを想定より早期に行う動きを見せています。
ビジョンファンドの評価に関しては明らかに逆風です。
評価が下がるといっても一時的なもので投資している企業が成長しているなら含み損になっても持ち続けていればやがて上がるのではないかという風にも見えます。
ソフトバンクグループに今投資している人はそのNAVに対する時価の割安感で投資していると思いますが、このビジョンファンドの時価評価が下がるとNAVも低下します。
となるとディスカウント率47%というのもあまり意味の無いものとなってしまいます。
それから、エグジット、つまり売却が難しくなるのです。
エグジットするにはIPO市場やベンチャーキャピタル間の株式の売買が潤沢になっていないと簡単には売れません。
市場が悪化するとこれが難しくなってきます。
ソフトバンクのビジョンファンドは外部の投資家からお金を集めています。
その外部の投資家には結構高い配当を支払わないといけないことになっています。
持っている株が売れているうちはそこから支払えばいいのですが、売れなくなると支払いが苦しくなり、借金をして支払わなければならないということになるかもしれません。
そして、ビジョンファンドが成果をあげていないということになると、追加の資金集めも当然難しくなります。
資金がないということになると新たな投資先への投資ができなくなるという悪循環に陥ってしまう可能性があるわけです。
これらの一連の流れを見ていますと、ビジョンファンドの状況というのは金融環境が悪化すればするほど厳しくなります。
つまり金融環境とソフトバンクグループは中期的には運命共同体で、しかも外部投資家を入れるというレバレッジをかけていますから、上下動しやすいという環境がソフトバンクグループの中にあるわけです。
相場の混乱があるとソフトバンクグループの株価が大きく下がるということになります。
打率≠成果。成長株投資のミソ
ではソフトバンクグループは全く買ってはいけないのかというと、実は長期の観点では私はそこまでは思っていません。
なぜなら、長期的に見るとやはりソフトバンクグループがテキトーに投資しているわけではありませんから、その中に何倍にも成長するような素晴らしい企業、かつてのアリババのような企業が含まれているのではないかという見方もできます。
長期的に見るとこのビジョンファンドの上場している分の投資先の投資した金額に対する倍率を見ますと結構順調な成績を収めていて、何倍にもなっている銘柄も少なくありません。
一方で10分の1になってしまった銘柄もあります。
これらをトータルして1.8倍になっているというのがこれまでのソフトバンクグループの業績です。
この成長するものが増えたり、どれか一つが100倍になったりすれば、トータルのリターンが長期的に見れば上がってくる可能性も十分にあると考えられます。
これが投資家における成長株投資そのものであると言えます。
成長株投資というと、事前に確実にこうなると分かっている人はほとんどいません。
そんな中でいくつかのものに投資して、成功があれば失敗もある、そういった流れで投資するのが成長株投資のミソということです。
例えば5銘柄に投資したとして、10年後に1銘柄は10倍になり1銘柄は5倍になり1銘柄2倍になり、そして1つは半分、そして1つは0になったとします。
これに全て100万円ずつ投資したとすると、500万円が10年で1750万円となり、年率で13%の成果が出たということになります。
こういう流れが成長株投資のミソというところになってきます。
しかしこの10年前の時点ではどれが10倍になってどれが0になってしまうのかは分かりません。
それが分かっていないからこそいくつもの銘柄に分散する、ソフトバンクグループの言うところの”群戦略”という、多くの銘柄に投資をしてその中からスターの銘柄が出てくればいいという思想でやっているのではないかと思います。
となると、今この時点でビジョンファンドが投資している368社から例えば10倍になるものがどれだけあるのか、100倍になるのがもしかしたらあるかもしれない、ホンモノがどれだけあるかというのが、長期におけるソフトバンクグループのパフォーマンスの鍵を握ってくるわけです。
成長株投資で大事なのは、実は打率ではありません。
仮に他の全部が0になったとしても1個が100倍になったら最終的に大勝ちなのです。
そういうものだと思ってソフトバンクグループを見るとまた見方が変わってくるのではないかと思います。
成長株を持つ方はこの考え方を理解して投資をすると、良い結果につながると思います。
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