9月20日(火)~21日(水)にかけて日銀の金融政策決定会合が行われました。予告されていたとおり、これまでの金融政策が「総括的な検証」という形で振り返られましたが、驚くような内容は出てきませんでした。
「総括的な検証」ではデフレへの効果を強調
「総括的な検証」では、「これまでの金融政策は効果があり、デフレではなくなった」と強調しています。結論として、これまでの量的・質的金融緩和およびマイナス金利を継続するというものでした。
特に大きな変化がなかったことから、市場は胸をなでおろし、株価は上昇に向かいました。特に、マイナス金利の深掘りがなかったことから、三菱UFJをはじめとする銀行株が上昇をけん引しました。
わざわざ事前予告までした割には、これといった内容のない結論に落ち着いた印象があります。特に気になったのは、目標としていた物価上昇率2%を達成できない理由に「消費税増税後の需要落ち込み」「原油価格の下落」「新興国経済の不安定さ」を挙げて、金融政策が効果を発揮している点を強調していたことでした。
物価が上がらないのは人々が物を買わないから
しかし、私は物価が上昇しない理由は別のところにあると考えています。原油価格の下落は多少影響しているものの、消費税の8%への増税から既に2年半が経過し、駆け込み需要の反動はほとんどなくなっているはずです。また、新興国経済の不安定さは、国内の需要とは直接的な関係がありません。
物価が上がらない要因は、人々が物を買わなくなっているからです。若者は将来の賃金上昇が見込めないため、思い切った消費をすることができません。一方で高齢者も、いつまで生きるかわからないので年金だけでは不安で、お金を貯め込んでしまっています。
人々が物を買わないと、企業は思い切って投資することができません。そこに日銀がいくらお金をばらまいたところで実需は増えず、物価上昇にはつながらないのです。
止められない理由は「円高恐怖症」
それでも、なかなか効果が上がらない金融緩和政策を続けなければならないのには理由があります。それは為替の問題です。
緩和をやめてしまうと、期待インフレ率が下がり、為替が円高に振れてしまう可能性が高いのです。
為替が円高になると、輸出に依存する多くの大企業の業績が苦しくなり、アベノミクス以前のような状況に戻ってしまいます。政府・日銀はそれだけは何としてでも避けなければなりません。緩和を始めた以上、もうやめることはできなくなってしまっているのです。
緩和の副作用に気をつけよ
しかし、緩和には副作用があります。実需がないのにお金をばらまき続けていると、やがて投機的な動きに向かいます。特にお金が回りやすいのが不動産です。不動産価格はすでに高止まりの状況が続き、ところによってはバブルの懸念も生んでいます。バブルはいつか壊れるので、その時の景気の落ち込みに気をつけなければなりません。
不動産とともにバブルの危険があるのが国債です。日銀は国債の買い入れを続けていますが、国が発行した国債を日銀が買うことは、国の財政の信任を失いかねない行為です。信任を失うと、国債価格が下落し、金利が急上昇することになります。同時に急激なインフレに襲われ、年金生活者などな大きな打撃を受けるでしょう。
このような事態は、いますぐ起こる可能性が高いというわけではありませんが、同じような状況が続けばいつかは起こりうる未来です。投資家としては、そのリスクを頭に入れて行動した方が賢明だと考えます。
金利上昇やインフレが起きたとしても、国内外でしっかり活動する優良銘柄の価値が低下することはありません。むしろ、インフレに合わせて資産価格も上昇するので、リスクヘッジとしては最良の手段となるでしょう。つばめ投資顧問はそのようなリスクを想定しつつ、優良銘柄を紹介し続けたいと思います。
※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。
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