バリュー株投資とは本質的に ”嫌われ者への投資” です。インターネットによる ”炎上” は株価を大きく引き下げますが、多くの場合行きすぎてしまします。これをチャンスと見られるかどうかが投資家の腕の見せどころです。
嫌われているからこそおいしい
バリュー株投資は、株価が大きく下がった局面で買い、その後本質的な価値にまで上昇することをリターンの源泉とする方法です。
株価が大きく下がるということは、それだけ売りたいと考える人が多いことを意味します。売りたい人が多いということは、少なくともその時点で何らかの理由により「嫌われている」銘柄ということになります。
代表的なバリュー投資家であるジョン・テンプルトンの著書に以下の挿話があります。
繁盛しているレモネードスタンドが競売にかけられた。競売の参加者はわれ先にと高い買値をつけたが、そのうち雨が降り出した。すると、「雨が降ったらレモネードなんて売れない」と参加者は辞退していき、それを見てさらに周りの人も辞退した。結局最後に残った一人が安値でスタンドを買うことができ、翌週の晴れの日には大いに儲かった。
分かりやすく言うなら、「みにくいアヒルの子」への投資を目指す方法です。最初から白鳥の子では何のギャップもなく、物語にならないでしょう。どちらも冒頭でいじめられていたからこそ、状況が変わった時の感動が大きいのです。投資も同じで、今叩かれているほど、将来得られるリターンは大きくなるのです。
バッシングに擁護の声はない
企業が嫌われてしまう一つが、インターネットやマスメディアで「炎上」してしまうパターンです。今では少しでも悪いことがある、すぐにインターネットで拡散してしまう傾向があります。
しかし、インターネットの時代になってもバッシングの本質はテレビが主導権を握っていた時代から大きく変わっていません。叩かれる企業に対しては擁護の声もなく、バッシング一色になるのです。
もちろん、叩かれる理由が救いようもないほど悪いこともあります。しかし、事実をよく調べると、実は他社も当たり前のようにやっていて、たまたまその企業がやり玉に挙がっているようなケースも少なくありません。
叩かれている企業を見ると、私はアドレナリンが放出されます。バッシングされている理由は何なのか、本当にそんなに悪いことなのか。客観的な事実を整理すると、企業の価値に大きな影響がない場合も少なくありません。
バッシングを受けた企業の株価は大きく下がります。しかし、それは行き過ぎる場合がほとんどです。それでもなかなか買いが入らないのは、人間が周りの空気に流されやすいからでしょう。
株価が下がってくると、やがて企業の価値を大きく下回ります。その時こそが、バリュー株投資にとって絶好のチャンスです。周りに流されず自分で考えられる人にとっては、そのような貴重な機会を提供してくれるインターネットやマスコミは忌むべき敵ではなく、後方支援をしてくれる味方なのです。
「株価が価値を下回った時に購入する」が大原則
ただし、どうか勘違いして欲しくないのは、ただ単に株価が大きく下がればいいというわけではないということです。本当に価値がない企業だったり、起きた出来事が致命的なダメージを与えることも少なからずあります。その違いを見極めることがバリュー株投資に求められることであり、私が皆さんにお届けできる価値だと考えています。
企業の価値を見極めることは、株を買うタイミングや価格を決めることにもなります。「落ちるナイフは掴むな」とか、「上昇基調になるまで待て」というようなことを言っている文献もありますが、それではいつ上昇トレンドになるかわかったものではありません。
バリュー株投資では株価の動きとは関係なく、株価が企業の価値を下回った時に購入することに尽きます。大底で買えるわけではありませんが、チャートを見たとしてもそれは同じです。株価が価値を下回った時に買うことを徹底していれば、得られるはずだったチャンスを逃すことはありませんし、些細な株価の動きに惑わされることもありません。
「嫌われ者への投資」は周りとは違う道を行くので、最初はむず痒いものです。それでも勇気を持って投資すれば、何となく投資する場合と比較してより確実なリターンが得られるでしょう。私はその勇気を与えたいと考えています。
※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。
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