円安が止まらない!あなたは為替を本当に理解していますか?

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今円安が進んでいるのは、確かに金利差の影響もありますが、そもそも日本の経済力が弱くなっているからじゃないかという議論があります。

今回は為替についての記事です。

 

ドル円レートは一時139円台に

為替レート

2022年7月16日現在、ドル円レートは一時139円まで達し、いよいよ140円に迫ってきました。
これはいよいよ140円をさらに超えて、もっと円安になるのではないか?
そうなれば、国として厳しくなるというような論調も見られます。

実はここに大きな誤りがあります。

為替の基本的なルールを知っていれば、そういう言説にはならないはずです。
しかし世の中にはそのような誤解が蔓延していると思い、今回記事にしました。
ぜひ最後までご覧になって、為替について本格的に理解を深めていただきたいと思います。

ここ半年の為替レートが3月には114円だったのが、今や139円まで円安が進んでいます。
この円安の要因と言われているのが、日米金利差です。

 

原因は「日米金利差」

日米金利差

アメリカが金利を引き上げようとしている中で、日本の日銀は金利を動かさない。
政策金利でいうところのマイナス0.1%を維持し続けると言っています。

この日米金利差が広がるほど、資金が円からドルに流れて、円安が進むというふうに言われています。
実際これが原因となって、139円まで円安が進んできました。

ではなぜ、この金利差が円安をもたらすのか?
円売りドル買いをもたらすのかを説明しましょう。

 

日米金利差で円安になる理由・・?

円安になる理由

非常に単純な思考では、3%(の金利)でドルを運用すれば、3%の利回りが得られる。
一方で日本円で運用しても全く得られない、0%ということになると、ふと気づくわけなんです。

円が0でドルが3%なんだから、円で借りて(ゼロではないにしろ、低い金利で借りれます)それをドルに換えて運用すれば、単純に3%儲けられるじゃないか。ノーリスクで儲けられるんじゃないかと単純に考えてしまいます。

実際に今、世の中で言われているのは、こういう論調で単純に金利が高い通貨にお金が集まるということを言っているんです。
しかし世の中そう簡単ではないのです。
特に注目してほしいのが、この「ノーリスクで儲けられる」という観点です。

経済の勉強を真面目にやった方ならお分かりだと思いますが、この世の中、ノーリスクで儲けられるというのは、国際金利・リスクフリーレートとも言いますけれども、基本的には国債金利以外では存在しないとされています。

なぜなら、ノーリスクで儲けられるところがあると、裁定取引にどんどんお金が集中するので、旨味がなくなっていくのです。
その旨みが解消された結果、リスクなしで儲かるというのは、やはり存在しない。

 

ノー・フリー・ランチ

ノーフリーランチ

金融商品を買うにしても、ノーリスクで儲けられるものはないというのが経済の大原則ですし、そういった売り方をしている商品があったら、限りなく詐欺。
絶対と言っていいほど詐欺だというふうにまずは覚えておいてください。

これを経済の原則で「ノーフリーランチ」ただの昼飯はない、という意味です。
実際にこの為替について見てみましょう。

高金利通貨、例えば代表的な通貨のトルコリラも10何%という金利がついていたりして、一見ものすごい魅力的に見えます。

この右側(政策金利)を見ていただきますと、トルコの政策金利10%前後をウロウロしている高金利通貨です。
ところが、この円とのレートを見てみますと、実はここ10年以上ずっとトルコリラ安が進んでいるんです。

どういうことかと言いますと、高金利通貨に魅力を感じてトルコリラを持っていたら、持っているだけでトルコリラの価格自体がどんどん引き下がってしまって、結果金利で得られるリターンよりも、リラで損してしまっているという状況が生じてしまうのです。

先ほどの話に戻りますと、日本円を売ってドルに換えてドルで運用をしても、結果的にドルが下がってしまったら元も子もないわけです。
金利わずか3%のために10%為替が動いてしまったら、当然結果はマイナスになってしまうわけです。

しかも、この高金利通貨っていうのは、基本的には物の価格が上がっている国は、高金利通貨であることが多いのです。
インフレと高金利っていうのは、ほぼニアリーイコールなんですが、私達が本当に注目しなければいけないのは、金利差というよりも、インフレです。

よくインフレの例として提示されるのに、ビッグマック指数というのがあります。

 

インフレ=貨幣価値低下

ビックマック指数

世界中に展開しているマクドナルド、商品のビッグマックが世界中でどれだけの値段で売られているかというのが、物価を示すのです。
これが代表的な数字であると言われています。仮にアメリカでは1ドル、日本では100円だったとすると、1ドル100円という為替式が成り立ちます。

ここからインフレになったとします。
アメリカがインフレになって、ビッグマックが1ドルから2ドルに上がったとしましょう。
一方で日本はインフレになってないので、100円が100円のままだったとします。

すると、同じビッグマックがアメリカでは2ドル、日本では100円ということになり、ここに一物一価の原則で、2ドル=100円という式が成り立つわけです。
そうなると、計算し1ドル当たりに直すと、1ドル50円という数字になります。
これは円の数字が小さくなっている。すなわち円高なんです

この一物一価、購買力平価とも言うんですが、これが本質的に為替の水準を表すものとなっています。
先ほどは高金利通貨に投資すれば、儲かるんじゃないかというような話でした。

しかし金利通貨=高インフレの国ですから、高インフレの国の通貨というのは、やはり価値が目減りする・通貨価値が低下するので、結果その反対で通貨が安くなって、もう一方の通貨が相対的に上がる。
つまりこの場合は、円高になるという事象が起きます。

もちろんこれは長期的な話であって、目先の話はわかりませんが、少なくとも先ほど示したような、今ドルに買えば単純にその金利3%だけノーリスクで儲けられるというような、そんな単純なものではありません。
これはぜひ皆さん頭に入れておいてください。

では今このように、日米金利差が出ている中で、インフレ率はどうなのでしょう。

 

インフレ率は米国が明らかに高い

インフレ率

日本は直近(2022年6月末)で、インフレ率は2.5%に増え、対するアメリカは8.6%という高いインフレ率になっています。
この事例から言いますと先ほどのように、インフレが進む米国ではどんどん貨幣価値が低下していきます。

一方で、インフレ率が低い日本の方は、貨幣価値低下のスピードが緩やかです。
これが続くと、何が起こるかというとファンダメンタルズで実体経済の面では、どんどんドル安円高になっていくはずです。

実際に長期のレートを見ると、アメリカのインフレ率は、ずっと日本を上回ってきました。
その結果、為替のアップダウンはあるにしろ長期的に見れば、やはり円高傾向というのがずっと続いています。

直近では円安になっています。
これは過去の推移から見ると、行き過ぎた円安とも言えます。

 

購買力平価と為替水準

為替水準

実勢、ファンダメンタルズ的な購買力平価を考えると、今はもっと円高であるべき水準です。
しかもアメリカがこれからさらにインフレが進み、日本は進まない。

今日本がインフレに進むかどうか分かりませんが、その差がある以上ドル安円高の方向に向かいやすいということになっています。

こういった話に「実際にこの日米金利差で円安になっているじゃないか」「それはどう説明するんだ」という言葉が聞こえてきそうな気がします。

 

円安チキンレース=”より馬鹿理論”

円安チキンレース

 

そこに関しても明確な理由があります。それが円安チキンレース。
すなわち「より馬鹿理論」と書かせていただきました。

これは基本的に短期の投機筋の動きだと思ってください。
今の短期の投機筋というのは、今示したようなファンダメンタルズ、長期的な本質的な価値のことを一旦無視して、目先の利益を上げようとする人たちのことです。

ここで何が起きているのかというと、「今、日米金利差があって円を借りてドルで運用すれば、儲かる」という単純な思考の人たちがいます。
実際ここまでしか考えずに単純に取引する人たちも、一定数いるわけなんですね。

しかし賢い人(今説明したようなことを理解している人)なら、長期的に見れば、そうならないということはわかっているはずです。

この両方の人がいるんです。
やっぱり単純に儲かると考えている人もいれば、そう単純な話ではないとわかっている人もいます。

ただ現実問題として、やはり単純に考える人が動き出したが故に円売りドル買いによって、どんどん円安が進んでいるのです。

最初に動いた人たちはその結果、円安ドル高が進んでいるので、金利差で儲かるだけじゃなくてドル高によって儲かるということも進んでいるのです。

従って今度は実際のファンダメンタルズがわかってる人でも、「この流れに乗っておかないと、私達も儲かる機会を失ってしまう」というふうに考えているのです。

その結果何が起こるかというと、(賢い人であっても)単純に儲かると考えている人あるいは、その流れに乗ろうと思っている人がいる限り、乗っておこうと考える人がいるのです。

すなわち、円売りドル買いを進めようとする人たちが出てくるわけです。
これが分かっているかどうかに関わらず、もっとその愚かな人といいますか単純な思考の人たちがいる限り、円安が進むだろうというふうに乗っかっていきます。

その結果、鶏と卵の関係で、単純に考える人がいるから円安ドル高が進む、それに乗っかろうとする人がさらにいるから、さらに円安ドル高が進むという流れがどんどん加速していくのです。

これが「より馬鹿理論」と呼ばれるものです。
実は為替だけではなくて、株式でも起こる現象です。
しかし、これまで説明したようにこれは短期的な動きです。

例えば、円を借りてドルを運用していると、借りた円はどこかで返さなければなりません。
従って今まで出た利益を確定させようと思うと、今度はドルを売って円を買って、円を返すという動きが起こります。
すなわち、ドル売り円高の流れが起きるのです。

こうなると早く利益を確定させたいっていう渦がどんどん巻くので、その人達もどんどん我先に我先にとドル売り円買いをすすめるのです。
その結果、この流れが逆転したら、必然的に(ファンダメンタルズでは、今、円高の傾向になっているはずなのに)そこに向けて一気に進む可能性が高いということになります。

これは決して為替に限った話ではなくて、株の信用取引も同様です。
ファンダメンタルズで考えて明らかに割高なのに、もっと買う。
より馬鹿な人がいるだろうと考えられるからこそ、また信用取引でどんどん買っていく。

その結果、買い残というのが、膨らんでいって、それを利益確定しようと思った瞬間にその逆の流れが起きて、一気に株価が下がるということが起きます。
得てして株価も為替もこういった動きがほうぼうで見られるということになっています。
ぜひ皆さんにこの動きをご理解していただければと思っております。

ちなみにいくつかの証券会社で、高金利通貨のスワップポイントというものを売っています。
金利差だけはそのノーリスクで儲けられるよというようなことを謳っているんですが、一方でこのトルコリラ自体が、理論的には下がるということを伏せて売っている。
ノーリスクの金利差のリターンというのをうたっているところがあります。

しかし今示したように高金利通貨っていうのは、下がりやすいというところがあります。
ノーリスクで金利をもらえるなんて美味しい話はありません。
ぜひそこは気をつけていただければと思います。

実は私が出演させていただいたある証券会社のセミナーでも、そのようなことを言っていて、さすがにその場ではお客さんに言うことはできませんでした。
しかしやはりそれは望ましくないことだと考えて、私はその証券会社のセミナーに出るのをもうやめることにしました。

 

通貨は自国の経済力を表す?

為替は自国の経済力?

ここで、もう一点、反論が出てくるんではないかと思います。
それは、円安が進んでるのは確かに金利差の影響もあるけど「そもそも日本の経済力が弱くなっているからじゃないか?」という議論があります。

これは必ずしもそうではありません。
ちょっと似てる部分はあるんですけれども、例えば国家財政が破綻して、滅茶苦茶になってしまう。
その国の通貨が信用できないっていうようなことになると、その通貨が売られるということになるんですが、基本的にはGDPなどよりもその国の通貨に対する需要なんです。

通貨を使いたい人がどれだけいるかっていうことです。
実は日本は世界有数の対外債権国なんですね。
つまり外国に多くの資産を持っている国なんです。

日本の個人や企業が日本で使おうと思ったら、やはり日本円に換えるという動きが起こるんです。
これが続く以上、そんな日本円が急に価値を落とすっていうことは、私はあんまり考えられないんじゃないかというふうに想定しています。

もし急に円安が進むことになったら、それはもう日本人が円を放棄したときです。
今全く日本人が信用できないから、日本の中でもドルで取引しましょうというようなことが起きると、いよいよ急速な円安が進むと思うんですけれども、今そういった動きは全く見られていないです。

もし将来的にそういうことがあったら、いよいよ注意すべき時だとは考えますが、当面そういったことは起こらないというふうに考えます。
本当に弱い通貨というのは、その国の通貨は本当に使えません。
自分の国の通貨じゃなくて、あくまでドルで払えというようなことを言われるようになります。

実はそういうのが結構当たり前の世界があったりします。
ぜひ、海外旅行に行ったときにそういったことも見て感じていただければと思います。

まとめ

最後まとめますと、日米金利差は本質的に円安要因ではない。
基本的にこれは、調整されるものです。

高金利通貨は高インフレ通貨なので、基本的には逆に目減りしていくはずです。
むしろ円高のインフレ率が高い米国の方がドル安で、日本はインフレ率が低いので、これは円高傾向にあるはずです。

ファンダメンタルズ的には、目先の話を言うと、短期筋の動きによって、円売りドル買いが進むというチキンレース。
「より馬鹿理論」が続いているのです。

このチキンレースが続く限り、円安が進む可能性があるんですが、チキンレースというのはどこかで終わります。
やがてこれが崖に差し掛かるのです。
その瞬間に一気に円高になる可能性が十分にあると考えます。

もちろんこれはいつになるかはわからない。
すぐかもしれないし数年後、5年後10年後になるかもしれない。

ただ、ずっと円安になり続けるということも、理論上はないというふうに考えます。
もし、本格的に円安になるとしたら、いよいよ日本人が円を捨てるときだというふうに考えます。

いかがだったでしょうか。
この記事は、目先のドル円レートを予想するものではありません。
しかしこういった背景があることを理解して、投資や経済活動に取り組むことで、より落ち着いた腰を据えた動きができるんではないかと思います。

ぜひこの機会に為替についても、学んでいただければと思います。

この内容はYouTubeで動画による解説も行っています。

 

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