今日はソフトバンクグループについての記事です。
ソフトバンクグループが第1四半期の決算を発表しました。
なんと3.2兆円もの最終赤字を記録しました。
この赤字、ある意味予想できたものかなと思います。
ソフトバンクグループは、今や「投資会社」になっています。
その投資のやり方が、素人がやってるんじゃないかというぐらい杜撰なものです。
それは、投資の神様と言われるバフェットの投資法と対比することによって、より鮮明になるわけです。
今日はこのソフトバンクグループの運用が、いかに素人的なものなのかということを詳しく解説したいと思います。
目次
第1四半期で3.2兆円の赤字
まずソフトバンクグループの赤字ですが、第1四半期3兆1627億円の赤字で、前四半期も2.1兆円もの赤字を記録していましたから、合わせて5兆円もの赤字になるわけです。
ただ、ソフトバンクグループの赤字は、かなり特徴があります。
3兆円の赤字を記録する前には、20年度の第4四半期には2兆円の黒字を記録するぐらい、一時は調子良かったこともあります。
なぜこんなにアップダウンを繰り返すのかというと、ソフトバンクが投資会社だからです。
国際会計基準によると、持っている投資証券の株価が上がった下がったというのが、すぐさま損益計算書に反映されて、株価が減った分は途端に丸ごと赤字になってしまうのです。
ゆえに株価が上がってるときは当然、大きく黒字になりやすいですし、逆に株価が下がっているときは赤字になりやすいという環境があるわけです。
そんな中で、今アメリカ中心に株価が下がっています。
特にソフトバンクが投資しているようなハイテク企業が厳しい状況です。
それによって、このわずか四半期3ヶ月で3.2兆円もの赤字を記録してしまったということになってくるわけです。
ソフトバンクグループは、投資会社と言いました。
実は、携帯会社のソフトバンク(ソフトバンクKKと言います)このソフトバンクKKは、今別で上場しています。
そちらは安定した業績を残しているのです。
赤字の原因はビジョンファンド
ところが、ソフトバンクグループという持ち株会社のメインとして据えているビジョンファンドが振るわない。
持っている株が下がってしまったということで損失を計上しているわけです。
このビジョンファンドにどういうものがあるかというと、上場株だと、ウーバーとかアリババとか、そういったところに投資しているわけです。
一方で、多くの400社以上の未上場株にも投資しています。
この未上場株というのがAIなどIT関連の企業に投資している。
まさにソフトバンクグループ、IT革命を起こすということを社是として掲げていますから、それを投資の分野で実践しようとしているわけなのです。
ところがこのITというのが、高成長を期待されて、非常に株価が上がっていた。
あるいは(未上場企業のバリエーションというんですけれども)未上場企業の評価というのも非常に上がっていた。
これをユニコーンと言ったりするんですが、それが高い評価をされたおかげで、一時3.6兆円という一時的な利益が上がっていたのです。
ビジョンファンドの利益は帳消し
ところが、絶好調だったのがコロナ直後の金融緩和のときだったのです。
金融緩和のときっていうのは、金利が下がってお金がジャブジャブに膨れ上がりますから、そういったお金がどこに流れるのかというと、これから成長するとみられるITだったりとか、AI、そういったところにお金が流れるのです。
いわゆる「バリエーションが切り上がる」ということです。
上場株も同じように上がって一時は絶好調というところだったんですが、それって結構実態がなかったりするのです。
少なくとも事業としてはあるかもしれないですが、利益を出していない。
けれども将来への期待でバリエーションが切り上がっていた。
そういった企業が少なくなかったと考えられます。
結果それでどんどん下がってきまして、ソフトバンクビジョンファンドの累計損益は、一時期7兆円もの利益があったものがガガっと減ってしまいました。
今、評価を改めて見直した結果、わずか1100億円の利益。
つまりもうほぼ元の木阿弥になってしまったというような状況なのです。
この数年間がまるで水の泡というような状況です。
実は(別の動画でも解説しているのでそちらで詳しく見ていただきたいんですが)特に上がっていたときは、いわゆる未上場株のハイバリュエーションって非常に問題なんじゃないかと思っています。
今金融緩和とかコロナ後のITへの期待ということで、すごく高くなっていましたが、それって、金融緩和が終わったり、期待が剥げたときには、一気に落ちるんじゃないかということです。
今まさにそれが起きているわけなんですね。
当時は砂上の楼閣という表現をしていました。
まさにその砂上の楼閣が一気に崩れてしまっているというような状況です。
しかもあろうことか、そういったバリエーションが切り上がっている、株価が割高なときに、このソフトバンクグループはたくさん、しかも400社の小さい企業に投資をしたのです。
400社もあったら、どんなに頭のいい優れた人がいたとしても管理しきれないですよね。
その中から、とんでもない成長企業が出るんじゃないかということで、いわゆる半分博打的に投資している側面が否めないわけです。
孫社長 敗戦の弁
孫社長が敗戦の弁を述べています。
「そもそも実態が悪いということは、包み隠さず説明します」ということです。
さらには先ほど言いました通り、株価が高いときにたくさん投資していた。
その時はどんどんいけるんじゃないかということで、有頂天になっていた。
利益が3兆円4兆円と上がっていたときですから、もっといけるんじゃないかと人間心理としてはわかります。
けれどもそういったときにこそ、ブレーキをかけなきゃいけないのが、実は投資の本質であったりします。
そして逆に今株価も下がって、人々のこの投資意欲が失せつつあるときです。
まさに社長もその流れに沿って、今は投資を抑えるときだということを言っています。
単に投資を抑えるだけではなくて、ビジョンファンドも企業で人を雇って、新たな企業投資すべきを「探すハンター」と言っていましたけれども、そういった人を雇っていました。
そういった人たちも、リストラしてコストを削減すると言ってるのです。
これって「どっかで見たことあるぞ」という風景なんです。
というのも、まさに素人、投資を始めたばかりの初心者が落ちてしまいやすい流れなのです。
私自身が投資顧問やっていますから、実際に初心者の方も多く入会してきます。
(初心者の方は)そういった株価が高いときに、ついつい手を出してしまう。
これは、ある意味誰もが通る道ではあるんですが、まさに素人。
今始めたばかりの人が陥ってしまう内容なのです。
5兆円の赤字でもビクともしない
そこで、思い返したいのが、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットです。
実はウォーレン・バフェットもソフトバンクと同じように、投資会社の会長なのです。
そもそもこの孫さんが「投資会社を始めたい」「ソフトバンクの投資会社にしたい」と言ったのも、ある意味ウォーレンバフェットに憧れを抱いていたからだということが、過去の決算説明会からも読み取れるわけです。
バフェットが運営するバークシャーハサウェイも投資会社ですから、今の目先の株価の下落、アメリカ企業の株価の下落の影響は、避けられないわけです。
じゃあどうなっているのかというとこのバークシャー、何と同じ4月から6月の3ヶ月で最終赤字5兆円出しているのです。
「あれ?ソフトバンクの3.2兆円より大きい。」と思いますよね。
当然企業規模違いますけれども、5兆円もの赤字というとやはり相当なことです。
しかし、たまたま日経に出たもので(決算発表の写真というわけではないんですが)おおよその数字はわかっている中で、これが株主総会のときの写真です。
バフェット、笑顔でニコニコしてます。
先ほどソフトバンクの孫社長との表情と180度違うわけです。
バフェットは、この5兆円もの赤字を出して、なんでこんなにニコニコしていられるのか?
不思議じゃないでしょうか?
バフェットが平気な理由
実は目先の数字は、ソフトバンクとバークシャー、全く一緒と言っても過言ではないわけです。
しかしこれだけの表情の違い、何が起きてるのかっていうことです。
それは、これまでバフェットが喋ってきたマニュアルレポートで発信してきたことから、ある程度読み取れるわけです。
というのも、バフェットが平気な理由として、マニュアルレポートの2017年で、こういうことを言っていました。
「信号はいつでも黄色を飛ばして、青から赤に変わる」
すなわちどういうことかというと株式市場は、目先非常に好調だと思っても、そこから少し危ないと言って急に悪くなるわけではなく、あるとき急に悪くなることもあるというのです。
それほど、移り気なものであるということを、まず認識しなさいということから始まっています。
そして波が引いたとき、つまり株価が下がったときに初めて、誰が裸で泳いだかわかるということです。
波が上がっているとき、みんなが絶好調で、どんどん投資しよう投資しようと言ってるときは、誰がちゃんと投資できていて誰がちゃんとできていないのかわからない状況です。
しかし波が引いてくると、いよいよそこであぶり出されるわけです。
エセでやっていた人が。
ある意味、今回のソフトバンクの運用がまさにそういうことだったんではないかということが伺えるわけです。
こうやって株価の動きを見ていると、孫社長は株価が下がったときには、ものすごく落ち込むわけです。
大きな損失も出してしまっています。
株価が上がっているときに有頂天になって、株価が下がったときに落胆する。
そんなことを繰り返さないといけないのです。
一方でバフェットがなぜそれをする必要がないかというと、株価ではなくて、企業に投資しているからです。
つまり、素晴らしい企業が素晴らしいビジネスを行って、利益、付加価値を生み出せば、やがて、それが企業を大きくして、その利益が再び企業に返ってくる。
そのことによって企業がさらに大きくなるということで、長期で成長する。
それが企業の価値である、価値に投資をしているということになるわけなんです。
その価値、企業とか価値を見ているからこそ、株価の動きに一喜一憂する必要はない。
5兆円の損失を出しても悠々としていられるわけなのです。
実際にバフェットは投資会社の会計基準に文句を言っています。
私達が投資している企業は、こうやって何も変わっていないのに株価が上がった下がったからといって、これだけ目先の業績が赤字になってしまう。
あるいは黒字も同じようなことなんですけれども、黒字とか赤字に大きく振れてしまうのは、会計基準がおかしいとすらマニュアルレポートで断言しているのです。
それ程バフェットは、この企業とか価値というところに自信を持って投資をしているということが言えるわけです。
そして、ここがキーポイントです。
他の人々が貪欲であるときには慎重に、他の人々が恐れているときには貪欲にと言っています。
これが投資においての最も重要なことだと私は思っています。
人々が絶好調だっていうときには、むしろ一番リスクが高いときで、孫社長のように高いバリュエーションの株を掴んでしまいます。
多くの初心者がそうなりがちなんですが、高い時に掴んでしまって、あとは損失を待つのみということがあります。
一方で、賢い投資家は、株価が下がって人が投資して上がらないときに、どんどん投資をするというような動きに出るわけです。
実際に今バークシャーでは、3ヶ月で何兆円単位もの投資を行っているわけです。
片やソフトバンクはもう株価が高いときに投資をし終わって、今は現金もなく、こんなときに投資をしない。
むしろ、ソフトバンクは今投資を控えるとき(だと考えているのです)
しかも、投資グループ、投資する能力の持っている人たちを、せっかく集めたのにもう今リストラしてしまうということになっているわけです。
こうなると、次、本当に投資したい投資先が現れたときにも、それを選別する人がいませんから、投資できるの?っていう話になってしまいます。
これが大きな二者の違いということになってきます。
素人運用とバフェット式との5つの違い
素人運用とバフェット式との違いということで、まとめさせていただきます。
①買い時
素人運用では、いつ買い時かというと、上がっているときに買ってしまうわけです。
しかしバフェット式の運用では、逆に下がっているとき、人々が恐れているときにこそ、買うべきだということです。
それは価値に対して株価が下がって、よりリスクが低く有利になっているから、と言うことができるわけです。
②下落時
株価が下落したときにどう感じるかというと、素人の運用ではもう落胆して投資はしないよというようなことになってしまいます。
しかしバフェット式運用ではむしろ嬉しいわけです。いよいよ買い時だということで動き出すわけです。
③見る物
何を見ていたらその違いが生まれるのかというと、この素人運用ではただ株価が上下するのを、一喜一憂しているわけです。
一方バフェット式では、価値や事業、企業というところを見ていますから、これが価値というのは株価が変わったからといって、そう変わるわけではないのです。
企業が1日2日で変わるようなことはないわけなのです。
だからその価値がしっかりしているかということを常に見ながら、投資を行っている。
株価が下がったところで何ら慌てる必要はないということになってきます。
④現金
では下がったときに、買うべき現金があるのかというところです。
素人運用だと、もう上がったときに買ってしまっていますからもう現金残ってないのです。
だったらもう投資をやめるか、あるいは何か売るかという動きにしか出ることができません。
しかしバフェット式運用では上がっているとき、ぐっとこらえてお金を貯め込んでいるのです。
確かにお金を溜め込むと、株価が上がっているときは、現金は増えませんから、パフォーマンスが下がります。
ただ相対的なパフォーマンスの低下というのをぐっとこらえてでも現金を持つ。
そしていよいよ下がったときに投資する。
投資してからあとは、企業が成長するのをずっと待つというのが長期投資バフェット式運用の基本です。
⑤結果
その結果として素人運用では良くてトントン。
今、ソフトバンクグループの投資がほぼトントンになりましたけれども、結局何年経ってトントンにしかならなかった。
一方でバフェット式運用は、確かにバフェットのバークシャーも5兆円の赤字を出しているので、目先だけ見れば儲かってないということになるかもしれません。
しかしその間も持ってる企業がしっかりと価値を産んでいるのです。
バフェットが投資するのは、どちらかというと安定した企業なのでその間、株価が下がったとしても配当は入ってきます。
その配当を再び安いときに安い企業のに投資していれば、まさに複利効果で株価が上がってくることになりますし、企業の価値が増えれば当然、株価も上がっていくということになってくるわけです。
孫さんも言ってるんですけれども、400社に投資しているうちの1~2社くらい例えばかつてのアリババのような素晴らしく伸びる。
アリババとかGAFAのような企業が出ればいいと言っています。
それって運用って言えるの?
かなり博打に近いんじゃない?
というようなことは、正直言えるんではないかと思います。
今こそ買うべきなときなのに、買わないというのは、そもそも、ファンドマネージャーとしては、いかがなものか?と思うわけです。
孫さんも、単に株価に投資しているわけではなくて、あくまでAIとか、そういうITの未来に賭けているわけですから、事業を見てないわけではないと思います。
だったらしかし、事業を見ているならなおさら今投資を辞めるときではなくて、むしろ積極的に攻めるときなはずなんです。
それをやっていないというのは、そもそも投資会社としてのソフトバンクグループの実力を疑うと言わざるを得ないわけなのです。
今回の動画、ソフトバンクグループはもちろんですし、投資のやり方という意味でも非常に勉強になると思います。
この内容はYouTubeで動画による解説も行っています。
動画での解説が最も早く公開されますので、いち早く情報を得たい方はぜひチャンネル登録をお願いします!
プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』
メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。
孫がダメだったのは、すぐに売れない数を持ってしまっただけだよ。素人じゃ判断も売りもできないよwww