北朝鮮リスクの高まりにより、先週は全面安の展開となりました。トランプ大統領は、減税やインフラ投資は棚に上げ、軍事作戦にお熱のようです。政策の不透明感と地政学リスクの高まりが、投資家を不安にさせています。このような時こそ、バリュー株投資家の本領発揮です。
トランプ相場を牽引した政策はどこへ?
先週の日経平均株価は金曜まで4日続落するなど、先々週末から1.8%下落しました。その要因は地政学リスクの高まりです。シリアやイスラム国、北朝鮮に対する米国の強硬姿勢が日に日に高まっています。米国が金曜にイースター休みに入ることも、資金を一旦退避させる動きを加速させました。
トランプ政権は、議会での調整が必要な医療費改革や減税、インフラ投資に見通しが立たないことから、大統領の独断で決定できる軍事や外交に舵を切っています。シリア・アサド政権への攻撃は、化学兵器に苦しむ子どもたちの映像を見て決断したということで、トランプ大統領はさながらヒーローにでもなった気分でしょう。
多くの人々から賞賛されることは、「自己愛」を極めたトランプ大統領にとっては「ごちそう」です。アメリカ国民の関心も、経済政策から軍事政策へと移りつつあります。
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これはとても危険な状態です。これまでの歴史を考えても、戦争は悲劇を生むだけです。イスラム国が誕生したのも、イラク・フセイン政権が倒れた後に国内が一層混乱したからです。オバマ政権ではその反省から、融和政策へと移行したはずでした。
トランプ大統領も、就任前は「もう世界の警察はやらない」と宣言していたはずでした。そのほうが人々の支持を得られると考えたからです。しかし、内政がぱっとしない中で軍事攻撃が支持されると気づき、あっさりと方針を転換しました。いかに短期志向で一貫性のない政治を行っているかがわかります。
話を株式市場に戻すと、ここまでの株高はトランプ政権の減税策やインフラ投資への期待が要因でした。しかし、これがうまくいかず、一方で軍事政策が支持されるようであれば、期待の根拠となっていた政策はないがしろにされるかもしれません。
もともと無理筋の政策だったのは間違いありませんから、もはやそれに固執する理由はなくなっています。市場が政権に失望し、これまでの上昇を帳消しにしてしまう日も遠くないでしょう。
相場全体の下落は「バーゲンセール」
日本株は、地政学リスクの高まりを受けた円高により、米国以上に株価が下落しています。根拠は不明な点も多いですが、実際の動きとして「有事の円買い」が起きることは確かです。
株価が下落したからと言って、慌てて保有株を売却する必要はありません。現時点の私の推奨銘柄は、為替の影響を受けにくい構成となっています。なぜなら、経済的には1ドル=100円程度が適正水準で、為替敏感銘柄は割高と考えているからです。
それでは、なぜ為替の影響がない銘柄まで値下がりしているのかと言うと、これは抗うことのできない相場全体の習性です。機関投資家は為替敏感銘柄を売却したら、ポートフォリオのバランス調整のために、他の銘柄も売却しなければならなくなります。そこに、単純なリスク回避の動きも重なり、日本株に「全面安」の展開が訪れています。
相場全体の下落は、株式の価値とは無関係な動きです。そのため、多くの銘柄で実態が悪化しているわけでもないのに安くなっている可能性があります。私はもとから価値よりも割安なものを推奨していますから、それがさらに割安になる可能性があるのです。
本質的な価値よりも割安かどうかに焦点を当てていれば、目の前の相場の動きに左右される必要はありません。価値に関係のない株価下落は大きなチャンスになるでしょう。
相場全体の動きに左右され、短期的には下落するかも知れません。目の前の相場を正確に予測することはできません。しかし、目の前の動きに左右されずに長い目で見れば十分「お得」な買い物になるでしょう。
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※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。
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