【電通】起訴でも株価が上がるワケ

東京五輪の談合事件で話題の電通ですが、今回は電通を株式投資の観点で見てみたいと思います。

なぜ事件は起こった?電通の闇

東京五輪のような公的な案件で、電通のような会社が采配することは法律上禁止されています。

しかし、実際は電通の裁量で決まっていって、裏ではお金が動いていた、という事件です。

多くの逮捕者が出て、法人としての電通も起訴されました。

なぜこのような事件が起こってしまったのでしょうか。

なぜ『電通依存体質』は作られたか?

そもそも電通はどのような会社で、どのように成長してきたのでしょうか。

元々電通は広告代理店でした。

テレビ局などから「広告枠」を買い取り、その広告枠と広告を出したい企業をマッチングさせ、マージンを電通が受け取るというビジネスです。

つまり、テレビ局等と企業の両方につながりを持っていることとなり、それが電通の強みとなります。

その後電通はビジネスモデルを発展させていきます。

まず、CMの制作も行うようになりました。

芸能人などを起用して”良いCM”を作り、CMごと企業に販売するというものです。

テレビ局は広告枠が売れるし、企業にとっても、電通に任せるだけで良い宣伝ができます。

電通はそれだけに飽き足らず『イベント運営』にも進出しました。

「モノを売るには世の中を熱狂させた方が良い」ということで、大きなスポーツイベントなどを取り仕切り、盛り上がれば、テレビ局は広告枠が高く売れるようになり、企業はそのイベントに協賛することでイメージアップできます。

そうやって、電通は”世の中を動かす力”を持つようになりました。

テレビ局や企業は、大きなことをやろうとすると”電通無しでは始まらない”という状況になったのです。

電通の力の源

電通も、ここまでの仕事をやるには相当なパワーが必要になります。

そのパワーというのは、『マンパワー』ということになるのではないかと思います。

電通マンを突き動かしていたのがこの”鬼十則”と呼ばれるものです。

この鬼十則の元、電通はここまで大きくなっていきました。

広告代理店のシェアとしては圧倒的です。

電通の闇

大きな力を持った電通ですが、時代の変化もあり、様々な歪みが生じてきました。

過酷労働による社員の自殺、力に溺れた社員の不正、また、ネット社会となり不都合な情報を抑えつけることもできなくなりました。

広告もネット広告が主流となりつつあり、従来のやり方が通用しなくなってきています。

そもそも日本のGDPが成長しておらず、広告の成長もGDPに比例するので電通も厳しくなっている側面もあります。

その結果、就職人気ランキングも右肩下がりとなっています。

人気が下がって、優秀な人材も集まりにくくなっています。

業績は実は…。電通の光

ここで業績の推移を見てみましょう。

1990年から2013年あたりまでは伸びていませんでした。

しかし、イギリスの広告会社イージスを買収してからは海外の事業を大きく伸ばしてきました。

2020年にはコロナの影響等もあり大きく赤字となっていますが、2021年には過去最高益を達成しています。

直近では「セプテーニ」というデジタル広告に強みを持つ会社を連結させました。

このように、業績を見ると実は右肩上がりとなっているのです。

売上総利益で見ても、海外が中心になっています。

さらに、今では「コンサル」の領域にも進出しています。

企業のDXなどの変革をサポートしたり、マーケティングまで担うといった”総合コンサルティング”をやろうとしています。

このように電通は、従来的な日本の広告代理店というところから脱却し、働き方も(少なくとも表向きには)改革して、海外進出やコンサル事業を推し進めるなど、前に進もうとしていることは見て取れます。

投資家的な見方をすると…

経営の部分は「まとも」であると言えます。

東京五輪談合が露呈してからも、株価はほとんど下がっていません。

投資家からの評価はあまり下がっていないようです。

今回の不祥事で、日本政府はさすがに手を引いているようですが、海外事業に関してはそれほど影響はないかもしれません。

かつてはPER30倍ほどだったことを考えると、今は割安感があり、利回りは高い水準となっています。

今の電通のような”不祥事銘柄”は手が出しづらいところではありますが、長期的に見て面白い会社だとは思っています。


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