世の中ではFinTech(フィンテック)がブームです。米国で流行が始まり、ここ1年で日本でも騒がれ始めました。
フィンテックって何?
フィンテックとは、Finance(金融)とTechnology(技術)が融合してできる新たなビジネスのことです。わかりやすいところでは、インターネット決済のPayPalやモバイル決済端末のコイニー、家計簿アプリのマネーフォワードなどがあります。要は、インターネットを活用して、お金のやり取りを効率化しようと言うものです。将来的には、個人間のお金の貸し借りである「ソーシャルレンディング」などの市場も盛んになると言われています。
それを日経ビジネスが「1兆ドル市場」と煽るものですから、市場は関連銘柄探しに躍起になっています。また、フィンテックの台頭で「迂回される」と言われた銀行も戦々恐々として、慌てて研究会を立ち上げたりしているわけです。(ちなみに、本文を読むとわかりますが、この1兆ドルは単に世界の金融機関の利益合計です。)
99%の企業は失敗する
一方で、2016年2月22日付の日経新聞で、日本IBM社長のポール与那嶺氏が興味深い発言をしています。
<フィンテックブームについて>投資家が新規株式公開(IPO)のにおいを感じ、フィンテック・ベンチャー企業に投資しているからで、マネーゲームの一環だ。いま出ているベンチャー企業の99%は失敗すると思う。
私もその通りだと思います。小口決済や個人間の貸借など、インターネットが生み出した新たなニッチ市場では生き残る可能性がありますが、大きな金額となると現段階においては銀行なしでは考えられません。
お金のこととなると、何よりも信用が欠かせません。あなたの大事な貯金を全てビットコインに換えたり、会ったこともない個人に貸したりするのかという話です。人の行動はそう簡単には変わりません。
バリュー投資家としては、流行りのテーマが出てきた時は慎重に本質を見極める必要があります。少なくとも長期投資では、フィンテックのみをテーマとした銘柄に投資するのはおすすめできません。
最も先を行くのは楽天
フィンテックと言っていいか分かりませんが、この分野で最も先を言っているのは楽天でしょう。実は、2015年の第3四半期にインターネット金融セグメントの名称をしれっと「FinTech」に変更しています。
楽天というと「楽天市場」や「楽天トラベル」を思いうかべると思い浮かべるでしょうが、グループの利益の4割はFinTechセグメントから創出されています。サービスで言うと、楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天生命などです。
楽天市場・楽天トラベルと金融事業を結ぶのが「楽天スーパーポイント」です。楽天カード発行や楽天銀行の口座開設で獲得ポイントが何倍にもなります。多くの人は貯まったポイントをまた楽天市場で使うでしょう。このポイントがフィンテックの代名詞である仮想通貨の役割を果たしているのです。
楽天市場の取扱高は既に9.1兆円に上ります。楽天市場で買い物をし、楽天カードで支払いをすることで、使いすぎた人からリボ払いの利息収入を獲得できます。ネットショッピングの市場はまだまだ伸びそうなので、リボ払いの利息収入も連動して伸びていくでしょう。
フィンテックという言葉はさておき、「インターネット金融」分野に関しては楽天の独走状態が続きそうです。
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