「利回り50%」も可能!?配当成長株投資のやり方

世の中では今、高配当株投資が流行っています。

株価の変動に惑わされず確実にキャッシュを生むということで、多くの人にとってとっつきやすいものです。

しかし、特に若い人にとってはもっと良い投資法があるのではないかと思います。

ということで今回は、”49歳以下限定”ということで、超高配当株投資のやり方について考えてみたいと思います。

高配当株投資の落とし穴

今、多くの人が取り組んでいる(取り組もうとしている)高配当株投資ですが、その落とし穴にも目を向けておいた方がよいかもしれません。

成熟産業が多い

成熟産業というのは言い方を変えると「成長が見込めない」ということになります。
配当利回りが高いパターンには、投資よりも株主還元に重きを置いて(←成長余地が少ないから)配当性向が高いパターンと、投資家からネガティブに見られていて株価が低いパターンがあります。(同じ配当でも株価が低いと配当利回りは高くなる)
成熟産業で成長が見込めない、さらには衰退していく懸念がある、たばこや銀行などがここに含まれます。
業績もそこまで伸びず株価の上昇にも期待できない代わりに配当がたくさんもらえるという、そもそもの高配当株の特徴です。

減配の可能性

これが最大の落とし穴と言えます。
配当性向の高い銘柄の魅力は、成長よりも配当の大きさになってきます。
配当が支払えている時はいいですが、事業が苦しくなって配当を減らさなければならないとなった時に、その銘柄の株価は「配当が高い」ことで支えられていることも多く、減配となれば株価も下がるというダブルパンチをくらうことになってしまいます。

メンテナンスが必要

なかなか株価が上がらない中で、逆に株価が上がった時には速やかに売ることが最善の策となります。
しかし、いつ売るか・いくらで売るかを考えなければなりませんし、売るときになっても、明確な指標が無いので自分の判断が正しいのか悩むことになります。
少なくとも、ずっと放っておくことはできないです。

高配当株投資は、毎年配当がもらえてリスクが低いように見える投資法ですが、こういった非連続的なリスクを内包しているのです。

将来の配当に焦点を

そこで私が提案したいのが、「配当」というのを”現在の”配当ではなく”将来の”配当に焦点を当てるということです。

先ほどの高配当株投資の前提では「今」の配当利回りが高いということでしたが、将来増えていくのであれば十分に配当株投資として成り立つのではないか、ということです。

企業は成長することが前提となっていて、本当に成長し続ける企業は利益が増えるに従って配当も増えることになります。

これはとある企業の配当の推移ですが、2013年3月時点では株価は5,000円、配当は94円、配当利回りは1.89%で、平均並みか少し低いくらいの水準です。

仮にこの時点で買ったとします。

その後、配当はじわじわと伸び続けていきました。

配当が伸びたということは利益も伸びたということで、必然的に株価も伸びます。

2023年3月には、株価が18,000円、配当が542円となりました。

ここでの表面的な配当利回りは3.01%となりますが、『購入価格利回り』で考えると、5000円で買って542円の配当なので、購入価格に対する利回りはなんと10%を超えることになります。

今、配当利回りが10%を超える株を買おうとしても難しいですし、それには何らかのリスクがあると考えられます。

しかし、上記の例では、今の配当利回りは3.01%と標準的な水準なのでリスクも大きくなく安心して持っていられるということになります。

株価も3.6倍になっていて、株価の上昇(キャピタルゲイン)と配当の増加(インカムゲイン)、そしてその後の継続的な配当と、多くのメリットがあるのがこの配当成長株投資です。

これこそが株式投資の王道であると私は考えています。

株式というものはそもそも、永続的に企業を存続・成長させていくためのリスクテイクの仕組みです。

それを目先の配当で得ようとするのが高配当株投資、一方でこれからリスクを負担しながらも長期で成長を見守っていくというのが配当成長株投資の魅力となります。

バフェットのコカ・コーラ

ここで注目したいのがあのウォーレン・バフェットです。

バフェットの代表的な保有銘柄としてコカ・コーラがあります。

バフェットがコカ・コーラを大きく買ったのが1987年です。

当時の単価がおよそ3.25ドル、配当は0.075ドル(※現在は分割しているため当時のものに換算)、利回りは2.3%となります。

その後、コカ・コーラは成長を続け、株価は62ドルまで伸び、配当は1.76ドル(23倍)となりました。

購入価格利回りは54%となり、購入した価格の半分が”毎年”配当で返ってくるというとんでもないことになっています。

同時に、株価も19倍になっています。

株式投資を論ずるときに、”インカムゲインかキャピタルゲインか”といった論点となりがちですが、利益が成長する企業に投資していれば、その両方の果実を享受できるということになります。

毎年の配当ももらえるので、その配当を再投資したのであれば、複利で元本も圧倒的に増えていることになります。

こうなるともはやこの株を売る必要はありません。

若ければ若いほど(投資にかけられる時間が長いほど)、目指すべき投資はこれだというのが私の考えです。

高配当株投資と配当成長株投資の比較

それぞれのメリットとデメリット、向いている人をまとめました。

このことから、「49歳以下なら超高配当利回りの投資がおすすめ」と申し上げた次第です。

配当成長株投資 日本株でできる?

配当成長株投資に合致する日本企業はあるのでしょうか。

選定基準

  •  業績・配当が長期にわたって伸びている 

業績・配当が既に伸びていた方がよいと思います。
もちろん今は伸びていなくてもこれから伸びる企業もあるはずですが、既に伸びていて方向性が定まっている企業の方が確実性が高いと思われます。

  •  配当性向30%未満 

現在の配当性向は実は低い方がいいです。
今の配当性向が高いということは、会社自身が将来の成長を見込んでいないという可能性があります。
また、配当が伸びる余地も少ないということになります。
これが普通の高配当株投資との大きな違いです。

  • (できれば)ストックビジネス 

これは安心感を高めるためでもありますが、一度契約したらずっと収入が入り続けるような「ストックビジネス」である方が向いているのではないかと思います。

光通信

私が一つ挙げるのは光通信です。

光通信というと、ITバブルの時に一時期株価が大きく上がったもののその後連続ストップ安を記録したというイメージが強いかもしれませんが、実は今はかなり安定的なビジネスを行っています。

従来の携帯電話販売はもちろん、ネット回線や水のボトリングサービスといった、まさに一度契約したらずっと続くような「ストックビジネス」を集めています。

売上よりも利益の伸びを重視していて、利益は確実に伸び続けているという現状があります。

この状況下での配当が以下のようになっています。

先ほど例で挙げた配当の推移が実は光通信のものでした。

右肩上がりに伸び続けて、配当性向はなお25%となっており、上昇余地もまだあります。

長期の株価で見ても、10年前と比べると約4倍になっていて、株価の上昇も見込めます。

いろいろなものに手を出しているので、市場の限界も無いように見えます。

いかに軸を持って進められるか、経営陣の優秀さが問われる企業モデルとなっています。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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