「バフェット指標」ではITバブル以来の割高水準

日経平均株価は1年半ぶりに20,000円を突破し、米株式市場も史上最高値の更新を続けました。市場は楽観に包まれています

このような状況の下、私は居心地の悪さを感じます。単に割安な銘柄を見つけられないからではありません。株価は上昇すればするほど、下落のリスクは大きくなります

市場の指標面で見ると、日経平均のPER14倍、ダウ平均の18倍はそこまで割高ではないようにも見えますが、これは好調な業績が続いた場合の話です。景気が悪化すれば、純粋に業績が悪化するほか、日経平均は円高により見かけ上の利益も悪化します。額面通りに受け取るべきではありません

市場の適正な水準を見極めるのにバフェットが使う指標が、市場全体の時価総額とその国のGDPの比較です。明確なロジックがあるわけではありませんが、時価総額がGDPを超えると割高感があると見られます。

現在、米国のGDP19兆ドルに対し、上場企業の時価総額は25兆ドルと、上記の目安を超過しています。同様に、日本のGDP530兆円に対し600兆円と、こちらも超過しています。時価総額/GDPで見れば、米国はITバブル以来の高水準です。

株式市場は向こう見ずなので、短期的にはさらに上昇する可能性は否定しません。しかし、過去のバブルがそうであったように、下落はある日突然訪れます。勢いに乗ることばかりを考えていては、最終的に大きな痛手を被ることになるでしょう。

近い将来、現在の状況が「トランプ・バブル」とでも呼ばれるかもしれません。今この流れに乗れず悔しい思いをしたとしても、後々きっと良かったと思える局面が来るでしょう。バリュー投資家は、今はじっと身を潜めている時期です。

※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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