日経平均株価がバブル後の最高値を記録しています。
今は果たして買うべきなのでしょうか、売るべきなのでしょうか。
日経平均が上がっているワケ
日経平均はバブル期に一時は4万円近くまで上がりましたが、バブルが崩壊し一気に下がりました。
その下がり途中で記録した3万円超というところに30年以上経った今ようやく到達したということです。
今回、日経平均株価が上がった理由として、大きく3つあると私は考えます。
業績が良い
まず、日本企業の業績が良いということです。
なぜ業績が好調かというと、一つは円安があります。
1年前は1ドル=110円くらいだったものが今では1ドル=130円台で推移しています。
日本企業はやはり製造業が時価総額に占める割合も多く、円安によって海外で稼ぐ企業の業績が押し上がります。
過去最高益を記録している要因もここにあると考えられます。
しかし、海外関連だけではなく、内需も盛り上がっている様子があります。
アフターコロナということで、鉄道や飛行機などが業績を回復させているのも間違いありません。
また、インフレもあり、原材料が高騰している中で、なかなか値上げできていなかった日本企業がようやく価格に転嫁するようになり業績が回復した部分もあります。
同時に、日本製鉄などの原料を作る会社は、十分に価格に転嫁できていて業績を押し上げた側面もあります。
割安解消期待
2つ目の要因としては、日本株に対する割安の解消期待があります。
今年3月には東証からPBR1倍割れの上場企業に対して、株価を上げてPBR1倍割れを解消するように呼びかけがありました。
それによって増配や自己株式取得が活発になり、割安企業への期待が高まっています。
さらに、あのウォーレン・バフェットが来日し、日本の商社株への更なる投資を示唆したこともあり、海外投資家が入ってきやすい状況となっています。
波
お金の流れというものもあって、今は海外の方はどちらかというと景気が良くありません。
昨年まではアメリカやヨーロッパではコロナ後の好景気であったものが、その反動減ということで成長が鈍化しています。
一方で日本は成長率は1%そこそこではあるものの、マイナスにはなっておらず、アメリカの流動的な状況と比べて比較的安定しているということでお金が流れ込んできています。
日本株の売買代金に占める海外投資家の割合は7割に及んでいて、日本の株価は海外投資家のよって動かされていると言っても過言ではありません。
これは海外投資家の売買動向のグラフですが、直近で大きく買い越しとなっています。
好調な業績や割安の解消期待もありますが、グラフを見ると3月に大きく売り越しているので、その買戻しという側面もあるかと思います。
このまま上がり続ける?
さて、日本株はこのまま上がり続けるのでしょうか。
寄せては返す
今、日経平均株価がバブル後最高値ということで、個人投資家も勢いづいています。
ネット証券での口座開設が増加していて、コロナショックの時のような現象が起こっています。
ただ、コロナショックの時は、下がったから逆張りのチャンスということで、機敏でしたたかな投資家が多かったのではないかと思いますが、今回は”調子がいいから”という浮かれた雰囲気を感じます。
外国人投資家の売買動向を見ると、4~5月の大きな買い越しは2~3月の売り越しの反動ではないかと見えます。
過去の推移を見ても、売り越しと買い越しを繰り返していて、短期的に考えると、今買い越している分、反動で売り越しに振れることが懸念されます。
円安終了の可能性
業績というところを考えてみましょう。
円安であればそれほど自助努力が無くても業績が嵩上げされる側面があります。
今は1ドル=130円台というところですが、これをそのまま鵜呑みにはしない方がよいと思います。
特に海外経済の動向には注意が必要で、景気が後退すると言われている一方、大きな落ち込みはまだ見られていない状況です。
これが実際に景気が落ち込んでくると、これまでFRBがインフレ対応のために金利を上げてきていたものが、いよいよ金利を引き下げる局面になります。
それ自体は株式市場にとって悪いことではないのですが、今の円安は日米金利差によるものが大きく、アメリカが金利を下げると金利差が小さくなり、ドルを売って円にするという動きが生じて円高になる可能性があります。
円高になると、円安で利益が出やすい日本企業としては厳しい状況となります。
もちろん、自己株式取得や増配などによる割安解消期待は引き続き存在すると思いますが、世界経済が大きく落ち込むことになるとその期待も一時的には無くなってしまうと思います。
数ヶ月という短期・中期で考えると、一時的には下がる可能性があり、私はネガティブに捉えています。
『セル・イン・メイ』は本当か
最後に「季節性」というものを考えてみます。
『セル・イン・メイ』という言葉がありますが、「5月は下がるから売れ」という解釈は誤りで、本来は「5月に売ってどっか行って9月まで帰ってくるな」という意味合いです。
5月に相場はピークになることが多く、その後下がり続けるから9月まで帰ってこない方が良いということです。
これには明確な根拠があるわけではないのですが、データとして6月・8月・9月はマイナスになっているのも事実です。
なぜこうなるかを考えると、海外では6~8月は夏休みで、もし夏休みの間に経済的なショックがあったら休めなくなってしまうので、投資家としてもリスクは取りたくなくて、5月のうちに一旦株は売っておこうという動きになりがちです。
私が証券会社で働いていた時の体感としても、8月は取引が閑散として”夏枯れ相場”といったところでした。
こういった観点からも、5月は売るのに適したタイミングなのではないかと思います。
私たち長期投資家としては、全部売るといった極端な動きはしませんが、一方でこの上がっている局面を利用して処分したい銘柄を売ってポートフォリオをきれいにして、株価が下がった仕込み時に備えると良いかと思います。
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