株式投資初心者向け銘柄『NTT』

株式投資初心者の方には、私はNTTをおすすめします。

決して「みんな知っているから」という理由でおすすめするわけではありません。よく知っている企業でも背景には難しい問題が潜んでいることも多いです。

しかし、『安定感』という点でNTTは群を抜いていると考えています。

NTT おすすめの理由

潰れない

まずはNTTがどんなビジネスを行っているかを見てみましょう。

重要なことは、2020年にNTTがNTTdocomoを買収して連結会社に収めていて、利益の大部分はdocomoによるものだということです。

固定電話も捨てたものではなくて、売上、利益ともに2割程度は占めています。

NTTデータが属するグローバルソリューション事業では、世の中の様々なITインフラを作っています。
昨今のDXの流れの中で、NTTデータも外せない企業となっています。
全体に占める割合としては1割程度ですが、利益率が高く、直近で成長しています。

トータルの営業利益率が14%くらいあって、ビジネスだけを見てもまず潰れないだろうと思えます。

キャッシュフローを見ても、ずっと黒字で、常に会社にお金が入ってきているということになり、この点においても非常に安心感があります。

ビジネス以上に安心感を与えてくれることが、バックに政府がいるということです。
NTTは旧電電公社が民営化して上場したものですが、国の大事なインフラだということで、政府が3分の1以上の株を持ち続けなければならないことになっています。
国としても、NTTがおかしなことになりそうだったら支援を入れるだろうということが想定されるので、潰れない安心感は強いです。

しかも、国の監視下にあるのでそもそも大きなリスクを取って投資をするようなことはしないと思われます。

株式投資の基本が抑えられている

私が考える株式投資の基本は、1株あたり利益(EPS)の成長が最も大事であるということです。

「修正1株益」が1株あたりの利益です。
かつては赤字を計上したこともありましたが徐々に伸びてきて、2010年頃には100円前後だったものが直近では348円にまで伸びています。
営業利益が伸びてきたということもありますが、それ以上に1株あたり利益が伸びています。

なぜこのようなことが起こるかというと、NTTが自己株式取得を行っているからです。
企業として利益を増やしていくことも大事ですが、それ以外にも、1株あたりの利益が増えれが良いということになります。
自己株式取得によって1株あたり利益を計算するときの株数を減らすと、残った株の1株あたり利益は増えます。例えば、100円の利益を4株で分けると1株あたり利益は25円ですが、これを2株に減らすと1株あたり利益は50円となり、その時株価が25円から50円になってもおかしくないということになります。
企業が稼いだお金(フリーキャッシュフロー)で、世の中に出回っている株式を買い戻すことによって株式数を減らし、1株あたり利益を増やしてきました。

自己株式取得をするかどうかは企業の一存で決まるものですが、NTTのバックには国がいます。
実は、国はNTTによる自己株式取得を財源としてあてにしているのです。
国はNTTの株の3分の1以上持たなければなりませんが、NTTが自己株式取得を行うと発行株式数が減って、国が持たなければならない株式の数も減る、つまり、余った株をNTTに売れることになり、それを財源にすることができるのです。

こうして、豊富なキャッシュフローを元にした自己株式取得によって株式数が減り、1株あたり利益が増えているのです。
企業全体の価値が増えているかというと微妙ですが、少なくとも1株あたりの価値は増えていることになります。

同時に配当も増えています。

これが、私が1株あたり利益が大事だとする理由です。

配当利回りも今は3%くらいあり、持っているだけで3%の配当が入ってくる可能性が高く、増減はあるとは思いますが事業も盤石なのでそこまで大きく減ることはないと考えられます。

このような状況でもPERが11倍くらいと、低い数字となっています。
正直、成長が期待される銘柄ではなく、株価が急に上がるようなことも無いと思います。
しかし、株価が急騰して「イナゴ」と言われる人々が買うような銘柄はその後急落して散々なことになったりするので、NTTはその点安心して見ていられる銘柄ということになります。

単価が安くなる

5/23時点の株価が4,168円で、1単元(=100株)買うのに41万円以上必要ということになります。
しかし、直近の発表でこれを25分割すると言っています。つまり、1株が160円くらいとなり、1単元が16,000円くらいになることになります。

1株と1単元の違いで一番大きいものは、1株では議決権が無いということです。議決権が無いということは、株主総会に出られなかったり、株主優待がもらえなかったりすることになってしまいます。

単元未満株では、取引においても指値ができなかったりと多くの制限があります。
それが16,000円から1単元買えるということになると、小口の投資家も大きなお金を持っている投資家と同じ条件で取引できるというのが非常に大きなポイントです。

NTTのイマイチな点

もちろん、NTTが全ての点において素晴らしいということではなく、イマイチな部分もあります。

何より成長性が乏しいです。

NTTデータは割と成長していますが、docomoや固定電話など基本的に国内のビジネスでパイの広がりの無い事業です。だからこそ安定しているとも言えますが、成長性に期待はできません。

業績のグラフを見ると伸びているようにも見えますが、2021年から22年にかけて伸びているのはNTTドコモを完全子会社に戻したことによって会計上の利益が増えたもので、実質的な成長ではありません。

成長率も大きくはありません。

1株あたり利益が伸びていることは間違いないですが、自力の成長性はあまり無いということです。

また、経営が上手というわけでもなく、顧客志向で業績を伸ばしていくような会社ではありません。

海外でも買収したりしてきましたが、様々な巨額損失を計上しています。
NTTの海外売上比率は2割程度にとどまっていて、やはり国内で旧国営だからこそいやっていけてる部分があります。

安定性は高いものの、ガツガツやっていきたい投資家にとっては物足りない銘柄と言えるでしょう。

最初に買う銘柄としては良いかも

株式投資を始めたばかりの初心者がまず買ってみる安定した銘柄としては良いと思います。

持っていれば良いところ悪いところが見えてくるでしょう。
NTTよりも良いところが多い銘柄を探したり、いろいろな銘柄を比べる時の基準として、NTTはちょうどよい銘柄なのではないかと思います。

とにかく買ってみないことには始まりませんから、その一歩目としてNTTは非常におすすめです。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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