巷では高配当株投資が人気となっています。
しかし、高配当株投資だけでは物足りないという方も多いのではないでしょうか。
ということで今回は、高配当かつ成長も見込める銘柄を紹介したいと思います。
高配当銘柄の「オモテ」と「ウラ」
日経マネーで行われた個人投資家調査において、今、個人投資家がどんな投資法を好んでやっているかというアンケートではこのような結果となりました。
高配当株投資を行っている個人投資家が多いということです。
高配当株投資のメリットは、毎期毎期確実に配当が入ってきて安定したインカムゲインを得ることができることと、相場の調子が良い時には株価も上がり得るというところです。
一方、高配当株には落とし穴もあります。
配当が高いかどうかというのは「配当利回り」が基準となります。
【配当利回り=1株あたり配当÷株価】なので、配当利回りが高いということは、1株あたり配当が高い、もしくは株価が低いということになります。
配当の基準には「配当性向」というものがあり、利益のうちのどれくらい配当にまわしているか、を意味します。
成長する企業は利益を配当ではなくもっと成長するための事業投資にまわそうとするものです。
つまり、配当性向が高いということは、成長機会がないと会社自身が考えているということです。
高配当の会社は成熟企業が多いということになり、投資家からの期待も上がらず、株価もなかなか上がらないということになります。
株価が上がらないということも配当性向が高くなるところにつながります。
また、長期のリターンで考えても、高配当株のリターンは配当利回り4~5%で株価はほぼ一定ということで、トータルでのリターンも4~5%となります。
一方で成長する企業はインデックスで見ても6~8%くらいあり、成長している企業だけを取り出せばさらに高くなります。
つまり、時間が経つにつれてインカムゲインよりもキャピタルゲインの方が高くなる傾向があるということです。
これは複利的な成長によるものです。
ですから私は、若い人や長期間で資産形成をしようと思っている人には高配当株よりも成長株を持つことをおすすめしています。
とはいえ、配当もあった方が嬉しいことも間違いないわけで、配当もそれなりにあり、かつ成長も見込める銘柄であれば、持ったままほったらかしで良いということになります。
今回はそんな理想の株に近いのではないかという銘柄をピックアップしました。
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ライト工業
まず取り上げるのはライト工業です。
建設関係は東日本大震災や東京オリンピックのバブル後で厳しい業界と見られていますが、ライト工業はその限りではない可能性をにらんでいます。
配当利回りは3.3%、PER10倍と低くなっています。
高速道路などの斜面・のり面の対策工事や、大きなビルを建てる際の地盤改良工事を行ったりしていて、公共工事に依存している会社とも言えます。
業界での信頼性やシェアは高く、高速道路会社やゼネコンからの信頼は厚いようです。
業績は右肩上がりとなっていますが、これは多くの建設会社が同様となっているので、業界に一時的に追い風が吹いていたものと思われます。
ではなぜこのライト工業を選んだかというと、災害対応銘柄だと考えているからです。
決算短信などには、台風などの災害があった時にその復旧工事で利益が上がったと書かれていて、災害復旧ないし災害予防においても欠かせない企業であるようです。
建設バブル的なものは終わったとしても、公共工事や災害対策での需要は増えていくと考えられ、高い技術力と信頼性も持っているので、長期で見た時には少なくとも横ばいで、インフラの改修工事などが入ると上乗せが期待できます。
少し不謹慎ではありますが、日本が災害大国である限り需要と成長が見込める銘柄ということになります。
売上高利益率とROEは10%前後で安定して推移しています。
株価が低い理由としては、建設バブルで上がっていた落札価格が下がると見られていることや、業績予想が横ばいとかなり保守的な発表をしていて投資家の期待が下がっていることが考えられます。
しかし、落札価格に関しては需要が多すぎて供給が追い付かなかったというよりも慢性的な人手不足によるもので、あまり下がらないのではよいう見方もあります。
株価が低いということは買いやすいという考え方もあります。
配当性向32%というのは平均的な水準で、成熟企業だから配当を出しすぎているということもありません。
残り70%の利益は工事の研究開発に向けていて、技術力を高めることが生き残る道なので妥当な使い道であると言えます。
これまでの配当も伸びてきていて、これからさらに伸び続けていくとすれば、今買った場合の配当利回りは上がっていくだろうと考えられます。
目先で建設需要が一時的にしぼむ可能性はありますが、日本に災害が起こる限りは必要とされ続けて成長の見込める会社であると思います。
ニチアス
続いてはニチアスです。
配当利回りは3.3%と比較的高い水準です。
元々は「日本アスベスト」という会社名で、アスベストというと今はワルモノという認識ですが当時は当たり前に使われていたものでこの会社が悪いというわけではありません。
『断つ・保つ』ということで、断熱や水が漏れないようにする技術などで進出してきました。
直近で大きく伸びているのは、半導体製造装置に重要な部材(高機能部品)を作っているからです。
元々はプラント向けを主としていましたが、この高機能部品の部分が盛り上がってきて、今や利益の稼ぎ頭はこの半導体向けの高機能部品となっています。
その一方でその他の部門でも安定しています。
様々な分野で伸びてきて、業績は右肩上がりとなっています。
今期が微減益予想となっていますが、これは半導体需要の落ち込みを見据えたものとなっています。
しかし、昨今のChatGPTなどの生成AIブームを考えると実は上向くのではないかという見方もあります。
ではなぜ株価が低い(利回りが高い)のでしょうか。
私の考えでは、一つには「ガラス土石」という景気の影響を大きく受けるとされる業種に属していることがあると思います。
プラントなどの産業は景気循環の影響を受けやすく、だからこそニチアスは恒常的にPERが低く、基本的にはPER10倍以下となっています。
一方でPERが低いと言っても成長性が無いというわけではなく、どちらかというと景気の変動性の影響を投資家が懸念しているのではないかと思います。
現段階では半導体の分野で成長していることは間違いないですが、これが長期的なものになると利益の成長も続くのではないでしょうか。
技術の高さを活かして半導体以外の分野にも進出していくと考えられ、その点では長期的な成長を見込んでもよいと考えます。
配当も右肩上がりで成長してきていて、今後も続いていくと思われます。
景気の影響を受けることは間違いなく、それを踏まえて考える必要はありますが、しっかりとした会社であると思います。
堀場製作所
最後に紹介するのは堀場製作所です。
配当利回りは3.18%です。(6/26時点)
様々な計測機器を作っている会社で、主要となっていたのは自動車関係の排ガス測定装置などでした。
しかし、EV化によってそこの需要が厳しくなってしまいました。
それに代わって伸びてきたのが半導体です。
半導体の製造過程において使われる「マスフローコントローラ」というものを作っていて、市場シェアが非常に高く、半導体市場の拡大とともに業績を伸ばす要因となりました。
うまく転換できた理由としては、「おもしろおかしく」という会社のポリシーもあるかと思います。
自由な社風のおかげで元々主要だった自動車分野に凝り固まらずに半導体にも進出できたのではないかと推察します。
セグメントの状況を見ると、今や半導体が利益の91.6%を占めていて、主要だった自動車は赤字となっています。
医療分野など新たな成長分野にも進出していますがそこではまだ利益は出ていません。
普通の会社であれば儲かっていない分野は切っていきそうなものですが、このガタガタのセグメントのまま進んでいくのも「おもしろおかしく」の成せる業かもしれません。
一方で、だからこそ投資家からは業績的な信頼が置けなくて株価が安く据え置かれて、配当利回りが高くなっています。
堀場製作所に投資するとしたら、この経営方針に納得できるかどうかがポイントになるかと思われます。
また、”隠れ半導体銘柄”として見るのもおもしろいかもしれません。
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