株価を見ない投資法~長期の株価は業績で決まる!

今回は長期投資家の皆さんにとって重要な話をしたいと思います。
それは、長期投資においては株価を見る必要がないということです。
株価を見ないでどうやって投資するんだと疑問に思うかもしれませんが、実は株価を見すぎることが失敗につながることが多いのです。

なぜ株価を見る必要がないのか、そして何を見るべきなのか、長期投資を目指す皆さんにお話ししたいと思います。

長期投資をおすすめするワケ

短期投資と長期投資では、視点が異なります。
短期投資では、株価やトレンドを注視する必要がありますが、長期投資においてはそれがほとんど必要ありません。
長期投資の目的は、資産を長期的に増やすことです。
株価の一時的な変動は、最終的な目標にはあまり関係ありません。

短期投資の場合は株価を見る必要がありますが、株価は人間の心理に影響されるため、予測が非常に難しいです。
また、世界中のあらゆる事象が株価に影響してきます。
仮に一定の”勝ち方”のようなものを見つけたとしても、みんながそれを知ってしまったら意味のないものになってしまいますし、AIの導入で、パターンを読むことに関して競争が激化しています。

短期投資で勝ち続けることは非常に難しく、最終的に資産が増えていれば良いと考えているなら長期投資をおすすめしています。

株価ではなく業績を見る

株価ではなく何を見るべきなのでしょうか。

まず、投資期間が長くなるほど、業績の変動が重要となります。

出典:さわかみ投信

これは、株価の説明力と時間の関係を表した図です。
投資して最初の1年くらいの株価は、金利が20~30%影響しますが、大部分は「不明」となっていて、業績はほとんど影響していません。
1年くらいの期間では、業績が良いのに株価が下がるといったことは当然のように起こり得るということです。
それが60か月(5年)になると業績の影響が約40%、120か月(10年)にもなると約60%になります。
つまり、10年もすると株価の動きは業績の変動で大方説明ができるということです。
言い換えると、業績の伸びに従って株価が上がるということになります。

具体的な企業の例を用いて説明します。

ニトリ

まず、ニトリです。

出典:マネックス証券、Yahoo!ファイナンス

ニトリは30何期連続で増収増益を達成しており、売上と営業利益は右肩上がりに成長しています。
特に、2008年2月期から2023年3月期にかけて、営業利益が5.4倍に増加し、株価も同じように5.9倍に増加しています。
その間、株価はもちろん上がったり下がったりしていますが、始まりと終わりを見ると株価は5.9倍になっていて、その理由は業績が5.4倍になっているからと言えます。

トヨタ

出典:マネックス証券、Yahoo!ファイナンス

トヨタは2007年3月期から23年3月期までの約15年の間に、営業利益はわずか1.2倍にしか増加しておらず、株価も1.7倍です。
トヨタは人気の企業で素晴らしい企業であることも確かですが、業績の点では伸びておらず、株価も業績に応じて動いているので、長期投資の対象としては向いていなかったことが分かります。
長期投資で重要なことは業績の伸びが見込めるかということです。

ファーストリテイリング

出典:マネックス証券、Yahoo!ファイナンス

ファーストリテイリングは2007年8月期から2022年8月期にかけて、営業利益が4.6倍に増加し、株価は10.5倍に増加しています。
この株価の上昇には、業績の成長だけでなく、PERの上昇も影響しています。
この間、PERは約2倍になっていて、投資家の見方が大きく改善したことを示しています。
PERが上昇するということは、成長が見込まれているということです。

三菱UFJ

出典:マネックス証券、Yahoo!ファイナンス

三菱UFJはグラフの期間で経常利益が-30%、株価は-14%となっています。
仮にこの10年間株式を持ち続けていたとしても恩恵は全く受けられていないことになります。
目先で株価が大きく上昇していますが、長期で持つことには疑問があります。

キーエンス

出典:マネックス証券、Yahoo!ファイナンス

キーエンスは営業利益が5.4倍、株価も9.6倍で、いわゆる「テンバガー」をほぼ達成しています。(決算期の変更によりグラフにばらつきがあります)
PERも上昇したので株価が大きく上昇していますが、根本にはやはり業績の成長が寄与しています。

業績が伸びる企業を買え!

つまり、長期投資において見るべきものは、目先の株価の変動ではなく、業績の成長であるということです。
長い期間で見ると株価は業績に応じて伸びるもので、その長い期間で業績が大きく成長する企業を買うことが最もシンプルで確度が高い方法です。

長期の業績の予想は難しくない?

とはいえ、業績が伸びる企業を探すことは簡単ではありません。
しかし同時に、多くの投資家が行っている、短期の株価を見通す方法よりははるかに簡単だと言えます。

「ビジネス」を見極める

利益が増えるということはビジネスで成功するということであって、そのビジネスの良し悪しは勉強することで判断することができるようになります。
株価に影響する要因は膨大ですが、ビジネスに影響するものは限られてきます。
勉強や経験の積み上げで精度を増していくことができるのです。

長期のトレンドは継続しやすい

長期的なトレンドは、短期のトレンドよりも安定していることが多く、強い企業はさらに強くなる傾向があります。
また、社会の大きな流れもあり、例えばこの数十年の大きな流れとして「IT化」があり、その流れに乗っているMicrosoftなどの企業は勝ち続けています。

人生の経験則が有効

特に投資の勉強をしてこなかったとしても、自分の仕事や趣味の領域で、良い企業だと感じているのなら、ビジネスも素晴らしいことが多いです。
自身の専門分野であるので、プロの投資家よりも詳しく知っていることになります。
人生で培ってきた経験を活かせるという点でも、ビジネスを見るという方法には利点があります。

自分がよく知っていて、経験上素晴らしいと思える企業に投資することで、安心感も得ることができます。

業績が伸びる企業を探す3つの方法

良い企業を探す最初の手がかりとして3つご紹介します。

1.増収増益が続いている

強い企業はどんどん強くなる傾向があり、増収増益が続いているということはその強さを示すものです。
ただし、突発的な要因で減益になることもあり、「続いている」というのは連続である必要はありません。
トレンドを見た時に増収増益になっていれば良いでしょう。

2.10%以上のROEが継続している

ROEは、毎年資本がどれだけ増えているかを示すもので、非常に重要な指標です。
ROEが10%以上といえば高い水準であることは間違いないですが、より重要なことはそれが”継続している”ということです。
若い企業や小さい企業だとROEが数十%になることがありますが、それを何年も継続することは難しいです。
ROE10%以上を継続しているということは、強い企業の証明であると同時に、それだけ成長し続けられる大きな市場であることを示しています。
また、長期のトレンドに乗っている可能性も高まります。

3.1と2が持続するかを考える

増収増益やROEは過去のことを示すものですが、ここで未来のことを考えます。
増収増益が続いていたり、高いROEを維持しているということは強い企業であることは間違いないですが、その強みが他社にマネされるものではないか、外部環境が変わる可能性はないか、といったことを考える必要があります。

未来のことを考えるのは大変でもありますが、これが投資の楽しさでもあると思います。

アドバイスとして

最後に投資上達のためのアドバイスをさせていただきます。

PERは(あまり)気にするな

割安に観点が集まりやすいですが、PERが低いということは多くの人が成長を見込んでないということであり、実際成長しないことが多いです。
PERが多少高かったとしても、成長する企業に投資した方が最終的な利益は大きくなります。
PERが低い銘柄に対しては少し疑いを持って見るべきですが、PERが高いことに関してはあまり気にする必要は無いと考えます。

ただし、PER50倍を超えるような高い水準であるとそれを正当化する成長はなかなか見込めないので避けるべきでしょう。

分割して買え

良い企業を見つけたとしても一社に全額を投じるべきではありません。
いくつかに企業を少しずつ買って、良し悪しを判断していった方が良いでしょう。
また、「○○ショック」といった、相場全体が下落して良い企業を安く買えるチャンスが来ることもあるので、その時に買えるように余力を持っておくことも大切です。
一方でそのチャンスが訪れない可能性もあるので、常に少しずつは買っておくという動き方をおすすめします。

上昇しても買え

最初に買った時より安くなっているのなら買いやすいですが、高くなっている時に買うというのは心理的にハードルが高いです。
しかし、業績が伸び続ける企業であれば、株価が上がってきたところでも買うべきなのです。
業績が成長し続けるという前提があるのであれば、数年後には今の株価よりも大きく上がっているはずです。
株価が上がったという理由で買わないでいると、その上昇を逃すこととなります。

業績の成長が続くのであれば、株価がどう動いてきたかは関係ないということになります。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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