「損切り」「買い増し」この2つで脱・初心者!私の失敗を超えていけ!

新NISAが始まり、この機会に株式投資を始めた方も多いと思います。

これから株式投資を行っていくにあたって、自分の投資が上手くいかず、悩んでしまうこともあると思います。
実際私も上手くいかない時期がありました。
幸い、私の周りには優れた先輩投資家が多くいて、彼らから学び、この2つを会得できれば少なくとも初心者は脱却できるというポイントに気づきました。

それが、『損切り』『買い増し』のやり方です。

今回はその2つについて、行動経済学の要素を用いながら解説します。

成功者との”違い”

つばめ投資顧問は、株式投資で資産を築いたベテラン投資家である、ろくすけさん、エルさん、森さんに顧問として入っていただいています。
また、ネット上では、テスタさんなど株式投資のスペシャリストが発信しています。

彼らの話はやはり大変参考になると感じています。

私の投資が上手くいっていない時に、私と”成功者”との違いを探るために観察したところ、決定的な違いが損切り買い増しについての判断でした。

損切りを嫌うな

そもそも私は株の大原則に気づいていなかったのです。
その大原則とは、「上がっている株は良い株、下がっている株は良くない株」ということです。

これを当たり前と感じる人もいるでしょうし、上がっていても良くない株や下がっていても良い株もあるという反論もあるでしょう。
しかし、短期と長期で時間軸の違いはあるにしても、想定した時間軸の中で、上がっている株は良い株、下がっている株は良くない株であると言えると私は思います。

 

テスタさんの言葉を借りると、「株は結局多数決」であり、人気がある株は上がり、人気が無い株は下がります。
人気が無い株がどこかで盛り返して上がるということも確かにありますが、上がり時にはやはり何らかの理由で人気が高まるわけです。

この大原則を抑えておかないとなかなか上手くいきません。

 

下がっている株でも、なぜ下がっているのか分からない、下落はおかしいと考える人もいるかもしれませんが、これもテスタさんが言うには、「下がっている理由が分からない株には手を出さない。なぜなら、自分が見逃している何かがあるかもしれないから」ということです。

このテスタさんの言葉を聞いたときに、私は間違った考え方をしていたのではと感じました。

株を買った後に株価が下がって含み損になっている時に、「今の株価はおかしい」「いつか戻るだろう」と考えてしまい、むしろ安くなったのでナンピン買いしてしまったりしていました。

 

しかし、ここで選択肢として持っておくべきなのが損切りです。

下がっていることには理由があります。
その理由が明確な場合は判断しやすいと思いますし、業績に関係のないネガティブなニュースや相場全体が下がっているだけということもあります。

一方で、本当に悪いことがあるのに自分が気づいていなかったり、深刻に捉えていないという場合もあります。
そんな銘柄にいつまでもこだわっていると、その間に多くの人がネガティブな情報に気づいて株価はどんどん下がっていきます。
そして、自分が気づいた時にはもう下がりきっていて手の施しようがない状態になっているというケースがあります。

私も、半値くらいになってからようやく悪い部分に気がついたということがありました。

そうならないためにも、損切りを選択肢に入れておく必要があるのです。

 

経験で養う感覚もありますが、「なんかヤバそう」と感じたら、全部とはいかなくてもとりあえず売ってポジションを落として、冷静になって様子を見るべきです。
そして下落の要因が明らかになってそれが問題ないとなれば買い直せば良いですし、要因が分からないというのであれば様子見を続ければ良いのです。

また、同じ銘柄にこだわる必要もなくて、一旦売って、損は確定してしまうかもしれませんが資金ができるので、その資金で別のより良い銘柄を買うのも良いでしょう。

損失回避バイアス

常にゼロベースで考えるべきなのですが、それを難しくさせるのが、行動経済学で言うところの「損失回避バイアス」です。

含み損のまま売るということになると、損を確定させることになってしまいます。
それはつまり、自分が買ったことが間違いだったと認めることになり、ある意味で自分を傷つけることになります。

人間は損をしたくないと考えるもので、そのために、持っていればいつか戻るのではないかと楽観に寄ってしまい、そこが落とし穴になるのです。

下がっているということは何か悪いことがある可能性が高いのに、損失回避バイアスによってそれを無視してしまい、結果ズルズルと持ち続けてしまうということです。

このように、そもそも人間は損切りが苦手な生き物なのです。

確証バイアス

賢くて、しっかり考えてから買う人が損切りできない理由として、自分は正しいと思ってしまうという「確証バイアス」があります。

良い銘柄だと思って分析して買うと、少し下がったとしても、それを大した問題じゃないと解釈してしまいます。
しかし、いくら頭が良くてちゃんと分析しても、100%見切れるわけではありません。
自分の盲点に気づかないまま自説にこだわってしまい、そのままズルズルと下がってしまいます。

当社の顧問であるエルさんは、驚いたことに損切りが苦にならないそうです。
だからこそ投資が上手くいったのだという風に言っています。

 

自分のポートフォリオに含み損の銘柄が多くあるという人は投資法を見直した方が良いかもしれません。

含み損を売らないとしている時点でかなり選択肢を狭めてしまっています。
全部ではないにしても一部だけでも売ることで、だいぶ頭がすっきりすると思います。
できた資金で何を買うかを考えることができたり、冷静になるとそもそもあまり良い銘柄ではなかったと思えるかもしれません。

 

投資には必ず失敗があります。
それを前提にしておくと、損切りの選択もしやすくなりますし、その後の選択肢も広がると思います。

損切りしないということは同じステップに留まり続けるということであり、損切りすることで次のステップに行けると考えます。

 

買い増し

買い増しのポイントは、上がっている時にさらに買うということです。

「買い増し」と言っていますが、これはまだ持っていなくて最初に買う時にも当てはまるかもしれません。

 

株を買うからにはやはり少しでも安い時に買った方が良いと考えて、どちらかというと下落トレンドにある銘柄に手を出しやすいです。
しかし、損切りの話でも触れたように、下落しているということは何か問題を抱えている可能性があるということです。
そういう銘柄につかまって上手くいかないことが私にもありました。

 

繰り返しますが、上がっている株は良い株で、下がっている株は良くない株です。
長期のチャートで見た時に、自分が買ってから上がった株というのは基本的に良い株です。

買った株が上がって、さらに上がると考えているにも関わらず、購入単価が上がって上昇率が下がってしまうから買い増しができないという人もいますが、ここで重要なことは上昇率ではなく、増えた額です。
上がるのであればたくさん買っていた方が良いのです。
しかも、上がっている”良い株”なので、買わない方が損です。

出典:Google

例えばこれはファーストリテイリングの株価の推移ですが、長期で右肩上がりとなっていて、どこで買っていてもほぼ黒字になっていることになります。

良い株というものはチャートも長期で右肩上がりになっていて、買うタイミングとしては、早ければ早いほど良くて、さらに上がるのであれば多少上がっていたとしても買えば良いということになります。

当社顧問のろくすけさん、エルさん、森さんが口をそろえて言うことは、長期で良い株はチャートで見た時に長期で右肩上がりを描いているということです。

長期で右肩上がりになっているということが良い株であることの証左であり、だとすれば早い段階で買った方がそれからの時間の中で大きく育っていく可能性があるわけです。

ここで買い増しを躊躇してはいけません。

アンカリング効果

ファーストリテイリングのように右肩上がりを描いている銘柄は、実はあまり人気が無かったりします。

そこにも人間心理が関わっていて、行動経済学的な要素として「アンカリング効果」というものがあります。
アンカリング効果とは、最初に見た数字が基準になって、それを元に判断してしまうというものです。

例えばファーストリテイリングだと、最初に見た時の株価が2万円で、その後3万円になったとしたら、あの時2万円だったから3万円なんて高くて買えないと考えてしまうのです。
しかし、結局は3万円で買っていても今はプラスになっています。

つまり、最初に見た「2万円」という数字には意味が無く、そこからさらに成長するかどうかということが重要で、常に0地点から考えるべきだということです。

スーパーで買い物をする時に、最初に1,000円と提示されて、それが4割引となっていたら安く見えて買いたくなるのもアンカリング効果です。
株の場合はその逆で、最初よりも高くなっていたら損に感じてしまうのです。

本当に良い企業はやはり右肩上がりになりますし、みんなが高いと思っているからこそさらにうまみが眠っていることもあります。

PERは高くてOK

いくら右肩上がりでもPERが50倍や100倍だったらリスクが高いものと考えるべきだとは思いますが、本当に良い株だと思えるならPER30倍くらいまでは許容できるものです。

私が見てきた銘柄で言えることは、PER10倍でも30倍でも、利益が2倍になったなら株価もだいたい2倍になっているということです。
PER30倍の銘柄は30倍のまま2倍になりますし、10倍の銘柄は10倍のまま2倍になります。
PERはその企業のリスクや成長性、安定性の塩梅にはなりますが、PER30倍だからといって高いというわけでもありませんし、過去から上がってきたからといってこれからは上がらないというわけでは決してないということです。

むしろ、資本主義の原理では、強い企業はどんどん強くなるもので、上がっている銘柄はさらに上がりやすくなるという論理も働きます。

IT業界のように栄枯盛衰が激しいところだと今後どうなるか分からない部分が多いですが、ユニクロのような人々の生活に入り込んだ企業だと、そう簡単に人々の動きが変わるとは考えにくいです。
だからこそ事業として安定性が高く、PERが高くても許容できるということになります。

0か100かで考えない

売るにしても買うにしても、全部を動かす必要はありません。

一部だけとりあえず売ってみるとか、全額を賭けるわけではないけど良い株だと思うから少し買い増しするとか、少しずつチャレンジを繰り返すことが重要です。

誰でも最初は初心者であり、最初から上手くできるわけはありません。
少しずつチャレンジを繰り返しながら、自分の固定観念やバイアスに引っかからないようになっていけばよいと思います。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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