【実はすごいサンリオ】 株価25%下落は投資チャンスか?

佐々木
こんにちは、佐々木です。今回はサンリオを取り上げます!

サンリオの株価が下落しています。

出典:株探

24年3月末に株価約3,100円をつけてから、ズルズルと下落しています。24年5月現在は3月末から25%安の2,400円前後で推移しています。
Yahoo!掲示板には「ルルちゃん(サンリオのキャラクター)がいれば大丈夫。サンリオは上がる。」というコメントがありました。(笑ってしまいました)

さて、本当にサンリオは大丈夫なのか?詳しく分析し、ビジネスの特徴と企業の中身を解き明かしていきます。

サンリオって何している?

サンリオは歴史ある会社です。1960年にギフト商品の製造、販売業務を祖業として会社を設立しました。
サンリオといえば、ハローキティ、ポムポムプリン、マイメロディなど、数多くの人気キャラクターがあります。

出典:サンリオ キャラクター紹介

これらのキャラクターを軸として、主に4つの事業を行っています。

出典:決算説明資料

物販ビジネスはギフト商品の企画・販売、直営店・百貨店のサンリオショップや量販店・専門店への卸売、Eコマース等です。つまりグッズ販売による収益です。

ライセンスビジネスは著作権の許諾・管理、キャラクター使用許諾です。例えば、GUやadidasがキティちゃんグッズを販売する際にサンリオに支払う料金です。言い換えれば「キャラクター使用料」と言えるでしょう。

テーマパークビジネスにはサンリオピューロランド(東京都)ハーモニーランド(大分県)などの入場チケット代金が含まれます。

新規ビジネスは、バーチャル音楽フェスや英語の知育玩具など様々な事業を営んでいます。

 

こういったキャラクタービジネスは、市場全体が成長しています

出典:矢野経済研究所

特に、近年はコロナ禍の巣ごもり需要を背景にプラモデルやフィギュアが好調な売れ行きを示したこと、アニメ視聴の機会増によりアニメキャラクターの起用が活発になったことで好調に推移しています。
IP収益のランキングでは、ハローキティが2位につけています。これは、日本のみならず世界のkawaii文化の象徴となっており、世界中の多くの人に受け入れられている証拠と言えるでしょう。

出典:IP MAG

佐々木
サンリオのビジネスをもう少し詳しく見てみましょう。

サンリオの業績は急回復している

サンリオの業績を見てみましょう。

出典:マネックス証券

2015年から2021まで業績が悪化し続けていましたが、コロナ明けからV字回復。
2025年3月期の予想営業利益は300億円です。24年3月期から2期連続で過去最高を更新する見込みです。今期の予想営業利益率は27%ですから、収益性が高いビジネスを行っています。

売上の推移を国別に分解します。

出典:決算短信より作成

24年の国内売上は689億円であり、売上の約70%を国内で稼いでいます。長期的に見るとアジア地域や北米地域も成長しています。
利益についても見てみましょう。

出典:決算短信より作成

利益構造の特徴は、アジア地域の利益は業績下降局面でも安定していました。また、日本の利益がコロナ禍を境に大きく成長しており、赤字体質だった北米・欧州でも利益が出るようになりました。
ここまでをまとめると

  • サンリオの特徴は、ハローキティなどKawaii文化の象徴的なIPを保有していること
  • 利益急回復の要因は日本・北米の収益性改善、安定したアジアの収益

このように言えます。

佐々木
では、業績が急回復している理由を考えてみましょう

ハローキティ依存でピンチに

急回復を理解するには、業績が急落していた理由を考える必要があるでしょう。
サンリオの有価証券報告書によると、2015年から2021年までの不調の原因は「ハローキティにビジネスが偏っていたこと」と述べています。
2014年時点では、売上の約75%がハローキティによるものでした。

出典:決算説明資料

これの何が悪いのか?というと、業績が安定しないのです。サンリオの業績をさらに長期で見ると、2000年ごろと2015年ごろの2回大きく成長していますが、その後業績が悪化していることがわかります。

出典:決算説明資料

1990年ごろ、華原朋美氏が「私はハローキティとプラダが好き」と発言したことをきっかけに、日本国内におけるハローキティブームが起こりました。そして2010年代前半は、米国セレブが火付け役となり、こちらでもキティブームが起こります。
しかし、ブームは長く続かず、その後業績が悪化していくのです。
さらに、2015年ごろから2021年まではサンリオの組織体制にも問題があったようです。

現社長の辻朋邦氏は当時の状況を以下のように述べています。

ハローキティに続いてグローバルで勝負できるキャラクターがなかなか出なかった点は課題でした。また、当時はマーケティング専任の組織がなかったことから、長期的な視点でキャラクターを育てていく施策を打てなかった点も改善すべきだと考えました。

『女児向け商品の売り上げが悪いから、女児向けのキャラクターを作ろう』といった形で、場当たり的に考案することもありました。 ITmediaビジネスより引用

このように、計画的な戦略を打つことができなかったため、ショップの不採算や赤字アイテムが増加しました。そしてコロナが決定打となり赤字に転落したのです。

佐々木
この状況からサンリオがどのように回復したのでしょうか?

辻社長の経営改革

この状況に対し、2020年に社長に就任した辻朋邦氏は経営にテコ入れを行います。

辻朋邦氏は、先代でサンリオの創業者である辻慎太郎氏の孫にあたります。慶應義塾大学を卒業後、サンリオとは関係のない一般企業に就職。2014年にサンリオに入社し、31歳の若さで社長に就任しました。彼は、2022年から2024年までの中期経営計画で「第二の創業」を目指しました。

出典:サンリオ 中期経営計画(2022年~2024年)

例えば赤字体質だったアメリカ事業で不採算直営店の閉鎖や卸の外部化、ECの効率化などでコスト削減を行い、収益性を改善しました。また、アイテムの全体数を5,000から1,900まで減らすことで在庫管理の効率を高めました。
組織構造も、マーケティング部署を設立し(それまで無かったことが驚きですが)キャラクターのポートフォリオを作成し、長期視点でブランディング戦略を考えるようになりました。
ボストンコンサルティング等、外部の力を借りながら社内機能の連携を高め、全社横断的な企業文化に変わりつつあるようです。

そして、24年3月期から27年3月期までの中期経営計画の重大なテーマが海外(特にアメリカと中国)と国内IPです。

出典:サンリオ 中期経営計画(2025年~2027年)

上記の資料を見ると、この3年間で米国における利益をほぼ倍にする見込み、国内におけるライセンスも成長させる見込みです。
サンリオの大きな強みとして、IP活用のうまさが挙げられます。
事業内容が違うため、必ずしも適切な比較ではないかもしれませんが、ポケモンを有する任天堂や、ワンピースなどを有するバンダイナムコHDよりも、売上に占めるライセンス関連収益の割合が高いのです。

出典:各社 23年度決算説明資料より作成

このライセンスビジネスは、原価がほとんどかからないことから、効率よく利益成長を達成できます。
そして、ハローキティ以外のキャラクターも売上に対する貢献度を高めています。国内ライセンス売上の増加は、IPポートフォリオの拡充とマネタイズの多層化(ゲームなど)によって成長を見込んでいます。

出典:決算説明資料

また、北米、中国においてはマーケティング・営業投資を増加することで、飽きさせないグローバルコンテンツを目指しています。人材基盤の拡充などを含めて、前中計で収益化した米国を中心に、さらなる成長を目指しています。

投資するべきか

サンリオの事業内容をまとめると

  • 業績下降局面の要因であるキティ依存は脱却しつつあり、IP拡充と/組織文化のテコ入れに着手
  • 今後の成長は、成熟市場である日本におけるライセンスビジネスの増強
  • 前期中計で収益化した米国や、安定的な利益を達成しているアジア(中国)が鍵を握る

このような現状と言えるでしょう。これを踏まえて株価の動きを見ていきます。

出典:株探

24年5月14日に決算が発表されましたが、その後株価が下落しています。増収増益、過去最高の営業利益を達成する見込みでありながらも、株価が下落する理由は、25年3月期の決算予想がコンセンサス予想に届かなかったことが要因と考えています。

特に業績回復期にはPER100倍前後をつけていたこと、コロナ明けの営業利益が倍々ゲームで伸びていたことから、今期の前期比+11%という成長率が、市場はやや物足りなく感じたのだと推察します。
一方で、業績が好調であるにも関わらず、株価が下落していますからPERは割安になっています。(決算発表前約38倍、24年6月4日現在約28倍)

リスクとして、キャラクター人気の波、つまり業績のボラティリティがあることは把握しておくべきでしょう。(それをIPポートフォリオで対応するわけですが)
また、23年3月には2015年から2022年にかけて会計の不正操作があったと報道されました。2015年度から22年12月末までの売上高と営業利益はそれぞれ約1億円過少に計上されていたようです。このように組織管理の甘さが完全に無くなったか?と言われると外部である我々投資家からは判断しづらい部分もあります。

バリュエーション上は割安であり、この3年間の回復は実に見事なものでした。ここから先、どのような成長を達成するのか今後も見届けたいと思います。
これらを参考に投資判断をしてみてください。

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執筆者

執筆者:佐々木 悠

佐々木 悠(ささき はるか)

つばめ投資顧問 アナリスト 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。
協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。
銀行勤務時は投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。
2022年につばめ投資顧問へ入社。

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