高成長×高配当 欲張りなあなたに注目2企業を解説 【メイテックGHD・キャリアデザインセンター】

成長力がある企業で配当金をもらいながらじっくり投資をしたい

誰もが株価上昇による利益(キャピタルゲイン)と配当金による収入(インカムゲイン)の両方をもらえる銘柄はないかなと考えるのではないでしょうか?

今回は、成長が期待できる人材派遣の領域で予想配当利回りが高い企業の現状を解説します。今回取り上げるメイテックグループホールディングス、キャリアデザインセンターの2社です。

期待できる企業のポイントと、注意すべき点の両方を分析していきます。

メイテックグループホールディングス(9744)

1つ目に紹介する企業が、技術者派遣サービス会社のメイテックグループホールディングス(以下、メイテック)です。

製造業の企画立案から設計、評価テストの実務を対象としたエンジニア派遣エンジニア特化型の職業紹介業を営んでいます。

2024年7月に創立50周年となる歴史ある会社です。エンジニア派遣事業の成功は、優秀なエンジニアの数と、そのエンジニアへどれだけ働く場所を提供できるかにかかっています。メイテックのエンジニア社員数は中長期的に増加しています。

出典:決算説明資料

メイテックのエンジニアの主な働き先は、デンソーやソニー、三菱重工、ニコン、本田など国内大企業です。これら企業に派遣され、収益を得ています。最大の収益源は自動車業界売り上げの27.9%を占めています。その他産業用機器、電子機器、航空機、ロケット等の専門的なエンジニアの派遣を行っています。

業績の推移を見てみましょう。

出典:マネックス証券

安定して成長しています。近年、ITなどの物のインターネット化が進んでいることに伴い、エンジニアの需要が高まっています。経済産業省の調査によると、機械工学系のエンジニアは今後も最も技術者が不足する分野だと言われています。今後も同社のビジネスの需要が高まることが予想できるでしょう。

そしてメイテックの大きな特徴は、配当に非常に積極的であることです。配当に関する方針を見てみましょう。

出典:決算説明資料

配当の安定性の観点では、配当性向の下限値として連結株主資本配当率(DOE)5%としています。配当金の基準を利益と比べて変動が小さい株主資本としているため、配当の安定に繋がります。24年3月期基準のDOEは筆者の計算で、約18%です。(配当性向は71%)仮に何らかの理由で業績が悪化し、DOE5%の水準まで配当金が減配となった場合、24年3月114円だった配当金が、30円近くまで減少する可能性があります(減少率約75%)。

なお、25年3月期の1株あたり配当金は前年比+74円(前年比約65%増)の188円です。うち30円分は創立50周年の記念配当が含まれており、予想配当性向は120%です。しかしこの記念配当を考慮しない場合、配当性向が約100%となる見込みです。配当方針に基づいた積極的な株主還元です。

出典:マネックス証券

仮に株価下落が起きた場合は、自己株式の取得を行う姿勢を見せていますから、かなり株主還元や株価を重視している企業だと言えるでしょう。なお、資本の規模に比べ利益を稼いでおり、ROE26%と大変優れた数値です。

リーマンショック級の経済危機が訪れたり、コロナ禍などのイレギュラーな事態では減配が発生しました。しかし、基本的に市場の需要が高まる業界であり、配当に積極的な企業であるため、成長と配当の両方が期待できます。

株価の推移を見てみましょう。

出典:株探 月足チャート

過去10年の平均PERは約19倍です。24年6月11日終値現在のPERも約19倍です。株価は上昇していますが、特段割高ではないと考えます。同日の配当利回りは6.14%、成長性と株主還元の両面から、魅力ある企業の1つだと考えています。なお、記念配当を除いた予想配当利回りは約5.1%です。一時的な要因を除いたとしても十分に高い配当利回りです。

キャリアデザインセンター(2410)

次に紹介する企業は、同じくエンジニア系の転職サイトを運営するキャリアデザインセンターです。
代表的なサービスは、総合転職サイトの「type」や「女の転職type」などの転職サイトを運営する企業です。オードリーの2人を起用した広告宣伝などを行っており、一定の知名度があるサービスといえます。その他転職コンサルタントによる転職支援であり人材紹介事業や自社でIT技術者を雇用し、求人企業へ派遣するIT派遣事業などもあります。

出典:マネックス証券

売上の内訳を見ると、最大の収益源はIT派遣事業であり、その次にメディア事業が続きます。先程のメイテックが機械エンジニアに強かったのに対し、キャリアデザインセンターはITエンジニアに強いという違いがあります。IT業界においても人材不足が続いているため、注目すべき業界の1つです。業績の推移を確認してみます

出典:マネックス証券

2020年、コロナ禍においてはクライアント企業の人材採用の中止、縮小の流れを受け赤字に転落しています。リーマンショック以来の赤字となり厳しい状況にありました。しかし、経済回復の流れを受けてエンジニア領域の人材採用が復活しています。人手不足の状況からも、採用事業の回復が起きており、積極的なプロモーション戦略の効果もあり、エンジニア転職求人と登録型人材紹介事業の両輪が好調です。

配当金の推移を確認します

出典:マネックス証券

コロナ禍で減配となりましたが、業績の回復に伴い配当金は復活しています。有価証券報告書の配当政策を見ると、配当に対する具体的な比率などは示されていません。しかし、基本的には利益増加に伴って配当金を増加させる意向に見えます。配当性向の過去の推移からは概ね30%から40%前後に留められており、明言はなくともコントロールしている様子がわかります。

株価の推移を見てみます。

出典:株探 月足チャート

24年6月11日終値現在の利回りは4.6%、PERは8.1倍です。過去10年の平均PERは14倍であることから割安感があると言えるでしょう。もしかすると思わぬ穴場銘柄なのかもしれません。

あなたはどの企業が好き?

今回は、高成長×高配当というテーマで、人材関連の企業を取り上げました。

最後にまとめます。

  • メイテックは機械エンジニアの派遣に強く、株主還元を意識している企業
  • キャリアデザインセンターはITエンジニアに強く、安定した配当戦略に見える

 

これらの特徴があります。

こういった企業は、景気下落局面では自社で雇用する人材の働き先が無くくなることから、景気変動のリスクは高い側面があります。しかし、リーマンショック以降は大きなショックも少なく、キャッシュリッチな状況です。お金の一つの使い道として、配当還元の方法が取られていると言えます。

大切な事は、利益の成長に一定の継続性が見込まれること、かつ配当性向があまりにも高すぎない(常に100%を超えるような状態ではない)ことが重要です。目先の数字だけではなく、その数字の裏に隠れた企業のビジネスの現状や配当など株主還元に対する会社の姿勢を分析することで、信頼度が高いのか低いのかと言う判断につながると考えます。今後もつばめ投資顧問では配当金に関連する記事を執筆していきますので、見逃さないようにメールマガジンの登録をお願いいたします。

配当金を受け取りながら株価上昇を楽しめる、理想的な株式投資生活を送れると良いですね。今回の記事を参考に、あなたも好きな企業を見つけてみてください。

執筆者

執筆者:佐々木 悠

佐々木 悠(ささき はるか)

つばめ投資顧問 アナリスト 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。
協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。
銀行勤務時は投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。
2022年につばめ投資顧問へ入社。

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