いい企業には高い値段がついていますが、まれにその企業が属する集団ごと嫌われることがあります。私たちがすべきことは、嫌われた集団の中から最高の銘柄を見つけ出すことです。
投資家が銘柄を選別する状況で取るべき行動
株価は一進一退が続きます。米中貿易戦争の進展やトランプ米大統領の発言に、市場は神経をとがらせているようです。
しかし、本当の投資家なら、そのようなことを気にする必要はありません。毎日の株価変動は最終的な成果とは関係がなく、安くなったら抜け目なく買って、高くなったら売るだけです。市場に振り回されず、利用するつもりでいなければなりません。
昨年の上昇一本調子の相場から変調し、投資家が銘柄を選別する状況になっています。新興・小型株は下げ基調が続き、国別では中国株の調子が芳しくありません。一方で、大型優良株に資金が集まる展開です。投資家は株式市場から資金を引き揚げているわけではありませんが、いざという時に備えて安全牌を取りにいっています。
バリュー株投資は基本的に逆張りですから、あえて値上がりしている銘柄を取りに行くことはしません。いくら優良銘柄でも、割高なものはより値下がりリスクが大きくなるからです。当たり前のことですが、同じ銘柄を買うなら安く買えるにこしたことはありません。
今に限ったことではありませんが、注目すべきは市場から敬遠されつつある場所でしょう。新興株や中国株は確かにリスクの高いものもありますが、目を見開いて探すことで素晴らしい価値を持ったものを見つけることができます。それらを「割引価格」で購入できるとしたら、こんなにうれしいことはありません。バリュー投資家にとって、値下がりはむしろ喜ぶべきことです。
敬遠された集団から素晴らしい銘柄を探す
値下がりしている集団の中から最も優れた銘柄を見つけ出すことは、成果を出しやすい投資戦略だと確信しています。今は周りに流されて値下がりしていたとしても、やがてその集団が正当に評価されたときに、素晴らしい銘柄ほど株価が上昇する可能性が高まります。
私がこのような投資戦略により見つけた銘柄が、JXホールディングスやダイト、ロイヤル・ダッチ・シェルです。いずれも推奨時から30%を上回るリターンを獲得しています。(銘柄名は記事にリンクしています。)
JXホールディングスやロイヤル・ダッチ・シェルは、原油価格下落で不安視されているところを、長期的には問題がないと考え推奨しました。ロイヤル・ダッチ・シェルは、もともと国内の石油関係銘柄を探していましたが、それならばより優良かつ配当水準の高い銘柄が海外にあると気づけたことは自分にとってラッキーでした。
ダイトは、ジェネリック医薬品業界の競争激化や政府による薬価の値下げ方針がネガティブな見方を呼んでいましたが、直接競争に巻き込まれにくく、ニッチなポジションを築いていることを発見し、割安感を見出しました。
この投資戦略では、割安であると同時に、より優良な銘柄を見つけやすいと考えます。同じセクター間で比較検討するため、単にPERなどの数値だけではなく、企業のクオリティ自体も天秤にかけることができます。それらをトーナメントにかけることで、そのセクターで最も良いと思われる銘柄を拾っていけるのです。
バリュー株投資では、割安感にこだわるあまりに、銘柄のクオリティを軽視してしまうことがあります。私もその罠に陥ることが少なくありませんし、バフェットもかつて割安ながら斜陽だった繊維企業に投資して失敗しています。
多少PERが高かったとしても、より良い企業を買ったほうが、上昇局面では大きく伸びやすいのです。このことを示すバフェットのセリフはこれでしょう。
” そこそこの事業を割安で買うより、素晴らしい事業をそこそこの値段で買ったほうがいい ”
この考え方を持っているからこそ、株価が多少上昇したとしても売ることなく長く持っていられるのだと思います。私もその境地を目指し精進していきたいと思います。
※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。
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