※2024年8月2日午後時点
日経平均株価が過去2番目の下落幅となりました。
この下落を受けて焦っている方もいるかもしれませんが、まだまだあわてるような時間じゃありません。
暴落の理由
まず、日経平均が下がっている理由を説明します。
7月31日に日銀の植田総裁が金融政策を発表し、その中で金利を0.25%引き上げると発言しました。
日本において金利の引き上げは長らく行われていなかったことです。
なぜ金利を引き上げるのでしょうか。
物価上昇への対応
一般論として、物価の上昇が行き過ぎると世の中が混乱してしまいます。
インフレの時には金利を引き上げて世の中に出回っているお金を減らして物価の上昇を抑えるという鉄則があります。
今日本の物価は上がっているので、金利を引き上げることは教科書的には自然の流れです。
ただ、日本の金利を引き上げたところで、物価に与える影響はどれほどのものなのか疑問があります。
グローバルでお金はまわっているので、世界の経済や物価に大きな影響を及ぼすのは「ドル」になるかと思われます。
特にアメリカのFRBがインフレの高まりに従って金利を引き上げてきたことは、日本を含む世界経済に対して意味のあることだったと思いますが、日本の政策金利を引き上げても物価に与える影響は軽微なところがあります。
円安の是正
今の日本のインフレは、金融政策の問題よりも円安によるものが大きいです。
この円安の要因を作っているのが低金利です。
日本の金利が低くてアメリカの金利が高いとなると、金利の高いところにお金を置いておいた方が金利収入を得られるので、世の中的には円を売って(借りて)ドルで運用するという動きになります。
円を売ってドルを買うので、円安ドル高となります。
アメリカのFRBもコロナの時には経済が悪くなるということで金利をほぼゼロのところまで大きく引き下げました。
しかし、その後アメリカではインフレになったので金利をどんどん引き上げ、4~5%のところまできました。それに対して日本の金利はマイナスと0の間くらいだったので、金利差が大きくなり、円安ドル高が進んでいったというのが今の状況です。
この円安を是正することが今回の利上げの理由としてあると思います。
本来、日銀は為替レートを操作する立場にはありません。
ただ、金利差が影響して円安になっているのであれば無視できないということで、(表には出ないですが)政府からも要請があったのではないかと思います。
今回に限らず今後の更なる利上げも示唆しています。
日銀の政策の是非
政府からの円安是正の要請もあるかと思いますが、植田総裁は経済学者なので、利上げは正しい判断だとしていると思います。
金利がゼロというのは金融政策としては異常な状態と言えます。
逆に景気が悪くなった時に引き下げる余地が無く、さらに景気を悪化させてしまう可能性があるからです。
相対的に見て今の日本の景気は悪くなく、今のうちに金利を上げておいた方が将来的な金融政策の柔軟性が増します。
日本の金利が引き上がると日米の金利差が縮まるので、今までと逆の動きとなり円高ドル安に向かうということです。
株価が下落した理由としては、円安基調から円高基調になりつつあるからということになります。
日本の株価を支えているのは製造業を中心とする輸出企業であり、円安のメリットを享受してきましたが、それが無くなるということです。
外国人を中心にいよいよ資金を引き揚げる局面だということで、利益確定と円安終了という売り圧力が高まっている状況です。
日銀の対応には批判もありますが、私はごく自然な対応だと思います。
やはり物価が上がっている時には金利もある程度上げるべきだと考えています。
金利が低いということはお金を貸す時にもらえるお金が少ないということで、例えばインフレ率2%の時には不動産などのモノを持っていれば2%ずつ増えていくことになり、そんな時に金利1%でお金を貸すメリットはありません。
むしろ金利1%で借りて2%で運用した方が良いということになり、資産バブルを生んでしまいます。
実質金利(政策金利-インフレ率)がマイナスの異常な状態を正常化するには絶好のタイミングだったのではないかと思います。
私としては日銀のやるべきことをやっているという感覚ですし、いずれこうなるだろうと思っていたので、今の状況にあわてることはありません。
むしろこれまでの円安や株高が少し過熱感があったのではないかと思います。
まずは、異常なことが起こっているわけではないということをお伝えしたいです。
長期投資家の取るべき行動
では、今長期投資家としてどう動くべきでしょうか。
大きく株価が下がっていますが、これは良い企業を買うチャンスだと捉えられます。
一番やってはいけないことは、あわてて株を売ってしまうことです。(狼狽売り)
株の基本は安く買って高く売ることです。
下がった時に売るということは安く売るということになってしまいます。
それに対して、理由の無い株価の下落は、良い企業を安く買うチャンスとなり得ます。
特に今回は、円高になるということで、優良な輸出企業も売られているケースが多々あります。
しかし、円高といっても、1ドル=160円だったものが1ドル=150円を切ったくらいのもので、(今後どうなるかは分かりませんが)過去の水準よりはまだかなり円安の状況ですし、多くの輸出企業は想定レートを1ドル=140円くらいに置いています。
想定レートを現在の為替より円高に置いている企業の業績予想(予想が保守的)から割り出したPERが常識的な範囲内であればそこまで割高ではないと思います。
逆に、業績予想を良く見せるために想定為替レートを円安に置いている企業には注意が必要です。
既に想定為替レートより円高になっているとしたら、どこかで下方修正が入る可能性が高いです。
日本の輸出企業は半導体も含めて強い企業が多いです。
自信のある企業ほど想定為替レートを控えめに出している傾向もあるので、そういう企業を狙ってみると面白いかもしれません。
ただし、今下がっている株価であったからといって、すぐに上がるとか、今が底値だとか、そういう話ではないことは改めて言っておきます。
株価が今後どう動くかは誰にも分かりません。
実際に経済の状況を見ますと、ここ数年株価の上昇を支えてきたアメリカ経済はかなり弱くなっています。
アメリカの消費が弱含みとなると、もしかしたら景気悪化の局面に入っていくことも考えられます。
一方で景気が悪くなればアメリカは利下げをすることになるので、そうなると日米の金利差がさらに縮まり、円高が進み、日本の輸出企業にとっては厳しい局面が続くかもしれません。
だとすると、これまで円安に苦しんできた小売りなどの内需系の企業が円高のメリットを受けられるようになり、そういう銘柄も持っていれば目先の動きは緩和されるかもしれません。
今後どうなるかは分かりませんが、長期投資家が目先でできることは、大きく下落した時に、良いと思える銘柄をコツコツと買い足していくことだと思います。
投資の心構え
売るべきタイミング、買うべきタイミングを完璧に読むことは不可能です。
長い期間になればなるほど重要になることは、良い企業を買うことです。
良い企業は、目先のアップダウンはありながらも長期的に見れば企業が稼いだお金を増やすことによって、企業自体が複利で成長していき、株式の価値も上がっていきます。
いつ買ったかということはあまり重要ではなく、良い株をどれだけたくさん買ったかということで資産の増え方が決まってきます。
大事なことは、「いつ」買ったかではなく、「何を」「どれだけ」買ったかということです。
投資をあまり難しく考える必要はなく、目先の金融政策などに惑わされることなく、良い企業を少しずつ買っていって、下がった時には多めに買ってみるという気持ちで買い増していけば、やがて大きく増えることになります。
10万円が5倍になっても50万円(+40万円)にしかなりませんが、100万円なら2倍になっただけでも200万円(+100万円)です。
周囲に惑わされず、コツコツと進めていくことが投資の王道だと思います。
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