相場の下げを予想しているのに私が株を売らない理由と、「期待値」の本当の意味

2019年の私の相場見通しは、年央にかけて下り坂です。

しかし、一方では既に投資している銘柄は保有を継続しています。ここでよく会員の方から聞かれるのが

「下げを想定しているなら売るべきではないか」

ということです。

しかし、私は売るつもりはありません。それは単に長期投資やバイ&ホールドをポリシーとしているだけでなく、明確な理由があります。

学校で習った「期待値」がここで活きる

その理由とは「期待値」です。皆さんも数学の授業で習ったと思います。

例えば、4枚のうち1枚が「あたり」のくじを引いて、「あたり」が出たら100円、「はずれ」が出たら10円がもらえるとします。このときの期待値は

100円×0.25+10円×0.75=32.5円

です。したがって、このくじを30円で引けたらお得、40円ならそうでもないということになります。

株価に対する考え方も基本的にこれと同じです。

現在2000円の株があったとします。私はこの株の成長性を見込んでいて、4000円が妥当だと考えています。

一方で、市況が悪くなれば1500円になってもおかしくないと考えます。むしろ、相場観としてはこちらの可能性の方が高いと思っています。

相場観を反映し、これから1年間で上がる確率を30%、下がる確率を70%としましょう。

それぞれの場合の損益の期待値は以下のとおりです。

上昇:(4000円-2000円)×30%=600円

下落:(1500円-2000円)×70%=▲350円

したがって、持ち続けた場合の期待値は600円-350円で250円のプラスとなり、売った場合はゼロですから、持ち続けた方が良いという判断になります。

このようにして見ると、下落確率を70%と予測しているのにもかかわらず、売らない理由がお分かりいただけると思います。

期待値の感覚を磨くことが投資技術向上につながる

ここでは、買値は関係ありません。利益が出ていようが損が出ていようが、その場その場で期待値を判断し、売買を判断するのが投資というゲームの基本動作です。

もし会社の業績が怪しくなり、妥当株価の前提条件を3000円に変更しなければならなくなったとしたら、持ち続けた場合の期待値は▲50円となります。こうなると、売却を決断せざるを得ないのです。

ここで出てくる数字は、現在の株価以外は主観的なものでしかありません。しかし、経験を積むほど、主観を現実に寄せていくことができます。

これが、投資の技術が上がるということです。

もちろん、どんなに経験を積んだ人でも100%はありません。それでも、長くうまく続けている人は、期待値を判断する技術が長けているのです。

あなたも売買を判断するときには、ぜひ期待値の考え方を使ってみてください。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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