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米政府がGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に独禁法(反トラスト法)違反に向けた調査に入ることが報道されました。これを受け、4社の株価は下落に転じています。
既得権益と新しい世界の対立
これらの会社が市場で独占的な力を持つことは間違いありません。しかし、その力は時に攻撃の対象にもなります。トランプ大統領は、Amazonが米郵政公社を安値でこき使っていると批判しています。
反トラスト法とは、商取引の公正性が担保するために制定されたものです。例えば、同業の会社が談合して価格を固定してしまうと、消費者の利益が害される恐れがあるため、禁止されています。また、独占的な力を持つ企業が、取引企業に対して無理な条件を押し付ける(優先的地位の濫用)ことも、適正な取引ではないとされます。
ところが、GAFAに代表されるインターネット企業の台頭は、反トラスト法の解釈を難しくしています。なぜなら、彼らは価格を押し上げて消費者に不利益を与えるどころか、サービスを無料で使用させてシェアを拡大してきたからです。
GAFAがシェアを高めることで、不利益となるのは誰でしょうか。それは、競合他社でしょう。GAFAがいる限り、同じ事業を行おうと思っても太刀打ちできません。逆に、自らの事業が無料のサービスに淘汰される恐怖に怯えているのです。
つまり、これはもはや消費者の利益を守るためと言うよりは、既得権益と新しい世界の対立と見ることができます。
怯える既得権益とそれを利用するトランプ大統領
この傾向が顕著なのが欧州です。Googleは、EUから反トラスト法違反により5,700億円もの罰金を課されました。Android端末のGoogleプリインストールアプリが競争を阻害していることが理由とされますが、消費者はどんなアプリでもダウンロードできるため、無理やり感が否めません。その後も、個人情報保護などを盾に執拗に嫌がらせを受けています。
欧州では、GAFAに匹敵するようなIT企業が育っておらず、常にアメリカの後塵を拝する形です。GAFAを縛ることで域内の企業を守ろうとしているのでしょうが、それでも消費者はAndroid端末でGoogle検索やGmailを使い続けるでしょう。
もちろん、アメリカでも局所的に同様の動きがあることは確かです。トランプ大統領は既得権益の代表として振る舞っている向きがあり、GAFAを批判することで支持を獲得しようとしています。今回の動きも、来年の大統領選挙を睨んだ政権の動きということもあるかもしれません。
一方で、現在のアメリカの経済的繁栄があるのは、GAFAの力抜きにしては語れません。これらの企業があるからこそ、お金と情報がアメリカに集まる仕組みが出来上がっているのです。それを潰すことはメリットよりもデメリットの方が大きく、思い切った動きには出られないのではないかと考えます。
資本主義×インターネットの究極形態
恐ろしいのは、Googleが5,700億円の罰金を課されても、財務的にはびくともしないことです。それほど、これらの企業はお金が余って仕方がないのです。余ったお金は、自動運転をはじめとする最先端技術の研究やM&Aに費やされています。
このようにして、資本主義とインターネットが融合すると、勝ち組企業と負け組企業の格差はどんどん広がると私は考えます。
例えばトヨタは、自動車という限られた市場で数%の利益を得るために日々改善を続けていますが、Googleは毎日ジャブジャブに入ってくる利益を投資して、自動運転車のトヨタを作ることもできるのです。
極端な話、トヨタごと買ってしまうと言われても無茶な話ではありません。トヨタの時価総額は21兆円に対し、Googleの現金・有価証券は12兆円あり、それだけで過半数を取れてしまいます。
つまり、一度シェアを取ってしまえばあとは現金製造機となるインターネットビジネスで作ったお金(フロート)を、次の事業に投資してさらに大きくなっていくことこそ、資本主義×インターネットにおけるビジネスの究極形態なのです。
実は、バフェットも同じような考えで、保険事業の利益を投資につぎ込んでバークシャーを大きくした経緯があります。
私は、この流れは当面止まらないと考えています。だからこそ、これから大当たりする銘柄をおっかなびっくり保有するよりも、GAFAのような鉄板銘柄が下がった時にこつこつ買っていくことを好みます。
これまで上昇を続けた分、下げ局面ではこれらの銘柄に対する利益確定の売りが出やすくなっている気がしています。しかし、成長はまだまだ終わっていません。次に大きな下落があれば、いよいよ買いたいと考えているところです。
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