上がる株の見極め方 順張りが正義のワケ

今回は、「上がる株」の特徴について考えてみたいと思います。

株を買うなら、基本的にはこれから上がっていく株を探して投資することになると思いますが、実際にどういう特徴を持った株が上がるのかはっきりと認識していない方も多いのではないでしょうか。

「上がる株」の原理とは?

まず、株式投資の特徴についてです。

そもそも「株価」というものは、売りと買いが一致した時の取引価格のことです。
株価が上がっていくということは、より高い値段でも買いたいと思う人がいるということです。

つまり、人気のある株が上がるということで、これは見逃してはいけない事実です。

いくら自分が素晴らしいと思う銘柄を見つけたとしても、他の多くの人が欲しいと思わない限り株価は上がりません。

順張りと逆張りで言うなら、順張りで探した方が上がりやすい株を見つけられるということになります。

一方で、ただ人気があれば良いというわけでもありません。

株価には一定の基準があり、それが「価値」と呼ばれるものです。

どれだけ人気があって多くの人が買いたいと言っても、結局は金融商品なので、その裏付けとなる経済的なもの(企業が出す利益や配当など)が存在します。
この価値というものは曖昧ではありますが、この株にいくらなんでもこの価値が付くことは無いだろうという基準は存在します。

要するに、PERが上がりすぎていないということが重要で、どんなに人気があっても上がりすぎたものはやがて下がるしかないということになります。

人気と価値のバランスを見極めながら判断するということが大原則となります。

期間別”上がる株”

一口に”株価が上がる”と言っても、期間ごとに分けて考える必要があります。
目先で急騰する上がり方もあれば、時間をかけてじっくり上がっていくものもあります。
当然、これらは違う基準で探す必要があるので、短期・中期・長期のどの期間で上がる株を探しているのかしっかりと考えながら投資をしなければなりません。

短期で上がる株

私は長期投資を行っていて、短期については専門外にはなってしまいますが、原則として言えるのは、「人気」「トレンド」というところが短期では重要となります。
そして、個別で見ることが大事だと思います。
個別で多くの株を見ながら、人気に火が付いた瞬間の株を買おうということです。

そこで大事になるのがトレンドです。

一度火が付いた銘柄は、しばらく上昇し続けることが多いです。
材料(ニュース)が出たことによって上がるということもありますし、上がっているということ自体が理由となってさらに上がるという動きもあるからです。

トレンドはある程度継続すると考えておくべきでしょう。

短期で考えているにもかかわらずトレンドに逆らった動きをすると、大きな損失につながってしまいます。

短期のトレーダーがいつ売るかというと、トレンドが終わった時です。

トレンドが続く限りは利益を伸ばし続けるべきとなりますが、トレンドが終わると上がりすぎた株価は価値のところに収束しようとしますし、逆に下落トレンドとなって価値よりも低いところまで下がったりするので、その予兆が見えた時に手仕舞いするということになります。

中期で上がる株

中期で考えると、トレンドの考えに加えて、PERなどの価値の観点も入ってきます。

まず、人気の観点でいうと、セクターローテーションというものがあり、上がるセクターと下がるセクターが入れ替わっていきます。
人気のあるセクターは、一定期間(数週間~数か月)上がり続けることが多いです。

「小回り3ヶ月、大回り3年」と言われたりします。

中期で見る時に投資するべきなのは、人気のあるセクターとなります。
同じセクターの中で上がっている株があればその類似企業も上がる可能性があると考え、ある程度のまとまりで捉えると良いでしょう。

このまとまりはセクターに限らず、大型株と小型株、バリュー株とグロース株といったまとまりで動くこともあります。

そのまとまりの中で、人気が出つつある株はしばらく上がるという傾向があります。

最近ではバリュー株が上がるというトレンドがありました。

あるまとまりが上がったり下がったりを繰り返しているのですが、ここで価値の観点が入ってきます。

セクター全体が上がるトレンドもありますが、下がるトレンドもあります。
時にはあるべき価値に対して株価が下回ることもあり、その時に初めて逆張りが効いてくるのではないかと思います。
セクター全体が下がっていても、その中には良い株もあるはずで、その株を価値よりも低い価格で買えていたら、中期的にはあるべき価値に戻っていって、その勢いでさらに上がっていくこともあります。

長期で上がる株

長期で上がる株はシンプルで、業績が上がり続ける企業・銘柄ということになります。

業績が上がっていけば、PERが一定だったとしても業績の伸びに従って株価も上がっていくので、長期的にン業績を伸ばし続けられる企業を探せば良いわけです。

いかに適切に企業を分析できるかということにかかってきます。

実は「人気」の話も深く関わってくると思っていて、長期保有として人気のある株はやはり常に人気があります。
PERの観点でいうと、PERがずっと高いということです。

例えばユニクロのファーストリテイリングは、PERはずっと30~40倍で下がらず、それでも業績が上がるので株価もそれに従って上がっています。

長期で見る時に大事なことは業績が伸び続けているということで、下手にPERが低いものを選ぼうとしない方が良いです。
人気がある(=バリュエーションが高い)ものが無難ということです。

良いものは高い価格が付いて、そのまま継続します。

フェラーリは高いですが、人気があるので価格は上がり続けています。買った数年後に売ったら買った価格よりも高く売れることも珍しくありません。

もちろん例外や別の手法もありますが、良いものを買うということが最も間違いの少ないやり方だと思います。

順張り・逆張りでいうと、長期でもやはり順張りということになります。
良い企業は業績が右肩上がりなので、株価も同様に右肩上がりになります。
業績が伸び続ける企業はその時点でかなりの強みを持っています。

長期で見た時に右肩上がりのチャートを描いている企業は信用ができるということです。

【バフェットの言葉】
長期投資の極意とは、素晴らしい企業をそこそこの価格で買い、そして素晴らしい企業である限り持ち続けること

暴落!買いのチャンス!何を買う?

特定の企業やセクターではなく相場全体が下落した時には「買い」と言われますが、そういう時にどんな企業を買うべきかというと、一見矛盾するようですが、暴落時に下げ幅が小さかった企業を買った方が報われやすいと思います。
相場が暴落する時はとにかく売ってリスクを回避するという動きになりますが、それでもほとんど下がっていないということは、これだけは売りたくないという株だったり売るほどのリスクを感じていない株だということです。
そういう銘柄は、次に買いの資金が入った時に真っ先に買われやすいです。

相場全体が下落した時には、大きく下がった銘柄よりも、強かった銘柄を買うことがどちらかというと重要になると感じています。

基本はやはり順張りで、もちろん安く買うことも大事ではありますが、”下がったから”という理由で買ってしまうと上手くいかないかもしれません。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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