当社会員向けサービスでしぶとく推奨を続けてきたユニゾHD(3258)が、本日ストップ高を付けました。
ユニゾHDは賃貸オフィスビルとホテルを運営する会社です。低金利を追い風に近年は拡大戦略を続けてきましたが、毎年のように行われる公募増資で株価は下がり続けていました。
しかし、その間も業績は伸び、保有不動産の値上がりも相まってどんどん割安感が拡大してきました。直近では、保有不動産の時価から有利子負債を差し引いた時価が3000億円あるのに対し、時価総額が600億円にまで落ち込んでいたのです。
これぞ「500円で売られている1000円札を探す」割安株投資の醍醐味です。以下、会員向けレポートの一部を抜粋します。
【投資のポイント】
- ユニゾHD(3258)が3年連続の増資で株価下落。しかし、公募増資は本来株式の価値にマイナスではない。EPSもしっかり維持しており、将来の利益増加が見通せる。
- 同じ不動産賃貸であるREITと比較すると、ユニゾHDはREITの1/3でしか評価されていない。価値の源泉は同じであり、明らかな乖離が見られる。
- 増資懸念で株価は低迷しているが、逆に言えば増資さえ止まれば大きく上昇する余地がある。それまで気長に待っていれば手堅い投資となるだろう。
【銘柄詳細】
増資は株式の価値にマイナスにならない
昨年7月からの推奨銘柄であるユニゾホールディングス(3258)が公募増資を行い、株価が下落しています。推奨開始時も公募増資によって株価が下落した時でした。2013、2014、2016、2017年に公募増資を行っており、今回で3年連続となります。
公募増資があることが分かっていてなぜ推奨しているのかと言えば、増資は原則として株式の価値にマイナスになるものではないからです。発行済株式が増加することで1株あたり利益(EPS)は一時的に減少しますが、増資で得た資金は間違いなく企業価値に上乗せされます。得た資金を元手に利益を生み出せば、EPSもやがて上昇します。
資金を経営者報酬や豪華な社屋などの無駄遣いに投じるのであれば株主の怒りも当然ですが、ユニゾは不動産やホテルなど、高確率で利益を出せる資産に投資しています。そこから将来的に利益を出せるなら、1株あたりの価値が減少することはないのです。
度重なる増資にもかかわらず、EPSは増加~横ばいとなっています。それに反比例して、PERはどんどん割安になっています。一時的なEPSの低下や受給悪化を懸念する短期投資家の行動の影響でしょう。価値を考えると、時間が経つごとに「うまみ」が増しているのです。
※2019年は会社予想EPS(増資調整後)、株価は2018/5/11終値
利益の増加にはタイムラグがあります。既存物件の取得ならすぐに利益に反映されますが、現在強化しているのは新設のホテルです。資金が入ってから建設、開業準備まで時間とお金がかかることから、利益が出るのはしばらく後になるでしょう。
逆に考えると、ホテルの開業が進めば自然と利益が増加してくるということです。現在開業しているのが20件なのに対し、計画開発中が11件あります。これらが開業した時の利益を考えると、今の株価水準におけるPERは5倍に近づくような割安水準となるでしょう。
REIT基準で考えると今の株価の3倍の価値が見込める
増資を頻繁に行う銘柄と言えばREITです。例えば、「大和証券オフィス投資法人(8976)」は2014~2016年にかけて3年連続で増資しています。REITは成長のために資金を借り入れますが、それだけだと財務状況が悪化するため、増資によって自己資本を強化するのです。
同じ不動産賃貸業であるユニゾHDの増資も基本的に同じ考え方です。しかし、REITの増資はさほど嫌われない一方で、ユニゾHDの増資だけが嫌われるというのは本来おかしな話です。
ユニゾHDを不動産に投資するREITと比較してみると、その本来の価値が見えてきます。REITで重視される投資指標は、純資産(NAV)倍率と利回りです。
【NAV倍率】0.25倍 vs 0.8~1.3倍
NAV倍率とは、株価が時価評価した不動産の何倍かを示す指標です。不動産は評価額がブレにくいため、合理的に考えると1倍が妥当水準であり、実際に上場しているREITは0.8~1.3倍に収まります。
同様の基準でユニゾHDのNAV倍率を計算すると0.25倍で、保有不動産時価の1/4しかありません。これは、1億円の物件が2,500万円で買えるということです。法人税を踏まえて7掛けで考えても、ユニゾHDには2.8倍の「安全域」があると考えられます。
【利回り】12.5% vs 3.2~3.6%
REITの分配金利回りは3.2~6.5%です。ユニゾHDの配当利回りは3.5%ですが、ここで両者の仕組みの違いを踏まえる必要があります。REITは利益の9割以上を配当しなければなりませんから、利回りは必然的に高くなります。
ユニゾHDが利益の全額を配当したとすると、利回りは12.5%に上ります。利回りがREIT平均の4.5%に調整されたとすると、ユニゾの株価は2.8倍まで上昇余地があるということになるのです。偶然ながら、NAV倍率で見た場合とちょうど同じ数字です。
すなわち、ユニゾHDがそのままREITになったとすると、現在の株価から2.8倍の価値が見込まれるということです。もちろん、REITも株式も価値の源泉は変わりませんから、それだけユニゾHDは割安だと確信を持って言えます。
増資さえ止まれば上昇は時間の問題
それではなぜこれだけ割安に放置されているかというと、ひとえに増資懸念があるからです。合理的であるかどうかにかかわらず、株式で増資があると株価が下がることは定説となっています。
しかし、同社の価値は間違いなく増加しています。そのため、長い目で考えるといずれ株価は価値に近づいてくるはずです。
それがいつになるかを正確に予測することは困難ですが、わかりやすいのは毎年の増資が止まった時でしょう。価値は明らかであり、指標面でも割安を示しているわけですから、増資懸念さえなければ株価は上がるはずです。
新規投資額は2016年度1,400億円、2017年度1,300億円、2018年度800億円と徐々に減少しています。これまで急速な拡大を続けて来ましたが、そろそろ落ち着いてもいい頃だと思われます。国内不動産の取得はすでに一服し、保有不動産の売却に転じれば、含み益が利益として顕在化することになります。
もし増資が止まらなかったとしても、株式の価値が減ることはないので気を揉む必要はありません。問題は、市場がいつ価値に気づくかということだけです。都心部の賃貸物件中心のため、不況の影響も受けにくいビジネスモデルです。
明らかに割安であり、価値の減少も考えにくいため、長期保有にうってつけの銘柄と言えます。安くなったら買って、気長に待っていれば良いでしょう。
※2019年5月31日コメント
ユニゾHD(3258)の筆頭株主に、HIS(9063)が初めて登場していることが明らかになりました。
保有比率は4.52%です。これを受けて、株価は上昇しています。
HISに問い合わせたところ、ユニゾHDの財務内容を踏まえた「純投資」との回答でした。もちろん、戦略提携の目的があったとしてもそうとは言えません。今後何らかの動きが出る可能性があります。
もし何もなかったとしても、保有資産に対してなお大幅に割安だと捉えています。HISの澤田会長は株式投資で起業資金を稼いだ強者であり、「純投資」というのもあながち嘘ではないかもしれません。
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