アメリカの大統領選挙が行われ、トランプ氏の当選が確実となりました。
それを受けて日本の株式市場も大きく盛り上がっています。
トランプ氏は本人も大富豪ですし、株価を上げた方が支持率も取れるし自分も潤うということで、株式市場にとっては好感されることです。
実際に前回トランプ氏が大統領を務めていた2016年~2020年には株価が上がっています。
バフェットは暴落を予期している?
一方で気になるのがウォーレン・バフェットの動きです。
バフェットは今、株をどんどん売って現金比率を高めています。
特にポートフォリオの筆頭銘柄であるAppleの株を、2024年の上半期までに半分に減らしました。
そこから直近にかけての3ヶ月でさらに4分の1を売り、ポートフォリオの50%を占めていたApple株が今では20%くらいになっています。
代わりに何かを買うということはなく、基本的に現金で持ち続けているということになります。
現金だけでなく米国債も持っていて、債務不履行の可能性が限りなく低い米国債が今利回り5%くらいあるのはかなりおいしいと考えているのではないかと思います。
とはいえこれだけ株を売るということは、バフェットは何かを警戒しているのではないかとも思えます。
バフェットといえばやはり長期投資家であり、一度買った企業はそのまま持ち続けることを信条とする投資手法で知られていて、実際にその手法で実績をあげてきました。
一方で、バフェットはこれまで多くの株を売ってきています。
どういった株を売るかというと、一つは、まず買って様子を見て、違ったと思えば割とすぐ売っています。
直近ではTSMCもそうでしたし、少し前ではIBMもありました。
つまり、バフェットも買った時点ではその銘柄が未来永劫持ち続けるような完璧な銘柄だとは思っていなくて、買ってからいろいろ見て判断しているということです。
あとは、やはり株が高くなりすぎた時には売っています。
具体的に言うと、かつてペトロチャイナという中国の石油会社の株を持っていました。
2000年前半にバフェットが投資をして、その後石油価格が上がる時期がありました。
しかもその時は中国の経済は絶好調で、ペトロチャイナの株価は大きく上がりました。
しかし、バフェットはさすがに上がりすぎだと判断し、やがて全て売却するという動きに出ました。
その後ペトロチャイナの株価はズルズルと下がり、今では目もあてられないような状況となっています。
これを見ると、もしかしたらAppleも割高すぎると思っているのではないかと考えられます。
さらに言うと、現金がこれだけ積み上がっているということは米国株全体が割高だと思っているのではないかという疑念も沸きます。
それを示す一つの指標としてこのShiller PE Ratioというものがあります。
過去10年間の1株あたりの純利益の平均値をインフレ率で調整した実質純利益でPERを計算するというものです。
PERは毎期の利益によって計算するので景気によってぶれやすいですが、それを均して長期間で見て長期間の純利益に対して今の株価が割安か割高かを示すものです。
これを見ると、一時期の異常値のようなものに惑わされることなく今の株式市場が割安か割高か判断することができます。
2024年の時点で36.83倍と、過去と比べてかなり高い水準となっています。
大統領選に向けて、株式市場の期待値が非常に高まっていた状況となっています。
トランプ氏が当選するのではないかという期待が高く、この1年のダウ平均株価も非常に好調です。
大統領選挙の年は、候補者のリップサービスなどもあり株価が上がりやすい傾向があります。
株価が上がっている一方でバフェットは慎重になっているように見えますが、このギャップが整合性を持ってきているのではないかと思います。
大統領選下での株価上昇というものがファンダメンタルズ的な裏付けがあるかというと疑問で、むしろ足元では景気が悪化するのではないかという指標も出てきています。
ずっと強かった個人消費が弱まってきていて、コロナ禍での補助金などの貯金が尽き始めていているのではないかと見られます。
となると、大統領選を終えた2025年の株価は大丈夫なのだろうかと思ってしまいます。
バフェットも売った理由については何も言っていなくて、Appleについて何か警戒しているというよりは、他の理由が考えられます。
一つはポートフォリオのリバランスです。
Appleが大きく成長してきたので、Appleの占める割合が大きくなりすぎたのです。
このまま持っていると、Appleの株価が下がった時にはポートフォリオ全体が大きく下がってしまうので、リスク管理としては望ましい状態ではありません。
また、バフェットは94歳であり、いよいよ次の世代に引き継ごうとしています。
1銘柄で50%以上あるポートフォリオというのは異常な状態で、バフェットなら管理できるかもしれないですし、下がったとしても批判を受けるだけのある意味のカリスマ性もありますが、引き継いだ後の人がそういう状況となると大変です。
だから今のうちに分散を進めているのではないかという見方もあります。
一概には言えませんが、新たに買うような状況でもないというところでもあります。
良い企業を買って持ち続けるだけ
私は株式市場は予想しない(できない)というスタンスですが、足元の温度感はやはり高めだと思っています。
こういう時は警戒が必要で、株価が上がれば上がるほど多くの投資家が利益確定したいと思うようになります。
よって、何かリスクが表面に出てくると人々は一気に株を売ることになるので、いわゆる暴落的なことが起きてもおかしくないと思っています。
何かしらの経済指標がネガティブに動いたり、何かイベントが起こったりするとそれをきっかけに株価が急落することも考えられます。
かといって、今持っている株を売るべきかというとそれもまた違う話かと思います。
いつか大暴落が来るかもしれないというリスクはどんな時も株式市場は抱えています。
その時に株を売ってしまうと、逆に上昇した時の果実を得ることができなくなります。
一度売ってしまうと、確かに暴落は回避することはできますが、今度はまだ下がるのではないかと思ってしまい、また買うことをためらっているうちにその後の大きな上昇を逃してしまいます。
途中で売買を繰り返すと、ただ持っていただけよりもリターンが少なくなることが統計にも表れています。
もちろん、売買を繰り返して稼ぐデイトレーダーのような人もいますが、成功することは難しいですし手間もかかります。
そう考えると、今持っている株を慌てて売る必要はないと私は思います。
バフェットの場合はとにかくAppleのポートフォリオに占める割合が大きくなりすぎたから売ったに過ぎません。
私が言いたいことは、例えば全売却のような極端な動きを取る必要はないということです。
良い企業であれば一度は下がってもその後上がることが想定されるので、持ち続けることをおすすめします。
2025年、もしかしたら大きな下落があるかもしれないと述べましたが、その時には恐れずに株を買うべきです。
大きく下がった時に買っていれば、株価が戻った時には資産が大きく増えることになります。
私はコロナショックの時に、ベタな銘柄ですがMicrosoftを買いました。
これまでいろいろな銘柄に投資をしてきましたが、みんなが知らないような銘柄で利益をあげることも可能ですが、有名な企業で業績がずっと良い企業の方が長い期間にわたって株価は上がっていきます。
PERを見て、できるだけ低いPERのものを買おうとしがちですが、良い企業は多くの投資家が認識しているのでPERは高くなります。
しかし、本当に良い企業だったらPERの水準かそれ以上に業績を伸ばしていきます。
PERが高い企業はそれだけ評価が高いということで、はたから見ても良い企業です。
本当に良い株であれば、時間が経つほど伸びていくので、そういう感覚で取り組むことができれば心穏やかに投資を続けられるのではないかと思います。
トランプ大統領になり、どのような政策を打ち出してくるかは分かりませんが、基本的に長期投資はそういうものに流されずに良い企業を買えば良いということになります。
あえて言うなれば、足元で短期的に警戒するべきは半導体かと思います。
やはり対中国で圧力をかけて、中国に半導体を輸出させないようにする可能性はあります。
日本の半導体製造装置メーカーは中国に売って利益を出していることも多く、例えば東京エレクトロンは昨年で売上の40%以上が対中国です。
そこが無くなってしまうと一時的には業績が悪化する可能性がありますし、それを受けて株価も落ちる可能性があります。
一方で長期的に見ると、半導体は今後必要性が増してくる事業なので、そういう時が買い時になるとも捉えられます。
もちろん下落が起こらない可能性もあるので、もし今半導体関連銘柄を持っているならそのまま持っておけば良いと思います。
大事なことは最終的にその事業が生き残って伸びていくことです。
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