投資の初心者はまず失敗しろ!勉強だけでは決して身につかないこと

株式投資をやってみたいと考える人は少なくありませんが、実際にやっている人はそう多くありません。日本証券業協会の調査によると、現在株式を持っている人の割合は12.2%にすぎず、そのうち約4割は1銘柄のみの保有です。

【参考】平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)

したがって、現時点で2銘柄以上を保有している個人投資家はわずか7%程度です。これは、株式投資を始めるハードルがいかに高いかということを示しています。

そのハードルとは、「十分な知識をまだ持っていない」「値下がりの危険がある」ことが上位に挙げられています。

株式投資に「十分な知識」などない

もしあなたが「十分な知識を持っていない」という理由で株式投資を行っていないとしたら、心配する必要はありません。なぜなら、株式投資に対する完全な知識を持っている人などいないからです。

私もいまだに、毎日のように株式投資について新しい学びがあります。「こんなことも知らずによく投資していたな」と思うこともしばしばです。

あのウォーレン・バフェットですら、一度投資したIBMから撤退するなど、いまだに失敗しています。

逆に言えば、完全な知識が存在しないからこそ株式投資はおもしろく、また大きな利益を出すチャンスが眠っているのです。

株式投資のメリットは「少額」「損失限定」

そんな中で間違いなく言えることは、とにかく始めてみなければ知識は得られないということです。「値下がりの危険がある」などと言っていては、いつまで経っても利益を得ることなどできません。

株式投資のいいところは、少額から始められて、なおかつ損失は投資額までで抑えられるということです。

例えば、10万円を投資してそのままその会社が倒産したとしても、損失額は10万円が限度です。

これが不動産投資だったらどうでしょう。アパートを1棟買おうとすると、1億円くらいしてもおかしくありません。そうなると、常識的な配分で自己資金は1,000万円、借金が9,000万円となります。

もしこれが「かぼちゃの馬車」のような詐欺的な物件だったとしたら、利益が出ないどころか9,000万円の借金の大半を背負ってしまうことになります。物件価格が3,000万円だとしたら、売却できても7,000万円の借金が残ってしまうのです。

株式投資は、やばいと思ったらすぐに売ってサヨナラできますし、最悪ゼロになるだけです。この柔軟性が、株式投資を始めるにあたっての大きなメリットと言えます。

もっとも、株式投資でも借金を背負う場合があります。それが「信用取引」です。これを使えば自己資金の3.3倍までの金額を取引できますが、損失額もそれだけ大きく動きます。したがって、自己資金以上の損失もあり得ます

信用取引をすることで、株式投資の「損失限定」というメリットを捨て去ってしまうことになります。初心者はこのメリットを活かすためにも、信用取引から入ることを避けるべきなのです。

「勉強」だけでは決して身につかないことがある

私が最初に買った株は、日揮(1963)という銘柄でした。

LNG(液化天然ガス)の採掘プラントを建設する会社です。この技術は千代田化工(6366)や東洋エンジニアリング(6330)など日本企業の独壇場で、その中でも日揮はずば抜けた技術・実績を持っていたのです。

この会社に出会ったきっかけは、たまたま社長の講演を聴く機会があったからです。世界に飛び出すビジネスモデルや技術の強み、「売上高1兆円を目指す」という力強い言葉に「これは買うしかない」と思ったのです。

当時も株価は伸びていましたが、売上高1兆円を達成するなら十分に安いと考えました。

しかし、その後株価は大幅に下がりました。私は「そんなはずはない」と思ったのですが、実際に下がっているので現実を受け入れざるを得ません。

【出典】株探

その時、私は始めて日揮の有価証券報告書に目を通しました。すると、LNGプラントというのは需要が大きく変動するビジネスだということがわかったのです!

LNGの価格は、原油価格に連動します。原油価格が高いときは、業界がイケイケでどんどんプラントの建設需要が舞い込むのですが、逆に下がると一気に消沈してしまいます。

私が投資したときは原油価格がピークにありました。その後アメリカにおける「シェールガス革命」で原油価格が下がり、LNGプラントの建設需要はストップしてしまったのです。こんなことも知らずに投資していた自分が恥ずかしくなりました

この失敗から、私は投資するときにはビジネスの「仕組み」や「歴史」を理解しなければならないことに気がついたのです。それまでも大学や証券会社での仕事で「勉強」はしていたつもりですが、実際に投資するまで実感することはありませんでした

まず失敗しろ!話はそれからだ

しかし、ここで失敗して良かったと思います。失敗しなかったら大切なことに気づかず、もっと大きな失敗につながっていたかもしれません

だからこそ、私が投資初心者に伝えたいことは「まず失敗しろ」ということです。例えそこで10万円を失ったとしても、諦めずに続ければやがて100万円にも1,000万円にも増やす原動力となります。

10万円は決して小さな金額ではありませんが、長い目で見れば微々たるものです。それで将来1,000万円の利益を生むとしたら投資効率はめちゃくちゃ上がります

まず始めて、失敗すること―それが幸せなお金持ちになるための第一歩です。

Print Friendly, PDF & Email

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

コメントを残す

Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

  • 【紅麹問題の小林製薬】株価20%下落はチャンスか? 過去の成功・失敗事例から学ぶ
    騒動の発端は2016年に遡る 紅麹は米などで紅麹菌を繁殖・発酵させたもので赤い色をしています。コレステロールの抑制作用や血圧低下、リフレッシ...
  • 【アステラス製薬の下方修正】1年で株価40%下落 営業利益90%減少の理由。今は買い?売り?
    アステラスの業績の変化 2024年4月12日、アステラス製薬は下方修正を発表しました。   その内容は、 「24年3月期第4四半期...
  • 株価20%上昇の大林組 3倍になった配当金は続くのか?今から投資するべき?
    大林組はゼネコン業界のNo.2の企業である 大林組はいわゆるゼネコン業界に属している企業です。 ゼネコンとは、ゼネラル・コントラクターの略称...
  • 【HIS】旅行需要回復でも株価が伸びない理由は?投資チャンスか?
    HISは儲かっている? HISは1980年創業の大手旅行代理店です。 格安航空券を仕入れパッケージプランとして販売し、当時敷居が高かった海外...
  • 株価35%暴落のアステラス製薬は買いか?売りか?次世代医薬品の期待とリスクを徹底解説
    アステラス製薬の苦しい現状 アステラス製薬は2005年に山之内製薬と藤沢薬品の合併によって誕生した企業です。 23年12月期の決算は売上高国...

Article List - 記事一覧Article List

カテゴリから記事を探す