NISAは長期投資に向かない。利益は伸ばし、損は切るべし!
金融業界が要望していたNISAの恒久化が見送られる方針とのことです。このままいくと、2023年までが対象となり、以降は存続しない見通しとなります。なお「つみたてNISA」は存続する方向性です。
【参考】政府、NISA恒久化見送り 富裕層優遇批判で困難と判断(SankeiBiz)
NISAと言えば、年間120万円までの投資に対する配当・譲渡益が非課税となるものです。2014年に金融課税が10%から20%に引き上げられるタイミングで導入されました。長期投資を促す目論見もあったようです。
しかし、私からすると必ずしも使い勝手の良いものではありませんでした。長期投資を標榜しながら非課税期間は5年間で、あまりに短いと言わざるを得ません。
本当の長期投資は、10年でも20年でも持ち続けることです。現在の仕組みでは、5年経ったときに強制的に売却を迫られることになります。
何より大きなデメリットは、損益通算ができないことでした。NISA以外の口座との相殺ができないため、損切りするインセンティブ(動機)がないのです。したがって、損が出ていたとしてもズルズルと持ち続けることになってしまいます。
利益の出ている株を売り、損が出ている株を持ち続けるのは、長期投資では最悪の戦略と言わざるを得ません。それとは逆に、利益の出ている株は可能な限り持ち続け、損が出ている株は中身を見極めてダメなら潔く損切りすることが求められます。
例えば、バフェットのポートフォリオはほとんど含み益の銘柄だけで占められています。これは良い株を売らず、ダメだと判断した株(IBMなど)を的確に売ってきたからです。
含み損となっている1銘柄(JPモルガン)についても、1年以内に買ったばかりのもので、判断はこれからというところでしょう。
損が出ている銘柄を売り、利益が出ている銘柄を持ち続けることは、税制上もメリットがあります。
毎年損切りまたは損出し(一度売ってまた買い直すこと)をすれば、配当や譲渡益と損益通算でき、税金を抑えられます。
一方で、含み益に税金はかかりませんから、それが良い銘柄である限りそのまま持ち続けることが得策と言えます。持ち続けて株価が落ちるのではないかと心配になるようなら、その時点で良い銘柄とは言えません。
本当に良い銘柄は、自らの成長によって含み益を伸ばし続けてくれます。回転売買で得た利益はその都度税金を取られますが、保有し続ける銘柄の成長は売るまで税金を取られません。これを続けると、20年後には大きな違いとなって現れます。
すなわち、税金面においてもバフェットが言っている以下の格言が生きてくるわけです。
株式投資の極意は、良い銘柄を良いタイミングで買い、良い会社である限り持ち続けること
ウォーレン・バフェット
株式投資で成功した人は、特にこの「持ち続けること」を実践できています。もちろん、持ち続けるに値する銘柄を選べることが大前提です。そのような銘柄を日々探し続けたいと思います。
「年間120万円」考え方を応用する
NISAで良かったのは、年120万円という「枠」を作ったことだと考えます。これは、私の投資スタイルにも大きな影響を与えました。
投資でまず迷うことの1つに「いくら投資すべきか」ということがあります。「投資は余裕資金で」と言われても、それがいくらなのかしっくりきません。
年120万円なら、月10万円です。月収から考えて月10万円の余裕があるかどうかは、割と判断しやすいのではないでしょうか。
私はかつて働きながらMBAを取得しましたが、これは授業料をまとめて払うのではなく、取得単位数に応じて逐次支払うスタイルでした。これも月10万円程度の計算で、まだ若くてまとまったお金がない中でも何とか捻出できる金額だったのです。
これは「自己投資」でしたが、株式投資にも同じことが言えます。つまり、まとまったお金がなくても、「予算」を設定することで、無理なく確実に投資に取り組めるということです。
余裕資金による予算を設定してしまえば、株価の下落に不安になることなく毎年投資し続けられますし、かと言って必要以上のリスクを取ることもありません。私がパイロット運用で「年300万円」という予算を設定しているのもそのためです。
毎年120万円も投資していると、やがてそこに対する利益の課税はさほど問題ではなくなってきます。NISAの恒久化見送りは「富裕層優遇」と批判があったとされますが、富裕層はNISAなど気にしていないのです。
本当に重要なのは、課税の動きよりも投資技術を磨くことです。毎年の予算の枠内で、無理なく確実に投資を続け、NISAなんか関係ないと言えるところまで資産を増やしましょう。
日経が年初来高値を更新する中で投資すべきか?
相場についても触れておきます。
株価は上昇が続いています。日経平均株価は金曜に年初来高値を更新しました。
上昇の背景にあるのは、やはり世界的な金融緩和でしょう。「カネ余り」で、とりあえずこの上昇に遅れまいと、調子のよい日本株に資金が集まっています。その証拠に、小型より大型株の上昇が顕著です。
このような相場で下手な買い物をしてもあまり良いことはありません。投資タイプは違いますが、「日経平均を動かす男」として有名なcisさんも次のように言っています。
長期投資にしても、今は無理しないことです。私も売買に関しては特にやることがなく、良い銘柄を探しながらただじっとしています。待てるかどうかも投資では重要なことです。
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