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多勢の予想に反し株価が上昇するのはなぜか
日経平均株価が好調です。金曜日も年初来高値を更新しました。
日本株はダウ平均株価と連動することが多いのですが、ここ最近はダウが下がっても日経が上がるという状況が続いています。世界的に見ても日本株が好調なのです。
上昇が目立つのが、医薬品や建設、銀行などの内需関連です。これらの銘柄に引っ張られて、10月に入ってからの株価は好調を維持しています。
10月と言えば、消費増税が始まったタイミングです。そこで内需銘柄が上昇しているとはどういうことでしょう。
穿った見方をすれば、消費増税を懸念して内需株を売ってきた投資家が、いざそのタイミングになってみると株価はむしろ好調なので、買い戻しに走ったということが考えられます。
特に、相場を動かしている外国人投資家の動きが顕著です。9月まで売り越していた外国人投資家が急速に買いに転じています。
しかし、これは決して消費増税の影響が小さかったことを意味しているわけではありません。増税からまだ1ヶ月も経っておらず、影響が数値として明らかになってくるのはこれからです。
ではなぜ株価が上がったのかと言うと、多くの人が「厳しい」と思う消費増税のタイミングで、たまたま世界の株式市場の「雰囲気」が良く、売りの流れにならなかったからでしょう。
もし、このタイミングで株式市場にとってショッキングなニュースがあったら、逆に大きく下がっていたことも十分に考えられます。実際に多くの投資家は、それを見込んで株を売り込んでいたと考えられます。
結果的には、株価は多くの投資家の予想とは裏腹に上昇することになりました。株価はこのような動きをするからこそ、その予想は難しいのです。
株式投資で最も危険な言葉は「今回は違う」
相場が予想できない中で、私たちはどのように行動すべきでしょうか。
1つは、過去の経験に学ぶということです。例えば、景気サイクルは強力な根拠となり得ます。
景気は必ず循環するものです。世界経済はこの10年以上にわたって拡大を続けています。その背景にあるのがリーマン・ショックの反動と各国の金融緩和、スマートフォンによるイノベーションです。
しかし、そのいずれもいつ息切れしてもおかしくなく、景気が逆に動くことは想定しておくべきです。
その予兆となりうるのが、今年8月に米国で発生した長短金利の「逆イールド」です。通常、長期金利は短期金利より高いのですが、これが逆転してしまったのです。
逆イールドが発生すると、2年以内に景気後退が訪れると言われています。過去に照らすとほぼ例外なくそうなっています。
これを疑問視する声も少なくありませんが、株式市場で最も危険な言葉は「今回は違う」というものです。歴史に抗おうとする人が、やがて波に飲まれて行きます。
もっとも、急落の直前は急騰しやすくなるのも事実です。ろうそくは消える前が最も激しく燃えるように、最後の吹き上げが生じやすくなります。
昨年も10月にその年の最高値を記録し、その後年末の急落を迎えました。同じことが繰り返されてもおかしくないのです。
英語で最も高くつく四語は「今回は違う(This time it’s different)」だ
ジョン・テンプルトン『テンプルトン卿の流儀』
焦る気持ちが失敗の元。急いで金持ちになる必要はない
投資家の行動としてもう1つ推奨するのは「後出しじゃんけん」です。
株価の予測は難しいのですから、予測しなければいいのです。すなわち、株価の動きを見てから行動を決めるのです。
長期的に見れば、割安かつ良い企業の株価は上がる確率が高いものです。だとしたら、上がった時に投資するのではなく、下がった時に投資した方が有利になることはシンプルに分かると思います。
しかし、多くの人は上がっている株を見ると、つい買いたくなってしまいます。それは、上昇に乗り遅れまいと焦る気持ちがあるからです。これは決して合理的な行動とは言えません。
確かに、狙っていた銘柄が上がってしまい、買うタイミングを逃してしまうことはあります。私もこのようなことのほうが圧倒的に多いのです。最近でも、3500円で指値し、1円差で買いそびれたスズキ(7269)がついに5000円まで上がってしまいました。
しかし、これは仕方がないと思います。人はどうしても「逃した魚は大きい」と思ってしまいがちですが、うっかり高値で掴んで、そのまま塩漬けになるよりは100倍マシだと思っています。バフェットも次のように言っています。
株式市場に見逃し三振はありません。
ウォーレン・バフェット
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