「長生きリスク」に備えよ!

何のために投資するのか。これは資産運用における終わりのないテーマです。この記事では、それに対する一つの答えを提示したいと思います。

運用の目的は「老後の生活資金」「病気や災害への備え」が多数

長期投資は、目先の利益にとらわれず、長い目で見て資産を増やすことを目的とします。どこまでが「長い目」か議論の余地がありますが、個人の観点では「人生」が最もしっくり来るのではないでしょうか。

金融広報中央委員会の調査によると、金融資産の保有目的は「老後の生活資金」「病気や不時の災害への備え」が群を抜いて多くなっています。

金融資産調査

何かに備えようと思ったら、その「発生確率」「かかる金額」を見積もることが重要です。

「病気や不時の災害への備え」は実はそれほど大きくありません。社会保険に加入していれば、万が一手術や入院が必要になった場合でも高額医療費制度で月に10万円程度で済むようになっています。今は入院期間も短縮され、生活に困るほどお金がかかることはありません。100万円程度の貯蓄があれば十分でしょう。

難しいのが「老後の生活資金」です。65歳の定年退職後を「老後」と考えると、平均で20年続くことになります。平均余命はどんどん伸びていますから、これから先の老後は増々長くなりそうです。

年金だけでは赤字。退職金で足りるかどうか・・・

年金受給額は、厚生年金加入者世帯(夫婦)の平均が月約20万円です。一方で、支出の平均は月約27万円と、収支がマイナスになることが分かります。月7万円、年84万円、20年で1,680万円です。住宅が賃貸であればさらに赤字は膨れ上がります。

収支が赤字になるなら、貯蓄を切り崩さなければなりません。退職後の貯蓄の原資で最も大きなものが退職金です。退職金の平均額は、経団連に所属する大企業の大卒者で2,400万円だそうです。年金不足額の1,680万円は何とかまかなえる気がします。

しかし、これはあくまで85歳まで生きると仮定した場合です。100歳まで生きると考えたら年金の不足額が2,940万円となり、退職金だけでは足りなくなってしまいます。また、高齢者は一度病気や要介護になると、そのケアに死ぬまでお金がかかります。現代は長生きすればするほどお金が足りなくなってしまう、何とも世知辛い世の中なのです。

もっと言うと、この話はただ生活していただけの話で、余暇のことまでは考えていません。「退職後は悠々自適に旅行でも」と考えている人も多いと思いますが、先々のことを考えると思い切ってお金を使えなくなってしまいます。老後になっても老後の生活のことを考えなければならないのです。

退職までに1億円の資産を作れ!

どうしたらこの問題を解決できるでしょうか。

一つの選択肢は貯蓄です。年金の不足額が補えるだけの貯蓄があれば、十分暮らしてはいけるでしょう。しかし、月日が経つごとに預金残高は減少していくので、安心して消費に回せない気にもなります。また、急なインフレが起きたら、貯蓄の実質的な価値は目減りしてしまいます。

二つ目の選択肢は、老後になっても働くことです。今の高齢者は元気ですから、その気になれば働けないことはないでしょう。しかし、老後まで働きたくない人もいるでしょうし、仕事のレベルは落ちるのでプライドが許さないということもあるかもしれません。

そこで私が提案するのは、退職までに1億円の資産を作り、退職時にインカムゲインの資産に切り替えることです。インカムゲインとは、利息や配当、家賃収入のことです。1億円の資産があれば、利回り5%で500万円の年収となります。これは例えばREITでも十分に可能な水準です。貯蓄と違って切り崩していくわけでもなく、インフレにも強いです。

貯蓄だけで1億円を作るのは容易ではありません。若いうちから貯蓄の習慣を付け、そこから株式や不動産など「正しい」リスクを取る投資をして、着実に資産を増やすことがゆくゆく人生を楽にするのです。

お金はなんでも買えるわけではありませんが、その使途は自由です。「いざという時」にも「余暇」にも使えます。お金の余裕があれば、心の余裕も生まれます。つばめ投資顧問は、投資で皆様の人生を豊かにすることをサポートしたいと考えています。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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