2025年、トランプ氏が大統領に返り咲くということで、現在はそれに向けて人事等を決めている段階です。
今回は、このトランプ大統領の新政権の政策が株式市場や経済にどのような影響を与えるかということを解説したいと思います。
目次
トランプ大統領の政策
トランプ大統領の政策は過激なイメージがありますが、一つ一つの政策を見てみると、それほどおかしなことをやろうとしているわけではないように見えます。
「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」という言葉を掲げ、アメリカという国をアメリカ人の手に取り戻す、簡単に言うとナショナリズムということになります。
分かりやすい動きとしては、メキシコなどからの不法移民の排斥や、アメリカの産業を守るために他国からの輸入品に高い関税をかけて自国に産業を誘致し雇用を増やすとしています。
特に中国を大きなライバルと見ていて、中国からの輸入品には60%の関税を課すということも言っています。
他方で経済的な政策としては、化石燃料の復活をあげています。
これは一見すると環境保護の流れに逆行しているように見えますが、実はアメリカで十数年前から「シェールガス革命」というものがあり、技術が進んだことによって硬い層の下にある天然ガスや石油を掘れるようになりました。
これによってアメリカは今世界一の産油国となっているのです。
アメリカが自国で石油をどんどん使ったり他国に輸出することはアメリカ経済にとってはプラスに働くと思います。
地球温暖化が叫ばれる中でそれをやって良いのかという話もありますが、トランプ大統領は気にせず掘ると言っています。
また、減税を行おうとしています。
前回の任期中にも法人税の引き下げを実現したのですが、それをさらに下げるとしていますし、個人の所得税の減税にも言及しています。
これは多くの労働者にとってもプラスとなると言えるでしょう。
あとは紛争解決の話もあります。
おそらくウクライナ紛争を終わらせようとしているのではないかと思われます。
また、イスラエルとも親密だと言われていて、トランプ大統領だからこそガザへの攻撃を止めさせることができるのではないかというところがあります。
トランプ政策が与える影響
ここからは、トランプ大統領の政策が株式市場や経済に与える影響を大まかにプラスかマイナスで示していこうと思います。
もちろん経済や株価は単純ではないのでその通りに動くかは分かりませんが、短期的にはそのように反応するのではないかと思われます。
法人税減税→株価に+ 財政に-
法人減税が株価にとってプラスということはほぼ間違いないと思います。
法人税というものは、企業が稼いだ利益の一部が税金で持っていかれるというものなので、法人税が減った分単純に利益が増え、株価も上がりやすいということになります。
即効性もあるので、大幅に株価にとってプラスとなるでしょう。
逆に、ハリス氏(民主党)は法人税を増やすと言っていたので、トランプ氏(共和党)が政権を取った時点で株式市場にとってはプラスだったと言えます。
実際に株価も大統領選を前に上がってきて、トランプ大統領に決まってからも上がりました。
ただ、懸念されることは財政にマイナスということです。
税金が減るということは、当然税収が減ることになるので、財政悪化懸念で国債が売られる動きが起こります。
国債が売られるということは、価格が下がって利回りが上がるということなので、長期金利が上がっています。
金利が上昇すると割引率が上がってしまうので株式市場にとってあまり良いことではありません。
お金を借りる時に金利が上がってしまうと、株式市場にお金が流れにくくなります。
財政にとってマイナスで金利が上がれば、巡り巡って株価にもマイナスになる可能性もあり、この辺りの影響は見ていく必要はあると思いますが、端的にはやはりプラスだと思います。
化石燃料の復活→エネルギー会社や米国経済に+
環境への影響をどう考えるかという部分はありますが、株価という点で見ると純粋にプラスです。
もちろん、企業によってプラスマイナスはあります。
例えば電気自動車をやっている会社にとっては必ずしもプラスになりません。
ただ、今回の政権にはイーロン・マスク氏が入るとされていて、これがどう作用するかは分からない部分もあります。
アメリカには石油関係の企業も多く、ポジティブに働くでしょうし、アメリカが産油国になって石油を輸出するようになったり、自国で石油をどんどん使えるということになれば経済もまわりやすくなるでしょう。
雇用が増えることも考えられます。
紛争解決→インフレ解消
ウクライナ紛争でロシアから欧州に天然ガスを輸出できなくなったことによって、原油価格が上がりました。
また、中東情勢が悪化して、アラビア半島の西側にある紅海が通れなくなっています。
それによって回り道を余儀なくされ、輸送にお金がかかっています。
これがインフレの要因になっているのですが、中東の紛争がおさまって紅海が自由に通れるようになれば、コストプッシュ型のインフレは収まってくるのではないかと思います。
今アメリカで問題になっているのがインフレであり、インフレが和らげば人々の財布の紐も緩むかもしれませんし、株価の不安定要因になっている金利も引き下げる余地が出てくると考えられます。
不法移民排除→インフレの可能性
民主党政権では不法移民でもどちらかというと保護しようという流れだったのですが、これが入ってこないようにするようです。
ただこれはアメリカ経済を考えると難しいところがあります。
アメリカ経済はこれまで実は移民によって成り立っていた部分があります。
メキシコからの(不法)移民は安い賃金でも働きたいということで、安価な労働力の供給源となっていて、それによって安い商品が提供できていたところがあります。
これができないということになると、労働力が足りなくなります。
コロナの時にインフレが加速した大きな要因は賃金の上昇です。
コロナで従業員を一斉に解雇して、経済が正常化してから従業員を呼び戻す必要がありましたが、労働者が給付金などで潤っていてなかなか労働市場に戻ってきませんでした。
企業は時給を上げてでも彼らを呼び戻す必要があり、賃金を上げた分は商品価格に上乗せするしかありませんでした。
こうしてインフレが加速してきた経緯があります。
物価が上がったことによって賃金上昇が求められるようになった日本とは逆の動きです。
労働力が不足するとまた物価が上がる可能性があり、物価が上がるとFRBが金利を引き上げる動きとなって、株価が厳しくなってもおかしくないと思います。
関税政策→インフレ・景気悪化を招く可能性
これはシンプルに物価が上がる要因となります。
輸入品に10%20%の関税をかけるわけですからその分物価が上がることになります。
一般の消費者にとっては、ただでさえ景気は弱含んでいるところに物価が上がるとなると、財布の紐がきつくなることが十分に考えられます。
景気が良くなるか
全体感としてはプラスの要素が大きいと思います。
しかし、本当に重要なことは経済が良くなるかどうかということです。
こういったリフレ的な政策を打つことによって経済が活性化すれば良いですが、これは裏の面もあって、インフレを加速する可能性があります。
この綱引きは今後も続いていくでしょう。
一つ言えることは、トランプ氏が最初に大統領になった時と比べると、政策的な不確実要素は少ないように見えます。
一度経験しているので、株式市場も慌ててはいないと思います。
さらに言うと、トランプ大統領(共和党)は株価に対して敏感なので、何かあった時にはすぐに手を打っていくのではないかと思います。
楽観視するわけではなく、最終的に大事なのは景気の動きなので、そこを注視していくしかないというところです。
日本の株価への影響も景気次第かと思われます。
アメリカの長期金利が上がり円安となっていて、円安は基本的に日本株にとってプラスの影響を与えますが日経平均は今上がっていません。
もう一つ大きな焦点になるところとしては、トランプ大統領が金融政策に口を出す素振りを見せているところです。
FRBは政府から独立性を持っているとされていますが、インフレとなってFRBが金利を引き上げようとした時に、株価が下がるからといって介入して金利を下げさせるということがもしあれば、株価にとっては一時的にはプラスになるかもしれませんが、インフレを加速させることになるので、そこについては注意が必要かと思います。
これからトランプ大統領の政策が出された時には今回の私の話を思い出していただければと思います。
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