カブアンドは儲かるの?仕組みを徹底解説!

今回は、今話題となっている前澤友作さんの「カブアンド」について解説したいと思います。

カブアンドがどのようなものなのか、理解した上で利用するかどうかを判断していただければと思います。

カブアンドって何?

カブアンドは、前澤さんが”国民総株主”を目指して始めたサービスだということです。

出典:カブアンド

サービスに加入すると、払った料金に応じて株の引換券が貰えるというものです。
具体的なサービスとしては現時点で、電気、ガス、モバイル(携帯電話)、光、ウォーター(サーバー)、ふるさと納税の6つがあり、加入するとポイントのような形で株の引換券が貰えるという話です。

貰った株の引換券は、特定のタイミング(おそらく年数回)で実際の株式(種類株式)と交換できるということになっています。
初回の交換のタイミングが2025年5月となるそうですが、そのタイミングで1株○○円のカブアンドの株を引換券と交換できるということです。

1株○○円といってもすぐに換金できるわけではなく、カブアンドが上場した時に初めて売却によって現金にできます。

 

前澤さんとしては、カブアンドのサービスを利用するお客さんに株を付与したいという思いが強いようで、カブアンドの契約者に株主になってもらうと同時に、カブアンドの株価が上がることによってお客さんみんなが豊かになってほしいと謳っています。

上手くいくの?

一見するとお得なサービスに見えますが、難しい点が非常に多いことも確かだと思います。

株価が上がることによって豊かになるとありますが、株式の価値の源泉が何かというと、基本的には会社が出す利益ということになります。
将来の利益を現在に引き戻したものが株式の価値とみなされます。
つまり、カブアンドが会社として利益を出していかないことには、株式の価値が上がっていくということにはなりません。

 

カブアンドはどのようにして利益を出そうとしているのでしょうか。

ビジネスモデルとしては実は珍しいものではなく、インフラサービスの代理店といったところです。
あくまでカブアンドはサービスの窓口であって、そこを通じて実際のサービス提供会社と契約することになります。
大元のサービス提供会社があって、カブアンドが実際に電気やガスなどを提供するわけではないので、逆にある意味での安心感はありますし、大元のサービス提供会社にとっても前澤さんが宣伝してくれるならメリットがあるかもしれません。

 

ただし、ユーザー側に立つと、大元のサービス提供会社と消費者の間にカブアンドが入るとカブアンドの利益の分だけ料金が高くなる、高くならないとしたらカブアンドに利益が無い、ということになります。

また、取り扱うのがいわゆるコモディティなので何らかの工夫で安く提供できるものではなく、料金を安くすることは難しいです。
実際に同様のサービスを提供する他社と比べて特別安いということはないようです。

 

もちろんメリットが全くないわけではなく、株を貰えることがメリットとも考えられます。

 

しかし、これが難しいところで、株式の価値は企業が利益を出すことによって生まれます。
カブアンドの利益の源泉が何かというと、消費者が払う料金です。
カブアンドの利益を上乗せした料金を払って、その利益が株として一部返ってくるだけに過ぎないということになります。

カブアンドの契約者が増えれば増えるほど会社の利益が増えて株価は上がるかもしれませんが、おそらく少し高い料金を払ってまで契約する人というと、前澤さんのファンのような人たちになると思われます。
そのファンがいる限りは会社としても利益が出ると思いますが、果たして広がりがあるかというと疑問です。
前澤ファンでなければ、わざわざ高い料金を払って株を貰うよりも、安いところで契約して浮いたお金で好きな株を買った方が良いわけです。

カブアンド(前澤さん)ファンの中で完結してしまうようなビジネスモデルに見えます。

 

このファンの中でも古参と新参で格差が生まれてくることになります。
引換券と株式の交換が後になればなるほど、株の値段が上がって、貰える株が少なくなる可能性が高いからです。
同じ料金を払って同じサービスを受けているのに貰える株が減るということです。

そもそも未上場株への投資においては先に手を出した人がより儲かる仕組みになっています。

入るのが後になればなるほど貰える株は少なくなるので、入るなら早い方が良いですが、利益の源泉がいかに新規の信者を引っ張ってくるかということになりますし、当然、上場できずに事実上換金できない紙くずになってしまうリスクもあります。

上場できなくて株式が紙くずになってしまうリスクは未上場株投資において常にあるリスクです。

 

信者ビジネスとしては優秀

ビジネスモデルとしては難しい部分もあると思いますが、信者ビジネスという意味ではよくできていると思います。
毎月500円払えば株が2倍貰える”プラス会員”という仕組みがあるからです。
カブアンドとしては、コストをかけずに1人当たり毎月500円の利益を得られるわけです。

プラス会員が100万人いるとすると、サービス自体の利益が無かったとしても月5億円、年60億円の利益となります。

通常のビジネスをトントンでまわしていさえすれば必ず利益が出る仕組みとなっていますが、サービスの利用者としては月500円余計に払っていることにもなりますし、新規のプラス会員が増えるほど既存の会員の利益にはなりますが後半の会員が貰える株が微々たるものとなってしまいます。

 

カブアンドのビジネスが成功するかどうかは分かりませんが、前澤ファンが増えないといけないビジネスであり、ファンが尽きてしまった時や、サービスに何らかの不具合が出た時には離脱者も多くなるでしょう。

結局は普通のサービスと同じで、ちゃんと提供し続けることが大事となります。

投資に興味を持とう

貰える株は微々たるものだと思われるので、正直それほど儲けられるものではないと思います。
ただ、どうせ入るなら少しでも早い方が良いというものです。

未上場株の投資でも早く唾をつけた人が大きく儲けられるものなので、それを体験するという意味では悪くないかもしれません。
ただ、ライフラインをここに任せることに若干の不安はあるので、なるべく不安の少ないサービスを選んで契約する方が良いと思います。

 

ビジネスが成功するかは分かりませんが、カブアンドをきっかけに投資に興味を持つ人が増えることは良いことだと思います。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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