弁護士ドットコムの株価が下がる3つの理由。今後の成長性は?

佐々木
こんにちは、佐々木です。今日は弁護士ドットコム(6027)を取り上げます。

弁護士ドットコムの株価下落がとまりません。

出典:株探

コロナ禍で15,880円をつけた後、25年1月31日現在は2,700円前後です。高値からは80%近く株価が下落しています。

今回は弁護士ドットコムを分析し、株価の下落の理由を考えていきます。

弁護士ドットコムの事業内容

まずは事業内容を分析します。弁護士ドットコムは2つのサービスを展開しています。

弁護士ドットコムは、法律相談ポータルサイトを運営し、弁護士と一般ユーザーのマッチングを支援するサービスを提供しています。
弁護士は自身のプロフィールを登録し、法律相談に回答することで知名度を高めることができます。
一方、一般ユーザーは匿名で無料相談ができ、他の相談事例を閲覧しながら適切な弁護士を探すことが可能です。また、税理士向けの「税理士ドットコム」も運営しており、税理士の紹介や相談機能を提供しています。

クラウドサインは、契約をオンライン上で完結できる電子契約サービスです。
契約書をアップロードし、相手方が承認することで締結が可能となります。企業向けに特化したサービスであり、月額固定料金と契約送信ごとの従量課金で利用できます。契約手続きをデジタル化することで、時間とコストの削減、業務効率化を実現し、多くの企業に採用されています。

弁護士ドットコムの成長ストーリー

弁護士ドットコムは2005年に、クラウドサインは2015年にリリースされたサービスです。

同社の成長は、大きく3つの段階に分けられます。

まず、コロナ前までは「弁護士ドットコム」がキャッシュカウ(安定的に利益を生み出す事業)として成長を牽引していました。

次に、新型コロナウイルスの影響により「クラウドサイン」の需要が急拡大し、事業の成長を加速させました。

そして、今期以降はM&Aや新規事業の開発を通じて、さらなる成長の維持を目指しています。

 

セグメント別の売上推移を見ると、現在ではクラウドサインが順調に成長し、弁護士ドットコムに匹敵する重要な収益源となっていることがわかります。

株価下落の3つの理由

しかし、冒頭で述べた通り、株価は下落しています。

その理由として、以下の3点が関係していると考えられます。

①の株価の高さについては、コロナ禍でPERが450倍近くまで上昇していたため、その反動と言えます。
しかし業績の観点でも懸念があります。

目先の減益

特に2025年3月期第2四半期では、売上が前年同期比32%増と堅調に推移したものの、営業利益は13.5%減少しました。

この要因は何でしょうか?
四半期ごとのコスト内訳を分析すると、最も大きな割合を占めるのは人件費です。
エンジニアの採用強化やCxO職などの高度人材の採用が進んだことで、人件費が増加しています。

第4四半期には利益率の改善が見込まれるものの、現時点では売上の伸びを上回るペースでコストが増加しており、これが株価に悪影響を与えていると考えられます。

出典:弁護士ドットコム 決算資料

今後の成長性懸念

次に、今後の成長性について考えます。

弁護士ドットコムの社長である元榮太一郎氏は、「リーガルブレイン構想」という成長戦略を打ち出しています。

これは、法務領域の課題をAIを活用して解決する構想です。

決算資料を見ると、ChatGPTのようなインターフェースで専門的な法律・法務の相談を行うサービスであることがわかります。

現時点では、すぐに収益化するかどうかは不透明ですが、長期的な成長ドライバーとして期待できるでしょう。

さらに、外部環境の変化として2026年に開始される民事裁判のIT化が挙げられます。
これにより、従来は紙や電話、対面で行われていた裁判に関する調査業務や日程調整がWeb上で完結できるようになります。

弁護士ドットコムは「弁護革命」や「判例秘書」といったリーガルテック領域のサービスを展開しているため、この外部環境の変化は追い風となる可能性が高いでしょう。

まとめ:投資するべきか?

ここまで見てきたように、足元の株価下落は主にコロナ禍の反動直近の決算における減益が影響していると言えます。

しかし、成長性がないわけではありません。
AIの活用や外部環境の変化といった追い風があり、リーガルテック領域において圧倒的な存在感を持つ企業であることは間違いありません。

直近(2025年1月31日時点)のPERは約60倍と、市場の期待は依然として高い状況です。
第3四半期の決算次第では、さらなる株価下落の可能性も想定しておくべきでしょう。

一方で、長期的な視点では非常に興味深いポジショニングを確立しています。
以下の図を見ても分かる通り、市場は細分化されているものの、同社は各領域で強いプレゼンスを発揮しています。
さらに、周辺領域へのM&Aの可能性も期待されることから、リーガルテック市場の成長とともに事業拡大の余地があると考えられます。

この分野の需要は今後も高まり続けると予想されるため、投資対象として魅力を持つ企業だと言えるでしょう。

 

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執筆者

執筆者:佐々木 悠

佐々木 悠(ささき はるか)

つばめ投資顧問 アナリスト 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。
協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。
銀行勤務時は投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。
2022年につばめ投資顧問へ入社。

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