新年あけましておめでとうございます。
年明け早々、株式市場は乱高下しています。アメリカがイランのソレイマニ司令官を殺害し、両国間に緊張が漂い株価は大きく下がりました。
しかし、両国の指導者がこれ以上の進展を抑える発言をしたため、市場は安堵し、株価はかえって上昇する結果となりました。
新年早々の乱高下が意味すること
実は、地政学的な緊張の高まりが株式市場の大幅な調整をもたらしたことはほとんどありません。2001年9月の米同時多発テロではさすがに長期の調整となりましたが、それでも約1年でもとの株価に戻っています。
株価の下落が一段落すると、今度は反発します。それが1日単位で起こったため、目まぐるしい動きとなりました。
今回の動きでむしろ気になることは、下落からの反発がやけに強いことです。足元では、世界的な金融緩和の影響により、お金が溢れかえる状況になっています。しかし、景気は減速傾向にありますから、なかなか設備投資などの実需に向かいません。
そのようなときにお金が向かう先が、株式や不動産などの金融資産です。お金の動きは貪欲ですから、今すぐに儲けられる機会を探しています。資金が集中すると価格が上昇し、さらにお金を呼び込む結果となるわけです。
これが行き着く先が、いわゆる「バブル」と呼ばれるものです。そして私は、今年中に日経平均株価がバブル後最高値(2万4,448円)を更新すると予想しています。
株価が上がるほど警戒心を高めよ
一方で、そのあたりがピークとも考えています。なぜなら、11月3日には米大統領選挙が控えているからです。
これまで金融緩和や米中貿易戦争の緊張と緩和により、トランプ大統領就任以降の株価は堅調に推移してきました。アメリカ人の多くは株を持っているため、株価と支持率が密接にリンクすることから、トランプ大統領も必死です。
しかし、選挙が終わってしまったらどうでしょう。トランプ大統領が再選されたとしても、大統領の3期目はないので支持率をそこまで気にする必要はなくなり、株価への関心は薄まるでしょう。そうでなくても、すでに撃てる弾が残っていないと思われます。
「弾切れ」はトランプ以外が当選した場合も同様です。もし、民主党の左派が当選したら、株価には一層ネガティブな影響を与えるでしょう。
景気は減速傾向が鮮明になりつつあります。11年続いた上昇相場も、そろそろ本格的な調整に入ってもおかしくありません。株価が上がれば上がるほど、より警戒心を強める必要がありそうです。
価格は偶然、価値は必然
もっとも、いつも言っていることですが、私は予想が当たるとは思っていません。未来のことは誰もわかりませんから、自分の予想に賭けるのは単なるギャンブルでしかありません。
投資家としてすべきことは、当たらなくても良いように対処することです。
もし私が自分の予想に賭けるとしたら、今年の中盤で全て手仕舞いした方が良いということになります。しかし、その後も上がり続けるようだったらチャンスを逃してしまいますし、同じ価格で買える機会はもう来ないかもしれません。空売りなどもってのほかです。
ここで考えるのは、私たちが一体何に投資しているかと言うことです。価格の変動に賭けているのだとしたら、それは投資というよりトレードです。
私たちが投資しているのは、企業の価値です。企業は営業努力によって利益を出し、それを再投資することで更に利益を生みます。相場変動にかかわらず、その企業の価値は増え続けるのです。これが資本主義の大原則です。
企業の価値が増えても、短い期間では株価は必ずしもついてくるとは限りません。ちょっとした事で上にも下にも動くのが株価の特性です。
しかし、期間が長くなればなるほど、やがて株価は価値と連動して動くようになります。その間に価値そのものも増えていますから、いつの間にか株価も大きく上がっているということになるのです。これこそが長期投資の醍醐味です。
もちろん、何を買っても良いというわけではありません。きちんと価値を伸ばし続けられる「良い企業」を、価値と同じかそれを下回る「安い時」に買うことが条件となるわけです。
つまり、2020年も「良い株を安く買う」というポリシーからブレることなく、じっくり腰を据えて投資に取り組んでいきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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