【株価暴落】NYダウ・日経平均株価急落で投資家はどう動くべきか?迫る景気後退とこれからの株価見通しをウォーレン・バフェットの言葉も引用しながら解説します。

YouTubeに動画をアップロードしました!

以下、文章化したものです。


2020年2月25日日経平均株価が781円の大暴落となりました。このような時に長期投資家はどのように動くべきでしょうか?

■原因は新型コロナウイルス

まず、今回の株価下落は、新型コロナウイルスが原因です。

中国や日本だけで広まっていると思われていましたが、イタリアやイランで大規模な感染者と死者を出したことで、世界的な問題だと言うことが懸念されています。

まず、株価が暴落したのがアメリカです。24日(月)にアメリカ市場ダウ平均で1千ドル以上の大幅な値下がりを記録しました。

これはアメリカ史上3番目の下落幅です。日本市場もこれにつられて大きく値を下げたと言うことになります。

■既に最大の暴落を迎えたのか?

市場の一部では、これが最大の暴落だと考える声もあるようですが、私は決してそうだとは思いません。

この新型コロナウイルスが与える影響は非常に広範に及びます。ウイルスそのものが世界に拡散し、死者を出すと言うこともありますが、経済への影響も深刻です。

対策として、人々は外出を控え、企業は感染を防ぐために、リモートワークで働くという対策をとっています。

しかし、工場など、現地に行かなければならない仕事だと完全に滞ってしまいます。

既に、中国の工場がストップした影響で、日本でも工場が稼働できない状況に陥っていますし、日本でも感染が拡大することによって、出勤できない。あるいはできる限り出勤を控える企業も出てきています。

このような状況が続くと、物を生産する企業側、購入する消費者側どちらも滞ってしまうので、経済としては間違いなく停滞する方向に向かいます。

そのような動きが、今回の下落で株価にすべて反映されたかというと、前述の通り、私はそうは思いません。

日経平均株価の動きを見てみましょう。2月25日に781円下げて22,605円というところまで下がったのですが、よく見ると23,000円を割り込むタイミングというのは、2020年の1月にもありました。もう少し遡ると、2019年の10月以前は、それよりも安い状況が続いていました。つまり、株価はこの半年で大きく値を上げていたということです。

これは特にアメリカでの株価上昇の影響が大きく、ダウ平均は昨年の10月から右肩上がりで上昇を続けてきました。株価は連日最高値を更新し、向かうところ敵なしという状況でした。

しかし一方で、景気後退の足音はどんどん近づいています。

直近で発表された決算を見ると、業績は明らかに低迷しつつありますし、景気そのものは過去10年に渡って拡大を続けてきました。

景気は循環するものなので、この10年を経てそろそろ下落のタイミングがきてもおかしくない状況です。

そのような状況において、多くの投資家も、2020年、2021年の景気の後退を見込んでいます。

■なぜ、株価は上がるのか

なぜ、そのような状況で株価は上がるのかというと、機関投資家の心理を考えるとわかります。

機関投資家とは、4半期、あるいは1年というスパンでの業績を評価されます。したがって、

景気が後退するまではなんとか業績を上げなければならないので、目の前で上昇している株があれば「今のうちに儲けておこう」と考え、どんどん株を買うという状況になります。

そして、株価が下がるかもしれないという局面になったら、「一足でも先に逃げれば良い」と考えているわけです。

このような心理状態によって株価の上昇を続けてきたのが、この半年ということになります。

しかし、2019年の8月に投資家の心理状況の不安定さを表す「逆イールド」が発生しています。これは明らかに投資家が景気の先行きを不安視しているというサインです。

上昇相場の終盤においては、暴落する前が、一番株価が上昇すると言われており、現在起きている動きはまさにそのような動きです。今回の下落はその上昇からの一定の調整に過ぎないということです。

まだまだ過去1年の水準から見たら高い水準にありますし、経済状況を考えるとさらに下落する可能性もあります。

新型コロナウイルスはその経済状況の悪化に拍車をかけるということになります。

■この先のシナリオはどうなるか

この先のシナリオがどうなるのかと考えると、私は上がる可能性の方が高いと考えています。

なぜかというと、多くの国々がこの経済状況の悪化を受けて、金利の引き下げや、量的緩和・財政出動など、景気対策を打ってくると考えられます。多くの投資家は「それに乗っかって今うちに少しでも儲けておこう」ということを考えますから、再び株価が急激に上昇するという可能性も孕んでいると思います。

ただでさえ、この10年にわたる世界中の金融緩和でお金が溢れている状況ですから、行き場を失ったお金が一気になだれ込んでくる可能性があります。

しかし、それこそがいよいよバブル崩壊のサインとなり、投資家が警戒するタイミングになると我先にと逃げて、いよいよ大きな暴落を引き起こす可能性があると考えます。

■長期投資家はどのようにすべきか

ただし、私たちのような長期投資家においては、このような相場の見通しというのはそもそもあてにしませんし、わかったところでどうこうするものではないと考えています。

なぜなら、私たちが投資しているのは、企業そのものであり、株価の動きに投資しているわけではないからです。

いい企業は、景気がよかろうと悪かろうと、株価が上がろうと下がろうと、利益を積み増し続けるものです。そういった企業を見つけ出して、株価が下がっている時に投資すれば、その企業が生む利益がやがて自分の株価の上昇という形でついてきます。

だからこそ、株価の下落というのは、長期投資家にとって非常に大きなチャンスですし、そのような場面で投資してこそ初めて大きなリターンを得られるということになります。

ウォーレン・バフェットもこの暴落を受け、TVのインタビューで「株価の暴落というのは、長期投資家にとってチャンスになり得る」とのコメントを発表していますし、「私たちはいい企業をこのような機をみて買っていかなければなりません。しかし、毎日のヘッドラインに左右されて投資をするべきでははない」とも言っています。

ウォーレン・バフェットは現在89歳ですが、11歳の時から70年以上に渡って毎年投資を買ってきたといいます。

その株を買うタイミングというのは、毎日というように頻繁はなく、年に数回訪れる、このような下落のタイミングを捉えて買っていけばいいということを言っているわけです。

正直、ここから株価がどう動くかというのは私たちのわかるところではありません。

しかし、下がったタイミングでコツコツといい企業を買っていけば、長い期間で見た時に、その企業が稼ぐ利益によって価値が上昇し、あなたの投資が報われるということになります。 今日下がったから全力で投資するということではなく、資金をしっかり確保しながら、少しずつ下がったタイミングを捉えて買い増していく。そして、多くのいい企業の株を持つということが私たち長期投資家に求められる姿勢ということになります。

まさに、長期投資家がやるべきことはこれに尽きます。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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