悲観はピークに達したか?この下落をポジティブに考える根拠。私はこれから大きく買う!

株価が大幅に下がっています。新型コロナウイルスが世界に波及していることが鮮明となり、市場のリスクオフムードはピークに達しています。これまで堅調を保っていたダウ平均も下げ続け、27日には過去最大の下げ幅を記録しました。

ダウ平均は過去最大の下げ幅

日経平均株価
ダウ平均株価

日本では、突如小中学校・高校の休校が要請されるなど、パニック状態となっています。すでに多くの人が相場や経済状況に対し悲観的になっています。

しかし、私はこれから将来に対して極めて楽観的です。だからこそ、この機会に割安になった株式をどんどん買いたいと思っています。過去の歴史からみると、これだけ下がった時は間違いなく大きなチャンスとなっているからです。

楽観的なのは、単に精神論の話だけではありません。経済的にもプラスの要素が大きいと考えています。

この下落を私がポジティブに捉える経済理論的な理由

経済は、需要と供給のバランスで成り立っています。これが崩れる時、景気の変動が起きるのです。すなわち、需要>供給となれば景気回復、需要<供給となれば景気後退が引き起こされます。

この12年の経済を振り返ると、2008年のリーマン・ショックで人々の心理が過度に悲観的になり、需要が極端に落ち込みました。需要<供給となり、100年に1度と言われる大不況が訪れたのです。

各国はこれに対応するため、大幅な金融・財政出動を行いました。日本も遅ればせながら2012年末からこれに続き、「アベノミクス」が出現して株価がようやく回復しました。

この時、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、復興のための建設需要も高まっていました。さらに東京オリンピックも決まったことから都心部の再開発が加速し、需要が持ち直したのです。この需要にあわせて景気が拡大してきたのが、アベノミクスの本質です。

世界的には2007年のiPhone発売を皮切りに、スマートフォンの需要が爆発しました。関連業界は一気に伸び、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などの巨大企業を生み出しました。

しかし、近年はその動きも怪しくなっていました。スマートフォンの普及率は先進国で8割となり、出荷台数も頭打ちです。国内の建築需要も復興が進み東京オリンピックが近づくにつれて落ち着いてきます。

それでも株価が持ちこたえていたのは、世界的な金融緩和があったからです。市場にお金が溢れているので、上がっている資産があればお金がそこへ群がります。

実体経済でも、金利が低いことから必要かどうかわからないものにまで投資が行われ、「仮想」の需要が発生していました。ソフトバンクグループのビジョン・ファンドなどが良い例です。

このような幻想はやがて崩れ去ります。私はそれを警戒し、市場の先行きを慎重に見ていました。

そこで今回の「新型コロナショック」です。世界の生産・消費ともに落ち込み、間違いなく景気は後退します。当面の決算や経済指標は悲惨なものとなるでしょう。株価もそれを懸念して大幅に下げているのです。

しかし、投資とは常に未来を見るべきものです。私はむしろ、今回のショックがあって良かったと思っています。

景気は、遅かれ早かれ後退に向かうことは明らかでした。金融緩和により供給過剰が発生し、需給バランスが崩れつつあったからです。供給を減らす動きが起きない限り、いつまでも不安要素だけが頭をもたげていました。

今回、企業の生産活動が停滞することで、結果的に在庫調整が行われます。倉庫にあるものがなくなり、やがて需要に対応しきれなくなるでしょう。

そんなタイミングで夏になり、新型コロナウイルスも落ち着きを見せるでしょう。すると、企業は慌てて生産を再開させなければなりません。工場がフル稼働することでさらに需要が増え、いよいよ供給を積み増さなければならない「景気回復」局面となるのです。

すなわち、今回の経済の一時的な停滞は、長い目で見れば「アク抜け」だったということになるのです。だからこそ、私は半年先の経済情勢に明るい見通しを持っているのです。

東日本大震災の半年後にはGDP+10%

これは単なる夢物語ではありません。

2011年の日本は、東日本大震災後は電力不足や「不謹慎」ということもあり、様々なイベントが自粛されました。経済は一時的に大きく落ち込んだのです。まさに現在と似たような状況です。

しかし、その反動は案外早く訪れました。四半期ごとのGDPは、震災が発生した2011年1~3月、次の4~6月こそ大きく落ち込みましたが、半年後の7~9月には年率10%以上の大幅なプラスとなっているのです。

すなわち、経済は落ち込んだらその反動で回復する機能をしっかりと持ち合わせているのです。

私は、今回に関しても十分反動があると考えています。もっとも、それまでの企業業績・経済指標はひどいものになるでしょう。しかし、それで株価が下がるのなら、その先の回復を考えるとこんなに良い「買い場」はありません

私はこれから時間をかけて大きく買うでしょう。ぜひ皆さんもついてきていただければと思います。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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