株価は企業の価値を無視して下がり続ける。売っているのは誰か?「底を見てから買う」と言う人が一生買えない理由

ファンダメンタルズを無視した売りの正体

今週はいよいよセリング・クライマックス(売りの極み)の様相を呈しました。日経平均株価は16,000円、ダウ平均株価は終値で20,000ドルを割り込みました。

【出典】Google
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この急速な下落は、ファンドの「解約売り」が関係していることが推測されます。投資家が投資信託などのファンドの解約を申し出ると、ファンド側では持っている株式を売って現金化しなければなりません。そのため、そのファンドが良いと考えているかどうかに関係なく、無条件に売られることになります。

明らかに業績などのファンダメンタルズを無視した株価下落が発生しているのはそのためです。

もっとも、米国でも新型コロナウイルスの拡散が明らかになったことにより、純粋にパニックに陥っている可能性もあります。これまでは中国やアジアにおける「対岸の火事」だと思っていたものが、いよいよ我が身に迫ってきたのですから、高みの見物とはいかなくなったのです。

この下落がファンダメンタルズを無視した「解約売り」や、単なるパニック売りだとしたら、私たち長期投資家にとっては絶好の機会となります。

私としては市場がこのような状態になるのを待ち望んでいて、ついにその時がやってきたのです。今週もたくさん買いました。ここから下がるようなら、どんどん買い進めることになるでしょう。

個人投資家の特権は「待てる」こと

もちろん、過度な自信は禁物です。どこまで下がるかは知る由がありませんから、一気に資金を投入するのではなく、あくまで分割が基本です。まして信用取引には手を出してはいけません。

中期的なことを考えると、これから経済状態が悪化し、企業業績や経済指標は無残なものが想定されます。株価も少なからずそれに反応するでしょう。企業倒産も相次ぐかもしれません。

しかし、これほどの株価の下落を見ると、すでにその大部分は織り込んだように見えます。新型コロナウイルスの影響は甚大ですが、人類の英知を持ってすれば早晩収まるでしょう。そこから先は、経済の自律回復機能がはたらき、やがて不況の後の好景気が訪れるのです。

回復上昇がいつになるか、確証はありません。早ければ1年、長ければ3~4年かかるかもしれません。それでも、私たち個人投資家は解約で売らなければならない機関投資家と違い待つことができます。これは個人投資家に与えられた特権です。

経済が回復した後の姿を想像すれば、ここで買ったらあとは黙って持っていれば良いということがわかるはずです。買うべきものは、財務状況が良く、人々が手放すことのできない商品・サービスを提供している会社です。この局面では、割安感や成長性にこだわりすぎる必要はなく、大切なのは「質」です。

「底を見てから買う」と言う人は一生買えない

下落局面において良く見られる言説に「底を見てから買えば良い」というものがあります。単純に過去のチャートを見るとそう感じるかもしれません。

しかし、いざ目の前にその状況が訪れると、投資を始めるのがいかに難しいかということに気づくはずです。なぜなら、底が今なのか、あるいはもっと先なのか、誰も判断することなどできないからです。

下落局面では、これでもかというほど株価が下がり続けます。少し上がったかと思ったらまた大きく下がるということ繰り返しです。それを見ていると、本当の上がりはじめがどこかなんて、見極めようがないのです。

本当に上がるときは、いつの間にかスルスルと上がってしまいます。それまで買わずに眺めていた人は、結局1株も買えないまま、上げ相場に置いていかれるだけになってしまうのです。

仮に今100円で買って、それが80円になってしまったとしても、やがて120円になれば利益は20円です。これで100万円分買えれば御の字でしょう。しかし、1円も買わなければ利益はいつまで経っても0円です。買わない人は、この機会損失を無視しているのです。

これが今買っている自分の自己正当化になってもいけませんが、少なくとも新型コロナウイルスの混乱が収まった後を考えると、本質的な価値に対して割安感のある企業がゴロゴロと出てきていることは間違いありません。

そのような企業を慎重かつ大胆に買っていけば、世の中が平時に戻った時には株もしっかり回復していることでしょう。

ここで思い出してほしいのは、私たちは「株価」ではなく「企業」に投資しているということです。株価の先行きは常に不透明ですが、企業は前を見据えて活動を続けています。これが、資本主義における経済の原動力なのです。

長く続く企業活動から見れば、新型コロナウイルスは一時のイベントにすぎません。これを乗り越えて再び顧客に商品・サービスを届けることが企業の使命です。それができる企業なら、株価は自ずとついてくるでしょう。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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2 件のコメント

  • 先程
    「株式市場の敗者になる前に読む本」をヤフーメールでもらったけど、ダウンロード出来なくて中にはいれません、というコメントを書きましたが、ラインの方から、入れました!
    今読ませていただいています。ですから、先程のメールは忘れてください。

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