先週までの底抜けの相場から一転、今週は大きく上げる展開となりました。ずっと潜水し続けていよいよ息が続かなくなったところで、ようやく息継ぎができた感じです。私も見通しが厳しい持ち株が売却でき、胸をなでおろしています。
ここが底か、はたまた二番底があるか・・・
この流れを受け、巷では意見が2つに割れています。
「これで底打ちだ!買い」
「まだ二番底、三番底があるぞ」
私としては、市場の予想はできないと考えているので、どちらが正しいかわかりません。ただ、1つ言えるのは、これを底打ちだと考えて一気に買いに行くことは危険だということです。
新型コロナウイルスの問題は何も解決していません。感染者はついにアメリカが世界最大となり、日本でも東京都の週末外出自粛要請が出されるなど、自体は刻一刻と進行しています。
株価は「すでに見えている」悪材料は織り込んだように見えますが、問題は「まだ見えていない」悪材料が出てきた時です。
新柄コロナウイルスは、誰も予想しなかった事件として露見したため、株価に与える影響が大きくなりました。もし再び予想しない事態が起きれば、株価はさらに大きく下がることになるでしょう。
新型コロナウイルスと「パリバ・ショック」
参考になるのが、リーマン・ショックです。このときリスクの根底にあったのが、米国の低所得者向け住宅ローンである「サブプライム・ローン」でした。これが債務不履行を起こし、それに連なっていた証券化商品が紙くずとなってしまったのです。
サブプライム・ローンの実態が露見したのは、リーマン・ブラザーズが破綻したのが最初ではありません。2007年8月にBNPパリバがファンドの解約を凍結したことで、そのリスクが明らかになりました。
このときも株価は大きく下落しましたが、その後一旦持ち直しました。投資家は「これでもう大丈夫」と思ったに違いありません。しかし、1年後にリーマン・ブラザーズが破綻するという「予想外」の出来事が起き、株価は奈落の底にまで落ちていきました。
サブプライム商品と新型コロナウイルスを重ねて見るとわかりやすいでしょう。パリバ・ショックでは、サブプライム商品の存在が明らかになりましたが、経済的な影響は未知数でした。それが明白な形で出てきたのが、リーマン・ブラザーズの破綻です。
新型コロナウイルスも、まだ経済的な影響は明確になっていません。旅行関連の会社への影響は計り知れませんし、足元では原油安が進んでいるため、ここ数年で勃興したアメリカのシェールガス関連会社は危機的な状況に陥っているでしょう。
シェールガス会社は、信用度の低い「ジャンク債」で資金調達をしています。信用度が低いということは、金利が高いということでもあります。これまで長く続く低金利により、投資家は高利回りを求めて危険な商品に手を出していました。
これらがリスクのマグマとなって溜まっている可能性が否定できないのです。
新型コロナウイルスが夏頃にようやく収束したとして、本格的に経済への影響が現れるのはそこからです。大型倒産や低格付け債のデフォルト(債務不履行)が起きれば、まだ株価もただでは済みません。
経済を成り立たせているものを一言で表すなら「信用」に尽きます。大型倒産やデフォルトが発生すると、他の会社は大丈夫なのかと疑心暗鬼を呼びます。それが金融機関の貸し出し姿勢を後退させ、株価は下落し、本格的な不況がやってくるのです。
まだその段階はやってきておらず、経済的にはここからさらに下の段階があると想定しておくことはリスク管理の上で重要です。
初心者を奈落の底に突き落とす株式市場
もっとも、私は不安を煽るつもりはありません。本当にこのような状況が起こるかどうかはわかりませんし、もし起きたとしても経済はやがて復活します。持ち株が一時的に下落したとしても、時間をかければ上昇する可能性の方が高いと考えます。
危惧してるのは、ここでリスクを取りすぎてしまうことです。この下落を受けて、証券会社には口座開設の申し込みが殺到していると言います。それ自体は良いことなのですが、初めて投資をする中で今のようなリバウンドを前にすると「乗り遅れまい」という気持ちが先行してしまいます。
現物で投資してふるい落とされるだけならまだ良いですが、資金が十分に準備できていないとやがて信用取引に手を出してしまいがちです。しかし、株式市場はそのような考えを容赦なく突き落とします。
だから私は「現物で」「下がったときだけ買う」ことを推奨しています。これなら、上昇に乗り遅れたとしても、大きな損失を免れることはできます。ぜひこのことをいつも忘れないでいてください
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