新型コロナウイルスで人類は経験したことのない経済危機に直面。「セル・イン・メイ」は今年も訪れるか?

16日、7都府県に出ていた新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国に拡大されました。これでさすがに下がるかと思いきや、株価はますます上昇を続けるという展開です。株価にとって、新型コロナウイルスは「過去のもの」となりつつあります。

【出典】Google

これを受けて当社パイロット運用の保有株も上昇し、運用開始来(2019年~)の損益がプラスに転じました。予想以上に早かったと感じます。

パイロット運用状況(2020/4/18)

人類は経験したことのない経済危機に直面している

しかし、私はここであえて気を引き締めたいと思います。「これで終わった」ということは決してないからです。

新型コロナウイルスの影響はまだまだ続きます。欧米では外出制限が一部解かれるなど回復の兆しもありますが、それでもとの生活に戻れることはありません

いくら外出制限を敷いたところで、ウイルスはなくなりません。まして無症状者が有症状者よりも多いとも言われていますから、無症状者が知らずしらずのうちにウイルスを拡散させます。彼らが動くことで、第二波、第三波をもたらすのです。

再び感染が拡大することがあれば、自粛も再開しなければならなくなります。海外からウイルスがもたらされる可能性も考えると、海外渡航も難しくなります。こうやっていつまで経っても本格的な経済活動再開に至らないのです。

ハーバード大学は、医療体制が充実しワクチンが開発されなければ、2022年まで「ソーシャル・ディスタンス」を続けなければならないと言っています。

【参考】「社会的距離の確保、2022年まで必要な可能性」米ハーバード大学が指摘(Newsweek)

スペイン風邪が流行した100年前だったら、死者数こそ多いものの、すぐに多くの人が一度感染して免疫を持つことで流行は終息に向かいました。しかし今は、医療の発達により助かる望みがあるからこそ、死者数を最小限にするために経済を犠牲にせざるを得なくなっているのです。

そのような意味で、人類はまさに経験したことのない経済的な危機に直面していると言えます。

「セル・イン・メイ」は今年も訪れるか?

経験したことのない事態だからこそ、過去数十年の「経験」をあてにするのは間違いだと思います。「リーマン・ショックでは何ヶ月後に二番底が来て、そこから上昇に転じた」というのは「同じことが起きたら」という前提でしかなく、今起きているのは全く違う事態です。

リーマン・ショックで最大の出来事は、まさにリーマン・ブラザーズの破綻でした。しかし、コロナ・ショックはこれから何が出てくるか、まだ予想できないのです。

まだ大型倒産は表沙汰になっていませんが、外出自粛が長引くようなら規模を問わず倒産の危機に瀕する会社が続出するでしょう。

大型倒産や、誰もが予想しなかった事態が起きた時、再び株価は大きく下がるでしょう。相場は予想しないことに対しとても脆いのです。1つ出れば「次はどこか」と疑心暗鬼を呼び、誰も株を買いたがらなくなるという事態が訪れかねません。

そのきっかけとなるのが、この5月と考えます。

相場には「セル・イン・メイ(5月に売れ)」という格言があり、5月は下落することが多いと言われます。さまざまな理由が言われますが、私が感じるのは「決算で悪材料が出やすい」ということです。

多くの日本企業が採用する3月決算では本決算、12月決算では第1四半期決算が発表される時期です。ここで芳しくない状況が顕になると、株が売られやすいことがあると考えます。

同様の理由から、決算が発表される2月、8月はやはり軟調なことが多いようです。

投資は機械的に実行すべし

私はこのような思考実験を巡らせますが、それは一貫した投資行動を変えるものではありません。一貫した投資行動とは「上がった時に買わず、下がった時に買う」ことです。

自分の想定が当たるとは必ずしも思っていません。未来や株価は、そんなに思った通りには動いてくれないのです。予想をあてにすると、それが外れたとき大きな損失を被ってしまったり、チャンスを逃してしまったりします。

そうならないように、投資行動はできる限り感情に左右されず機械的に行いたいと考えます。感情に動かされると、市場が楽観的な高いときに買い、悲観的な安いときに売ってしまいます。これは投資行動としては最悪の動きですが、多くの人がこれで損失を出してしまうのです。

私たちが投資しているのは株価の動きではなく、企業そのものです。株価の動きは予想できませんが、企業の良し悪しはある程度見極めることができます。良い企業はどんな環境にあっても着々と成長の機会を探るのです。

良い企業を少しでも安く買えたら、こんなに素晴らしいことはありません。安く買えれば、その先の株価の見通しなど関係ありません。企業が成長するのをじっと見守れば良いのです。

目先の話をするなら、今は買うタイミングではありません。これから来たるべき下落に備えて、頭と心、お金の準備を怠らないようにしてください。

Print Friendly, PDF & Email

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

2 件のコメント

  • セルインメイというのは5月は株価が高値を付けるので売れということです。5月に株価が下がるのであればそれはバイインメイとなります。

  • コメントを残す

    Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

    • 三菱商事の株価が下落傾向、買い時か?
      三菱商事の株価が軟調となっています。 2023年前半には資源価格の上昇や円安を背景に急激な上昇を示し、5月には過去最高値となる3,775円を...
    • 三井物産の株価が下落、買い時か?三菱商事や伊藤忠商事との比較も
      日本を代表する総合商社、三井物産(8031)の株価に注目が集まっています。2023年5月末に4,000円を超える高値をつけた同社の株価は、そ...
    • 10年成長していない「パナソニック」の株は買えるか?総合家電メーカーの「勝ち組」と「負け組」
      パナソニックの経営状況に深刻な懸念が生じています。過去10年間の業績推移を見ると、売上高は7兆円から8兆円台の間で停滞しており、成長が見られ...
    • 【浜松ホトニクス】5年ぶりの安値!ついに買い時か?
      浜松ホトニクスは2024年8月31日に売出しを発表しました。 それにより株価が下がり、年初来安値を更新しています。 この下落は買いのチャンス...
    • タイミー、上場後初決算で株価大幅下落。今が買い時か?
      2024年9月12日、スキマバイトサービス「タイミー」を運営する株式会社タイミーが上場後初となる四半期決算を発表しました。注目を集めていた同...

    Article List - 記事一覧Article List

    カテゴリから記事を探す