【フジクラ】データセンター需要はまだ伸びる?爆上げ銘柄の特徴を解説

今日は、今年非常に注目されている銘柄、フジクラについてお話ししたいと思います。

フジクラは、光ファイバーやデータセンター向けの光ファイバー関連部材を製造・販売している会社です。 今のAIデータセンターブームに乗り、業績を大きく伸ばしてきました。 しかし、直近で株価が下がり、一時はピークの半値程度にもなりました。

この下落は果たして買いのチャンスなのでしょうか? 大きく伸び続ける銘柄の特性という観点も踏まえ、詳しく解説していきます。

株価急落の背景:2024年の急騰から一転

フジクラは電線御三家と呼ばれるうちの一社で、2023年までは地味な銘柄でした。 電線自体が比較的安定した事業であるため、株価も停滞していました。
しかし、2024年に入ってから大きく上昇し、2月13日には7620円のピークを迎えました。 ところがその後、トランプ大統領の関税政策などによる先行き懸念からか、一時3592円まで急落しました。

株価上昇の牽引役:AIデータセンター関連需要の爆発

近年の株価急騰の背景にあったのは、AIデータセンターに関する需要の拡大です。 AIデータセンターで使用される光ファイバーは、大量のデータを高速で伝送するために不可欠な部材となっています。 データセンターは、携帯電話やパソコンでのデータ処理、YouTubeの視聴など、あらゆる情報通信の基盤であり、特にAIの処理には膨大なデータ量が求められるため、高性能な光ファイバーが不可欠です。 フジクラだけでなく、古河電工といった同業他社の株価や業績も伸びていることからも、このトレンドの強さが伺えます。

フジクラの業績を見てみると、営業利益がこの数年で5~6倍にまで急成長しています。 これは、AIデータセンター関連の需要がいかに大きかったかを物語っています。

株価はまだ割安?

利益が大幅に増加しているにも関わらず、株価は直近の高値から大きく下落しており、高値前の水準から見ても約4倍の上昇に留まっています。 これは、まだ上昇余地があると考えることもできます。 また、PER(株価収益率)は17.6倍であり、必ずしも割高とは言えない水準です。 利回りも1.7%あり、魅力的に見えます。

一方で、「今回の株価急落は、何度も繰り返されてきたバブル銘柄の末路ではないか?」と懸念する声も聞かれます。 急騰する銘柄に飛びつく前に考えるべきは、その商品やサービスが誰にでも簡単に作れるものなのかどうかという点です。 誰でも作れる商品の場合、一時的に株価が上昇しても、すぐに供給過剰となり、価格競争が激化し、最終的には淘汰される可能性が高いです。

爆上げ銘柄の条件:市場の拡大と枯渇感
株価が大きく上昇する銘柄には共通する特徴があります。 それは、市場の拡大と枯渇感(供給不足)です。生成AIとそれを支えるデータセンターの状況がこれに当てはまります。

データセンターを巡る需要:半導体、光ファイバー、冷却、電力

AIデータセンターの建設と運用には、半導体(特にNVIDIAのGPU)、光ファイバー(フジクラ、古河電工、コーニングなど)、冷却技術(ダイキンなど)、そして大量の電力が必要です。 これらの関連企業も、AIブームの恩恵を受けて業績を伸ばしています。 特に、三菱重工はガスタービンの技術でデータセンター向けに貢献しており、AI恩恵銘柄と言えるでしょう。

供給過剰のリスク:光ファイバー市場の将来性

しかし、 単純に光ファイバーを作る技術自体は、それほど難しいものではないかもしれません。 現在は供給が需要に追いついていないため価格が上昇していますが、各社が生産能力を増強すれば、供給過剰に陥り、価格が下落する可能性があります。 これは、過去の科学メーカーや半導体業界でも繰り返されてきた現象です。

フジクラの真の強み:模倣困難な特殊技術

重要なのは、誰にでも作れない強みを持っているかどうかです。 フジクラの場合、単なる光ファイバーメーカーではなく、特殊光ファイバーにおいて高い技術力を持っています。 高密度、優れた曲げ特性、低伝送損失といった特徴を持つ光ファイバーは、データセンターの小型化や効率化に不可欠であり、簡単に真似できるものではありません。 また、高密度コネクターやケーブルアセンブリといった分野でも高いシェアを誇っています。 このような技術力こそが、フジクラの大きな強みと言えるでしょう。 データセンター大手からの強い需要と、それに応える独自の技術力によって、フジクラは高い収益性を維持できると考えられます。

今後の懸念材料:Microsoftのデータセンター投資計画縮小

今回のフジクラ株価下落の背景には、トランプ関税だけでなく、Microsoftがデータセンター計画から撤退するというニュースも影響していると思われます。

マイクロソフト、米欧のデータセンター計画から撤退-TDカウエン(Bloomberg)

AIデータセンターの需要に影―マイクロソフト、世界各地で計画縮小(Bloomberg)

マイクロソフトが世界的にデータセンター開発から撤退(Data Center Cafe)

Microsoftは、2024年から2025年にかけてデータセンターに巨額の投資を行ってきましたが、計画の一部キャンセルやリース契約の解除といった動きが見られています。 Open AIとの連携でAI分野を牽引してきたMicrosoftの動きは、市場に警戒感を与えています。

今後の市場拡大が鈍化する要因としては、供給の充足、AIの幻滅期(現時点では可能性は低い)、代替手段の登場(DeepSeekなど)、マネタイズの課題、リソース制約(電力など)などが考えられます。 特に、Microsoftがデータセンターの供給過剰を理由に投資を縮小する可能性もあります。

しかし、Microsoftが投資を一部縮小する一方で、Amazon、Google、Metaといった他の大手IT企業は、依然としてデータセンターへの積極的な投資計画を発表しています。 Microsoftの投資計画が2025年6月期に集中しているのに対し、他の3社は暦年での計画であり、まだ投資の初期段階にあるとも考えられます。 また、Open AIが新たな画像生成AIを発表するなど、データセンター需要を再び押し上げる可能性も十分にあります。

景気後退の影響:マグニフィセント7の底力

景気後退の時は一般的に企業の投資意欲は減退しますが、今回の状況は単純ではありません。 Google、Microsoft、Amazon、Metaといったいわゆる”マグニフィセント7”は、景気が悪化しても簡単に赤字に転落するような企業体質ではありません。 強固な収益基盤を持ち、潤沢な資金力を持っているため、他社に先駆けてAI分野での覇権を確立しようと、むしろ積極的に投資を行う可能性があります。 また、AIを活用することで人件費を削減し、経営効率を高める動きも加速すると考えられ、AI投資の追い風となる可能性もあります。

まとめ:フジクラのポテンシャルと投資判断

現時点でのフジクラのPERは決して割高ではなく、独自の技術力とAIデータセンター需要の拡大という背景を考慮すれば、中長期的な成長のポテンシャルは依然として高いと考えられます。 Microsoftの投資計画縮小は一時的な懸念材料ではありますが、他の大手IT企業の積極的な投資姿勢や、AI技術の進化による新たな需要創出の可能性もあります。

もちろん、株価の変動が激しい業界なので、慎重に見極めながら判断を行う必要はあります。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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