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新型コロナ後初の上場企業破綻・・・自転車操業の会社から淘汰がはじまる
アパレルメーカーのレナウン(3606)が民事再生法の適用を発表しました。これにより同社は上場廃止となります。新型コロナ後、上場企業の経営破たんは初めてです。
【参考】レナウン業績不振 コロナ追い打ち 親会社と対立も痛手(日本経済新聞)
レナウンといえば、百貨店を中心に展開する「アッパーミドル」のブランドです。近年は経営が振るわず、2013年には中国企業・山東如意の傘下に入っていました。
その後も赤字体質が改善することはなく、直近では山東如意子会社からの売掛金回収が滞ったことから損失を計上していました。そこへ新型コロナですから、まさに弱り目に祟り目です。2019年12月期の決算短信には「継続企業の前提に関する注記」までついていました。
業績推移を見ると明らかなように、経営破たんの直接の原因は新型コロナのせいではなさそうです。ただ、最後のボタンを押す効果としては強大なものとなったでしょう。
緊急事態宣言を受け、百貨店は多くが休業しています。日銭が全く入ってこなくなりますから、自転車操業の会社はあえなく倒れてしまうでしょう。当面は、もともとまずい状況にあった企業から淘汰されることになりそうです。
始まった「破綻ドミノ」。「第2波」は銀行へ。世界経済は大転換を迎えるか
怖いのは「連鎖倒産」です。レナウンにしても、元はと言えば山東如意の子会社が代金を支払えなくなったことが資金繰りに窮する要因となりました。1つの会社が破綻すると、そこに連なる別の会社が窮地に陥るということになるのです。
すると、ここまでなんとか凌いできた会社でも持ちこたえられなくなるところが出てきます。これがドミノ倒しのように拡大していくことが考えられるのです。
ドミノの先にあるのは銀行です。銀行も多くの企業に融資していますから、融資先に破綻されると損失になってしまいます。そのようなことが続くとやがて疑心暗鬼になり、まだ大丈夫な先にも融資することをためらうようになります。
銀行の融資姿勢が厳しくなることが、新型コロナ・ショックの経済に対する「第2波」なのです。
もちろん、この状況を恐れているのは政府も同じですから、そうならないように政府保証や債権買取なども選択肢になるでしょう。もはや政府の決断なくして多くの企業は持ちません。
一時的に持ちこたえたとしても、例外的な措置は必ず尾を引きます。1929年の世界恐慌はその後のブロック経済化や第二次世界大戦の遠因となりました。トランプ大統領は発生源となった中国を目の敵にしています。経済問題はウイルスそのもの以上に今後の世界を大きく揺るがすことになるでしょう。
上場企業の4社に1社が最終赤字・・・市場は緩和マネーとリスク回避行動の綱引きが続く
上場・非上場問わず多くの企業が瀬戸際に立っています。上場企業の1~3月期決算は、4社に1社が最終赤字となりました。緊急事態宣言が発出されたのが4月に入ってからですから、直近の四半期は当然これ以上に悪くなります。
このような状況にもかかわらず、株価はむしろ上昇基調にあります。すでに新型コロナ・ショックは終わったかのような動きです。
「株価は未来を先取りする」と言われますが、果たしてそうでしょうか。新型コロナ初期はむしろ事態を軽視するような動きでした。
今回がリーマン・ショックと違うのは、金融機関が傷んでいないということです。リーマン・ショックはそもそも金融機関発の経済危機だったため、買い手がつかずに株価が暴落したという経緯があります。
しかし、今の金融機関は「平常運転」です。むしろ、緩和マネーによりお金が余っており、それをどこに振り向けようかとウズウズしています。これが株価を支える要因となっているのです。
一方で、縮小しつつあるのが「石油マネー」です。原油は先物価格が一時マイナスを記録するなど、過去に例を見ない水準になっています。石油に支えられる中東や北欧の政府系ファンドは、資金確保のために売りに転じるでしょう。
【参考】株、迫る政府ファンドの売り 動き出すノルウェー(日本経済新聞)
金融機関も、企業倒産が増加すればやがてリスク回避に動かざるを得なくなる可能性があります。あとは、緩和マネーのとのリスク回避行動の綱引きが続く展開になりそうです。
バフェットが動いた。その動きは「売り」だった
このような状況で、個人投資家はどう構えたら良いでしょうか。
参考になるのがやはりバフェットです。航空株に続いて直近では地銀株、さらにはリーマン・ショック時に購入したゴールドマン・サックス株も売却に動きました。一方でほとんど買い向かわず、会社の現金残高は14兆円と過去最高水準です。
【参考】バフェット氏、ゴールドマン株8割売却 金融危機で出資(日本経済新聞)
ここから上がるか下がるか、確実なことはわかりません。しかし、下がるとしたら第2波、第3波と大きなものが考えられます。その時に初めて動けば良いというのが私のスタンスです。
投資において最大の敵は「焦り」です。上がる相場に無理についていこうとすると、必ず痛い目を見ます。もちろん儲け損なう可能性もありますが、それはそれで仕方のないことだと諦めることも肝心です。
チャンスは必ずまたやってきます。長期投資では、「儲けること」より「損をしないこと」が大切です。
投資の世界に見逃し三振はない
ウォーレン・バフェット
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