【任天堂】Switch 2予約殺到!株価はどうなる?初代Switchと徹底比較

今回は、任天堂が今年発売を予定している新型ゲーム機、「Nintendo Switch 2」について詳しく見ていきたいと思います。

多くのゲームファンが待ち望むSwitch 2は、今年の6月5日に発売されることが決定しており、すでに予約が殺到しているというニュースを目にされた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Switch 2の最新情報から、その発売が任天堂の業績や株価にどのような影響を与えるのか、そしてゲーム市場全体の動向まで深掘りしていきます。

Nintendo Switch 2の概要と進化

まず、Switch 2はどのようなゲーム機なのでしょうか。その開発自体は初代Switchが発売されたわずか約1年後の2019年から始まっていたようです。これは、任天堂が次世代機に向けていかに早期から研究開発に時間をかけているかを示しています。

Switch 2は2025年6月5日に発売が予定されています。価格は49,000円程度になるとされており、現在販売されている初代Switchの有機ELモデル(約37,000円)と比べると、1万円以上高くなっています。物価高の影響もあるでしょうが、ハードを乗り換えるユーザーにとっては負担増となる可能性があります。

外見は初代と大きく変わらない印象を受けるかもしれませんが、内部の性能は向上しています。これまで重かった動作が軽快になるなど、処理能力の向上が期待できます。これは、より高性能な部品を使用しているためと考えられます。

さらに、Switch 2では音声通話機能が追加される点も注目です。ゲームをプレイしながら他のプレイヤーと音声でやり取りできるようになるため、オンライン対戦などがよりリッチな体験になるでしょう。専用のカメラを使えば、顔を映しながら通信対戦することも可能になるとのことです。これは、PCオンラインゲームのような要素を取り入れた進化と言えそうです。

事前予約の状況と驚異的な人気

Switch 2の人気の高さは、事前予約の状況からも明らかです。国内での抽選予約には、なんと220万件もの申し込みがあったと話題になりました。任天堂の古川社長も、公式Xアカウントでこの応募数を公表し、事前の想定を大幅に上回ったとコメントしています。

具体的に何台の予約枠があったかは明確にされていませんが、年間目標販売台数1500万台(全世界) と比較しても、国内だけで220万件の応募というのは非常に多い数字であり、圧倒的に多くの人が抽選に外れている状況がうかがえます。予約できたのはごく一部の人だけだったと言えるでしょう。

この予約の過熱ぶりを受けて、任天堂は転売対策にも力を入れています。例えば、公式のNintendo Storeでの予約抽選には、過去1年間にNintendo Switch Onlineに加入していたSwitchの既存ユーザーであることという厳しい条件が課されました。これにより、転売目的ではない既存のファン層に購入機会が与えられました。量販店でも独自の条件(例: ビックカメラのクレカ所有かつ2年で3万円以上の購入実績など)が設けられており、購入できる人がかなり絞られる状況でした。

今後の販売スケジュールとしては、第2回抽選の結果発表が5月20日に行われるようです。そして、6月5日の発売日以降は、通常販売も行われると考えられます。

目標販売台数1500万台の背景と初代Switchの実績

任天堂はSwitch 2の初年度販売目標を1500万台としています。この数字は、初代Switchが発売初年度に達成した販売台数をベンチマークとして設定されています。
しかし、この目標台数に対しては、「少ないのではないか?」という声も聞かれます。初代Switchは累計で約1億5000万台を販売しており、すでに多くのユーザーがいます。これらのユーザーがSwitch 2に乗り換えることを考えると、初年度1500万台は控えめに見えるかもしれません。意図的に需要過多な状況を作り出しているのではないか、といった見方もできるます。

目標台数を1500万台に設定した理由としては、Switch 2の価格が初代より高いこと や、生産能力、そして関税の影響などが考慮しているのかもしれません。特に、海外売上比率が約80%、その中でも米国が44%を占めているため、米国での販売にかかる関税は利益に数百億円規模の悪影響を及ぼすと見込まれており、これも販売計画に影響を与えていると考えられます。

一方で、初代Switchの販売推移を見ると、興味深い傾向が見て取れます。

初年度の1500万台から始まり、その後数年間は右肩上がりに販売台数を伸ばしました。特に2021年度には2800万台以上という驚異的な販売を記録していますが、これはコロナ禍によって多くの人が自宅で過ごす時間が増え、ゲーム機の需要が高まったことが大きな要因です。コロナ禍のピークを過ぎた現在は、販売台数は減少傾向にあります。

このグラフからわかるのは、必ずしも初年度が販売のピークではないということです。段階的にユーザーを増やし、特に発売後3年間は力強く成長しています。この経験を踏まえると、Switch 2も初年度の目標は控えめでも、その後伸びる可能性は考えられます。

任天堂の業績と安定性、そして潜むリスク

任天堂の業績は、ハードの成功と失敗の歴史をたどってきました。2006年に発売されたWiiで大きく業績を伸ばしましたが、その後のニンテンドー3DSやWii Uは、ある意味では失敗だったと言えるでしょう。そして、Switchが登場し、業績は再び大きく成長しました。

注目すべきは、コロナ禍によるピーク(2021年度、2022年度)を過ぎた後も、2023年度、2024年度と比較的高い水準で業績を維持できている点です。これは、ハードの単価が上がったことや、有機ELモデルのような派生モデルを投入してSwitchを長く販売したこと、そして何よりソフト販売の安定性が要因として挙げられます。

任天堂は『マリオカート』や『ポケモン』、『スプラトゥーン』といった強力なIP(知的財産)を持っており、これらのシリーズの新作や追加コンテンツが継続的に売れ続けています。ダウンロード販売や追加コンテンツ販売など、昔と比べてソフトの売り方も多様化していることも、安定した収益に繋がっています。IP戦略としては、映画などのメディアミックスを通じて任天堂のキャラクターに触れる機会を増やし、それがゲームへの関心を高めるという流れを作ろうとしています。IP関連のモバイル売上は約5%と限定的ですが、あくまでゲーム販売を促進するための仕掛けという位置付けと考えられます。

しかし、過去の任天堂の歴史を見ると、懸念材料も見えてきます。特に、Wii Uのように、前の世代機(Wii)のナンバリングタイトル的な立ち位置のハードが低迷した時期があるということです。Switch 2も、ある意味ではナンバリングハードのような位置付けであり、Switchユーザーがそのままスムーズに移行してくれるかが鍵となります。互換性については、Switch 2はSwitchのソフトがほとんど遊べるとの情報が出ており、Wii Uや3DSも過去のソフトとの互換性がありました。

また、ゲーム市場全体の動向も無視できません。ゲーム業界全体の売上はモバイルゲームが大きく伸びており、家庭用ゲーム市場は任天堂の成功によって全体市場の大きさもある程度測られる側面があるものの、コロナ禍での爆発的な伸びが一服し、現在は安定あるいは微減傾向にあります。

年1日以上ゲームで遊んだ人の割合(出典:東洋経済)を見ても、全体としては若干減少しており、特にゲームの主要ユーザー層とされる15歳から20代の若者層で減少傾向が見られます。

これは、コロナ禍のような「家の中で遊ぶしかない」という状況がなくなったことで、他の娯楽に流れている可能性があることを示唆しています。

一方で、50代以上の層でゲームプレイ人口が増加傾向にあるという興味深いデータもあります。これは、かつてゲームをプレイしていた世代が年齢を重ね、時間やお金ができたことで再びゲームに回帰しているのかもしれません。この層の増加は、今後の市場を底堅く支える要因になる可能性も考えられます。

Switch 2の販売課題と利益率への影響

Switch 2の販売においては、いくつかの課題があります。コロナバブルの反動で新規ユーザー獲得のハードルが上がっている可能性や、先述した関税の影響などです。さらに、Switch 2は初代Switchよりも粗利率が悪い、つまり製造コストが高いと言われています。初代Switchの初年度の粗利率は約40%でしたが、Switch 2はそれより低くなる可能性と言われています。

任天堂は、ハードが売れる段階では粗利率が低くても、ソフトが売れ始めることで全体としての利益率が向上するというビジネスモデルを持っています。ハード普及が進み、ソフト販売の割合が高くなるにつれて、粗利率は50%、60%と上昇していく傾向が見られます。今期の業績予想でも売上高は過去最高を見込んでいますが、営業利益の伸びは限定的とされており、これは初期のハードの製造コストの高さが影響していると考えられます。

Switch 2成功への鍵

以上の点を踏まえると、Switch 2が初代Switchの販売台数(1億5000万台)を超えるのは、かなりハードルが高いと言えるでしょう。ハードが売れないとソフトも売れにくくなるため、ソフト販売で利益を上げるというビジネスモデルにとっても影響が出てくる可能性があります。

Switch 2が成功し、業績をさらに伸ばしていくためには、やはりキラータイトルとなる「売れるソフト」の登場が不可欠です。また、Switch 2の新しいシステム(音声通話機能など)を活かした、新しい遊び方の提案がユーザーにどれだけ受け入れられるかも重要な鍵となります。

投資としての観点

任天堂の株価については、過去最高益を達成した時期のPER(株価収益率)は約30倍程度でしたが、現在の株価(約18,000円)に対するPERは約46倍となっています。最高益をベースとしたPERでも約30倍であることを考えると、現在の株価は割安ではないという見方ができるかもしれません。

しかし、任天堂には高い安定性があるのも事実です。特にキャッシュフローが非常に潤沢であり、投資や開発に回す資金が豊富です。また、「配当性向50%」という設定があり、比較的高い配当利回りや自社株買いも期待できる点も、投資家にとっては魅力と言えるでしょう。

もちろん、過去のWii Uのようにハードが期待通りに売れず、業績が大きく落ち込むリスクもゼロではありません。この点は常に注視しておく必要があるでしょう。

まとめ

Nintendo Switch 2は、事前予約の段階で凄まじい人気を見せていますが、初代Switchが達成した販売実績を超えるには、コロナ禍という特殊な環境が後押しした初代とは異なるアプローチや、新たなキラーソフトの登場が求められるでしょう。価格の上昇や製造コスト、関税といった課題 もあります。

一方で、任天堂は強力なIPと安定したソフト販売、そして潤沢な資金を持つ非常に良い会社であることには変わりありません。特に、年齢の高い層のゲーマーが増加している点は、今後の安定性を支える要因となるかもしれません。

Switch 2が今後どのように市場に受け入れられ、どのような「売れるソフト」が登場するのか、引き続きその動向を注視していきたいと思います。

執筆者

執筆者:佐々木 悠

佐々木 悠(ささき はるか)

つばめ投資顧問 アナリスト 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。
協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。
銀行勤務時は投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。
2022年につばめ投資顧問へ入社。

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