【高配当株投資をやめた理由】「高配当」の裏に潜む落とし穴。ロイヤルダッチシェルは原油価格急落で80年ぶりの大減配。安心して配当を受け取れる銘柄の条件とは?

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以下、文章化したものです。


つばめ投資顧問ではお客様へのサービスとしてバフェット流の割安成長株をお勧めすると同時に、一方ではリタイアした人やキャッシュフローを望む人のための高配当株の枠を設けてそれぞれの銘柄を紹介してきました。

しかしこの度、この高配当株銘柄の枠を撤廃することにしました

つまり、これからは高配当を目的とした投資はサービスの対象から外すということです。

なぜかというと、この高配当株投資が長期で見たときに必ずしも割のいいものではないと判断したからです。

なぜそのような結論に至ったのかこれから解説いたします。

ロイヤル・ダッチ・シェルの減配

ロイヤル・ダッチ・シェルは、新型コロナウイルスの影響を受けて原油価格が一時マイナスになるなどして、株価がものすごく下がりました。



ロイヤル・ダッチ・シェルは石油を掘ってそれを売ります。

しかし、掘っても掘ってもまったく金にならないものを売っても赤字を垂れ流すばかりとなってしまいます。

つまり、ロイヤル・ダッチ・シェルの株価はほぼ石油に連動して動くことになります。

よって、株価が大きく下がってきました。

一方でこの会社は、戦後80年間で一度も減配をしていないという配当には安心感ある銘柄でした。

したがって、株価が下がってきたときに私はむしろ目をつけて、最高の高配当株銘柄としていました。

過去80年減配していない銘柄ですから配当が減る可能性は低いと思いましたし、配当が減らなければ非常に高い利回りが得られると考えたからです。

一番大きく下げた時点での利回りは最大15%にも及んだため、この下げたところで積極的に買いを入れていました。

しかし、それがその後大きく裏切られることになりました。

「シェル、80年ぶり減配へ 石油需要減で自社株買いも停止」とニュースになりました。

まさに株式関係者、特に配当株を中心として投資を行っている人にとっては衝撃の事態でした。

株式市場は予想ができるものではありませんが、80年続いていたことが変わってしまうショックは大きいものでした。

逆に言えばシェルの経営陣がそれだけこのコロナの影響を慎重に見て、かなり厳しくなるだろうと考えているわけです。

一時的に減ってもまた戻ればいいだろうとも思われましたが、その説明の中には配当の増配プログラムを一度リセットするとまで言っているので、これから増えるにしても急にまた前の水準に戻すようなことはないのではないかと考えられました。

そのため、私はこれを安くなった時に一度は買いましたが、それは高配当株としての買いであり、元々10%以上が見込まれていた利回りが3%となり、高配当株ではなくなったこの瞬間に損切りしました。

安く買っていたので結果的にはほぼマイナスが無いところで売れましたが、会員のみなさんを迷わすことになってしまいましたし、私自身も苦渋の決断でした。

高配当株の特徴

配当株というものは配当を得続ければキャッシュフローがあり、株価の変動も気にしなくてよいので安心の投資に見える一方で、ひとたび配当が減らされることがあれば当然それに合わせて株価も下がりますから、配当減、株価も減というダブルパンチを受けてしまいます

もちろん、投資においてはそういうことがなるべくない銘柄を選んでポートフォリオを組まなければならないのですが、高配当という点に注目するとなかなかそうはいきません。

高配当株は、いわゆる「成熟産業」が多く、新たな投資を必要とせず、事業がまわっている限りお金が入り、出る方が少ないので残ったお金を配当に回すことができます。

だからこそ利回りが高いということになるわけです。

しかし、成長性が低いということはあとは衰退しかありませんから、ひたすら衰退との闘いということになります。

その結果、石油やタバコ、金融といった昔ながらの業界にセクターが集中してしまい、ポートフォリオの分散効果が効かなくなってしまいます

もちろん、石油は世の中に必要とされ続けますし、タバコも喫煙率は下がっているとはいえ吸う人は値上げしても吸うという、会社にとってはおいしいということになります。

一方でこれらの銘柄は今回のような急激な変化に非常に弱いのです

石油会社も今後もう石油価格が全く上がらないとしたら今の配当を維持し続けることは難しいでしょうし、タバコに関してはWHOが「ダメ」と言い始めたらもう太刀打ちできません。

つまり、一見すると安定して配当を得続けられそうですが、急激な変化に非常に弱いという特徴があります。

個別株に投資をしていると、今回のロイヤル・ダッチ・シェルのような落とし穴にはまってしまいかねないわけです。

まして、株価が下がって利回りが上がるとついついたくさん投資してしまいがちになり、それがダメになった時のダメージも大きいということになります。

このようなことから、私は高配当株、少なくとも個別株への高配当株投資は決して割のいいものではないと考えました。

長期で保有するということになると、どこで急激な変化が起こるか分からないわけです。

それを持ち続けるというのは、私の投資顧問の「持ち続ける」というスタンスに合わないということになり、ここで思い切って、配当枠の廃止という決断に至りました。

しかしこれは苦渋の決断で、その配当収入を引退後の年金の足しにするということを考えているお客さんもいらっしゃったので、これに関しては非常に難しい決断と言わざるを得ませんでした。

配当株投資をするなら

一方でその高配当ということに関しては、こうやって個別銘柄に投資をしているとどうしても急激な変化に耐えられないというところがありますが、これを分散させることで、そこまで高い利回りは見込まずとも安定した高配当を得続けられることは株式投資の一つの魅力です。

そういったことから、例えば年金の足しにということを考えているのであれば、高配当株ETFというものがあります。



下がった時に少しずつ買うことを前提に、これらの銘柄を買えば、高配当株投資としては十分です。

配当を得るという目的を達成することができます。

あとはそれぞれのETFの特徴を見て、ファンドマネージャーに任せれば、手をかけることなく安定して配当を得続けられます。

ただし、これは米国株なので「ドル建て」になってしまいます。

それでも基本的には”世界最強通貨”ドルなので問題はないと思いますが、日本株がいいとなった時に、日本株には高配当ETFあるいは高配当投資信託で良いものがないのです。

その理由として、そもそも日本に安定して高配当を出し続ける企業がほとんどないということが挙げられます。

よくよく見ればそういった企業もないわけではないのですが、投資信託となると手数料が高くなってしまいます。

日本に、高配当を出し続ける企業と、それを選べてかつ手数料が安い投資信託やETFが現れることを期待します。

配当株投資は有用。リスクも理解し、リスクを下げる投資を。

ここまでの話だと、配当を目的とした投資はダメなのではないかと思うかもしれませんが、私は決してそうは思いません

むしろ投資において配当は無くてはならないものです。

配当をなくして株式で勝つというのは有り得ません。

しかし、高配当だけに目をつけてしまうと、衰退のジレンマや急激な変化のリスクという落とし穴にはまってしまいます。

そこで私が推奨したいのは、結局バフェット流の投資ということになります。

バフェットの代表的な投資銘柄であるコカ・コーラです。



1987年頃からバフェットはコカ・コーラに投資をしていますが、87年から現在までで株価はおよそ14倍に伸びています。

世界中で飲まれているブランドで、成長を続けてきた企業です。

この株を持つということは、今後衰退するかもしれない企業に投資するよりもはるかに安心感があります。

それで利益が伸びて株価が伸びるということであれば、どっしり構えていられるわけです。

当然利益が伸びるということは配当もそれに従って伸びるということになります。

実はこの間に株価は14倍になり、しかも買ったときの株価に対する今の配当を計算するとなんと50%にもなります。

つまり、バフェットは買った金額の元はたった2年でとってしまうということになります。

そんな銘柄ですから、手放す必要は全くありません。

その結果、『永久保有』ができているわけですが、ここまでではなくても、例えば10年という期間で考えた時に、今利回りが3%だけれども、これが10年のうちに利益が2倍になって、同じ配当性向だとすると、今の3%の利回りが10年後には6%になります

6%といえばかなり高い高配当銘柄とほぼ同じです。

それを続けていけば、5年後10年後には、配当としてもかなりの高配当株に準ずるような高い配当を得続けることができます。

結論として、私は配当枠を廃止したことでバフェット流の割安成長株投資に集中し、なおかつ、株価の成長はもちろんのこと配当の成長も観点に入れて、5年10年といった長期での投資をお客様にオススメすると同時に自分もこれらの銘柄を買うことで積極的に資産を増やしていこうと考えています。

何度も言うように、私は高配当株投資を否定することは決してありません。

配当株投資は投資において有力な手法であることは間違いありませ

しかしそこに潜んでいるリスクを知った上で、そのリスクを回避するためにどうしたらいいのかということを、投資家は考えなければいけません。

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3 件のコメント

  • 投資方針がブレブレで本当にがっかりしています。素人投資家でしたら、それでも構わないのですが、プロとしては、恥ずかしいことと思います。コロナ発生時も航空会社はホールドを推奨していたのに、後になって売りと言ってみたり、高配当銘柄を悲観してみたり。

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