【株式投資の基礎②】なぜ多くの人は急騰する銘柄に魅せられるのか?ケインズが提唱した「美人投票」の考え方とバブルの歴史。株式投資初心者にもわかりやすく解説

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以下、文章化したものです。


株式投資をしていて、株価って何故こんな風に動くんだろうと思ったことはないでしょうか?

実は100年も前にこの動き方について明瞭な説明を加えた人がいました。

それが有名な経済学者のケインズです。

このケインズが提唱したのが『美人投票』という考え方です。

この美人投票の考え方を知る事で貴方も何故目の前の株価が動いているのかを理解する事が出来るはずです。

需要と供給

まず株価を決める要因というのは実は長期と短期のものがあります

この長期の要因としてはファンダメンタルズというものです。

株式というのは企業をバラバラにした物ですから、その企業の状態によって株価が決まってくるという考え方です。

それが利益を元にしたPERや配当を元にした配当利回り。

利回りの水準の考え方。

それから資産です。

その企業がどれぐらいの資産を持っているかによって株式の価格が決まるという考え方です。

これらは長い目で見るとこのファンダメンタルズに株価は収束していくという事がほとんどですが、一方では目先の株価というのは決してこればかりで決まりません。

これだけで決まるとしたら、株価は実はほとんど動かないという事なりますから、そうではない要因が必ずあります。

それが需要と供給になります。

この需要と供給というのは簡単に言うと、企業の状態に関わらず、その株を欲しいと思う人が多ければ多いほど株価が上がります。

逆にいらないと言う人が多ければ多いほど株価が下がるという事になります。

つまり簡単に言うと、目先の株価というのは企業の実態がどうかという事に関わらず、多くの投資家が市場に参加する中で人々の気持ち一つで決まってしまうという事が出来ます。

これをわかりやすく例えたのがケインズの提唱した美人投票という考え方です。

ケインズの『美人投票』

この美人投票というのは、ミスコンみたいなものですが、多くの美人が並んでいたとして、美人だと思う人に投票しますが、実はその参加者の方に賞金が与えられるもので、1位の美人に投票した人に賞金が贈られるというゲームの事です。



投票する人の考え方としては、もちろん自分が美人だと思う人に投票すれば良いのですが、それが実は一般の考えとズレていて、マニアックな考え方を持っている人だったら決して賞金を貰える事はありません。

従って参加者はどの人が一番美人かではなくて、どの人が一番票を集めそうかという事に焦点を絞って投票するという事になります。

すると、そこに現実と人々の思惑の解離が生じてきます。

例えば「Bは財閥の娘だから組織票が入るらしい」という噂が流れてBに投票しようとする人が増えたり、あるいは「Cは実は顔はそんなでもないけれどもファッションが今風だから今流れに乗るのはこのCじゃないか」という風な噂が流れたりします。

更には現時点では「Dが一番票を集めているらしい」というもっともらしい情報が流れたとします。

すると人々はDに投票すれば賞金が得られるということ事で、みんな一気にDに駆け込みます。

このような流れが美人投票の考え方です。

こうやって人々の思惑、周りの人の思惑互いに読み合っていると、やがてその企業がどうかという事は一旦置き去りにされて、どこが一番有利そうかという事ばかり関心が行きます

このようにして株価は企業の実態とは関係なく、目先で大きく動く事があります。

ですからみなさんも、何故この企業こんなに良くないのに株価が上がっているのか、あるいはこんなに良い企業なのに何故株価が下がっているのだろうと思うかもしれません。

それは決して企業が良かったり悪かったりする訳ではなくて、他の人が買うんじゃないかという人々の思惑で買っているという可能性があります。

しかし、美人が一人一人前に出てパフォーマンスして、審査をするという局面になった時に、実はみんなが投票したDの人はでそんなに美人ではなかったという事が明らかになるかもしれません。

すると、これはやばいと考えて、Dに投票をやめる、つまり株でいうと株を売るという事になります。

今まで人々がDに多く投票して、株価としては上がっていたんですが、現実が明らかになって、Dへの投票は続かないと考えるとバブルがはじけて株価が大きく値下がりしてしまうという事になります。

もちろん短期の投資では、このように人々の思惑を、うまく読むことで乗り越えて、それで株で成功する人も中にはいますが、多くはみんなが失望して一気に株価が下がるのに飲み込まれて資産を失ってしまいます。

この美人投票の考え方を提唱したケインズですら、最初はこの美人投票のような考え方で投機的な取引を行っていましたが、毎回上手くいく訳もなく、一度は大きく資産を増やしながらも1929年世界恐慌のバブル崩壊に飲み込まれて多額の資産を失ってしまいました。

つまり我々は美人投票という短期の株価の決まり方の考え方を知りながらも、それにのめり込みすぎると、やがてバブルの崩壊に飲み込まれてしまう可能性があるという事を認識しなければなりません

バブルの歴史

人類の経済の歴史というのはバブルの形成と崩壊と言っても過言ではないと考えています。

かつて最初のバブルと言われるのが1600年代頃のチューリップバブルと言われるものなんですが、オランダにチューリップが持ち込まれて、すごく愛でられました。

高貴な貴族などが愛でていたんですが、このチューリップの球根が高く売れるのではないかとという話になって、みんながこぞってチューリップの球根を買いだします。

すると球根がものすごく高値になります。

チューリップの球根1個で家が一軒買えたという話もあるぐらい株価が高騰しました。

最終的には球根ですから、それは見るも無残に価格下がっていく事になります。

皆さんご存知の万有引力の法則をしたニュートンですら、このチューリップバブルに踊らされて、多額の資金を失ってしまったという逸話があるぐらい大きな事件でした。

次に起きたのは南海泡沫事件といって、南海に出航している企業がどうやらものすごくお金を稼ぐらしいという話がありましたが、それは結局噂に過ぎず、この株が異常に高値で取引されて、投資家が借金までして、株を買ったのですが、やがて真実が明らかになるとその株は紙くずになって、多くの人が資産を失ってしまいました。

最近ではITバブルです。

2000年頃にインターネットが普及し始めて、いよいよこれからITの時代が来るぞという所で、もちろんマイクロソフトやアマゾンなど今でも生き残っている企業がある一方、中身がほとんど無いような企業でも、
「. com 」という名前さえ付けば株価が異常に上がるという状況がありました

しかしいざ中身がない事が分かると、やはりそういった企業の株価はを10分の1、100分の1の紙くずになってしまいました。

何故このバブルが起きたのかというと、本当に騙されて「.com」が付いてればいいよという事で買った人も中にはいるんでしょうけれども、実はそんなことはわかっていて美人投票の考え方で多くの人が投票するだろうと思い、そこに乗ってやるかと考えて投資した人も少なくないはずです。

これが先ほど説明したように、美人投票の考え方を知るのは大切ですが、その考え方にのめり込むと結局どこかの瞬間バブルがはじけて一気に飲み込まれてしまうか分かりません。

現に美人投票の考えを提唱したケインズですら、そういう事になってしまいました。

長期投資家は美人投票に乗ってはいけない

安定した株式投資をしたいと思うならば、決してこういった事にらないというのが大切です。

直近ではビットコインなどもこの一例だと思いますし、また新型コロナウイルスでワクチンや治療薬の開発が急がれていますが、そんな中でこういったバイオベンチャーでは、株価がずっと赤字の会社ですけれども治療薬を開発するのではないか、ワクチンを開発するのではないかという期待が先行し、美人投票と同じでそれに期待する人がいるだろうと、また多くの人が考えて株価が急騰している銘柄もあります。
 


初心者ほどこういった銘柄にハマってしまいがちで、しかも美人投票の考え方を知らずに本気でそう思って買ってる人は少なくありません。

今上がっている所から本当にワクチンを開発する可能性が0ではありませんが決して高くはありません。

するとここから株価が大きく下がって、それに巻き込まれて資産を失ってしまうという個人投資家、特に初心者が少なくありません。

皆さんはこういったものに気を付けていただきたいです。

最後に話をまとめさせていただくと、短期的な株価というのは『需給』で決まるという事で、これは企業の実態とかけ離れている可能性があります

やがて時間が経つ事に、中身がない物については価格はやがて崩れる事を認識して、短期で売買したいと思う人はそれでもいいかもしれませんが、長期でどっしりと腰を据えて投資をしたいという人は、その美人投票の短期的な株価の動きに決して乗らないという事が大切です

最後に残るのは本当の美人です。

私たちはその本当の美人を見つけ出す『目』を身に付けなければならないという事になります。

美人投票の考えを提唱したケインズですが、美人投票のめり込んで、その後大きく資産を失ってしまいます。

その後、株価資産は増えたり減ったりを繰り返しましたが、それでは決して安心した生活を送ることが出来ないという事で、ケインズもやがて企業の本当の価値に目をつけた長期投資を推奨するようになります。

最初から腰を据えた長期投資を行うというのはなかなか難しいものです。

しかし一度経験して、株価の変動にはこりごりだという人は是非一度長期投資いう考え方を学んでみるのも一つの手だと思います。
 
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