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日銀は、金融政策決定会合と同時に「経済・物価情勢の展望」を公表しています。客観的な経済状況のデータと日銀による「見通し」が書かれていて、少し読むだけでもためになります。4月28日に公表されたものをかいつまんで解説します。
金融政策決定会合と同時に発表
金融政策運営に関しては議論を呼ぶ日本銀行ですが、国内経済分析に関しては右に出るものはいないでしょう。自称「経済アナリスト」のコメントよりも、日銀が公表している資料を読むほうがよほどためになります。
「経済・物価情勢の展望」は100ページ超に及び、すべて読もうとするとうんざりしますが、実は冒頭の<概要>1ページを読めば言いたいことは書かれています。以下は4月28日発表のものからの抜粋です。
景気の動きは鈍い
わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。2018 年度までを展望すると、当面、輸出・生産面に鈍さが残るとみられるが、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加するとみられる。このため、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。
黄色でマークした部分が「事実」、青でマークした部分が「見通し」です。
世界経済最大のリスクとなっているのが、新興国経済の減速です。特に中国と、原油安の影響を受けた資源国の落ち込みが顕著になっています。文書の後段では詳しい解説もありますが、現状認識としてはこのくらいで十分です。
一方、今後の見通しについては「所得から輸出への前向きの循環メカニズム」というよくわからないフレーズが使われていて、特に根拠がないことがよく表れています。詳細を呼んでも、この部分に関する具体的な記述はありません。後ろ向きなことを書くわけにも行きませんから、「希望的観測」と受け取っていいでしょう。
物価も思うように上がっていない
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。
政府・日銀では「プラス2%前後」を物価目標に掲げていますが、足元ではほぼ0%という状況です。それをエネルギー価格下落に転嫁し、上昇に転じれば物価も上がるとしています。
物価を管理する日銀がエネルギー価格に責任を押し付けるわけにもいきませんから、何らかの施策を行わなければなりません。それが1月に導入されたのがマイナス金利ですが、これまで思うような成果を上げていません。
以上を受け「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続するというのが今回の会合の結論です。今のところ、新たな打つ手なしという印象を受けます。
連休中は波乱相場の予感
<概要>で触れられていないのが為替です。そもそも、日銀の仕事に為替の管理は含まれていないので、書きたくても書けないのが現実でしょう。マイナス金利導入の際は、円安誘導を企図しているのではないかと海外からにらまれました。
その為替ですが、ゴールデンウィーク中に一気に円高が進んでいます。短期的には円高は日本企業の収益悪化要因であり、株価も下落する可能性が高いと考えます。
バリュー株投資家としては、ここで焦るのではなく、虎視眈々と割安になった銘柄を拾っていくことを考えるのがセオリーです。この休み中に投資について考えてみてはいかがでしょうか。
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