日銀資料を読めば経済が分かる


Warning: Undefined variable $echo in /home/tsubame104/tsubame104.com/public_html/wp-content/themes/albatros/library/shortcode.php on line 35

日銀は、金融政策決定会合と同時に「経済・物価情勢の展望」を公表しています。客観的な経済状況のデータと日銀による「見通し」が書かれていて、少し読むだけでもためになります。4月28日に公表されたものをかいつまんで解説します。

長期投資家は金融政策決定会合にどう向かい合うべきか

2016.04.30

金融政策決定会合と同時に発表

金融政策運営に関しては議論を呼ぶ日本銀行ですが、国内経済分析に関しては右に出るものはいないでしょう。自称「経済アナリスト」のコメントよりも、日銀が公表している資料を読むほうがよほどためになります

「経済・物価情勢の展望」は100ページ超に及び、すべて読もうとするとうんざりしますが、実は冒頭の<概要>1ページを読めば言いたいことは書かれています。以下は4月28日発表のものからの抜粋です。

景気の動きは鈍い

わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。2018 年度までを展望すると、当面、輸出・生産面に鈍さが残るとみられるが、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加するとみられる。このため、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる

黄色でマークした部分が「事実」、青でマークした部分が「見通し」です。

世界経済最大のリスクとなっているのが、新興国経済の減速です。特に中国と、原油安の影響を受けた資源国の落ち込みが顕著になっています。文書の後段では詳しい解説もありますが、現状認識としてはこのくらいで十分です。

一方、今後の見通しについては「所得から輸出への前向きの循環メカニズム」というよくわからないフレーズが使われていて、特に根拠がないことがよく表れています。詳細を呼んでも、この部分に関する具体的な記述はありません。後ろ向きなことを書くわけにも行きませんから、「希望的観測」と受け取っていいでしょう。

物価も思うように上がっていない

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる

政府・日銀では「プラス2%前後」を物価目標に掲げていますが、足元ではほぼ0%という状況です。それをエネルギー価格下落に転嫁し、上昇に転じれば物価も上がるとしています。

物価を管理する日銀がエネルギー価格に責任を押し付けるわけにもいきませんから、何らかの施策を行わなければなりません。それが1月に導入されたのがマイナス金利ですが、これまで思うような成果を上げていません。

以上を受け「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続するというのが今回の会合の結論です。今のところ、新たな打つ手なしという印象を受けます。

連休中は波乱相場の予感

<概要>で触れられていないのが為替です。そもそも、日銀の仕事に為替の管理は含まれていないので、書きたくても書けないのが現実でしょう。マイナス金利導入の際は、円安誘導を企図しているのではないかと海外からにらまれました。

その為替ですが、ゴールデンウィーク中に一気に円高が進んでいます。短期的には円高は日本企業の収益悪化要因であり、株価も下落する可能性が高いと考えます。

バリュー株投資家としては、ここで焦るのではなく、虎視眈々と割安になった銘柄を拾っていくことを考えるのがセオリーです。この休み中に投資について考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

コメントを残す

Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

  • 【日産自動車】株価下落で配当利回り6.4%は買える?
    今回は日産自動車についてです。 日産の株価は直近で大きく下げています。 ここまで下がった背景と、日産の今後について考えてみたいと思います。...
  • 3年で80%下落!エムスリーのしくじりはどこに?
    エムスリーの株価は2018年は2,000円程度でしたが、2020年に大きく上がり、2021年初頭には10,000円を突破しました。 しかし、...
  • 【メルカリ】株価はピークの半額以下。業績好調でも下落するのはなぜか?
    メルカリの株価が冴えません。
  • 【日本郵船・商船三井・川崎汽船】利回り5%以上も!海運株は買い?
    今回は、日本郵船、商船三井、川崎海運といった海運株を取り上げます。 海運株はコロナ禍に株価が上がり、一時的なブームで終わるかと思われましたが...
  • オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)の株価が下落している3つの理由
    2024年に入りオリエンタルランドの株価が大きく下落しています。 出典:株探 今回はオリエンタルランドの現状を詳しく分析し、投資リスクを考え...

Article List - 記事一覧Article List

カテゴリから記事を探す