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三菱商事、三井物産などの商社株は「万年割安株」と呼ばれ、PERは10倍前後、PBRは1倍未満に甘んじています。それでも私が商社株への投資をおすすめする理由を紹介します。
三菱商事 | 三井物産 | 伊藤忠 | 住友商事 | |
PER | 11.26 | 13.93 | 6.09 | 7.73 |
PBR | 0.66 | 0.68 | 0.95 | 0.59 |
配当利回り | 3.10% | 3.95% | 4.18% | 4.68% |
時価総額 | 3.01兆円 | 2.30兆円 | 2.19兆円 | 1.33兆円 |
※ 2016年6月3日終値時点
主な事業は「投資」
商社は、昔は企業と企業の間に入り商品の仲介をするのが主な仕事でしたが、現在ではそこから発展し、様々な企業や資源への投資からリターンを得ることが主な事業内容となっています。
投資先は多岐に及んでいます。例えば、三菱商事であれば、ローソンやケンタッキーなどの生活に身近なところから、宇宙開発関連の投資にまで手広く行っています。「コンビニから宇宙まで」を事業領域としていて、スケールの大きさを感じずにはいられません。
単に投資を行っているだけではなく、それぞれの事業において川上から川下まで幅広く手掛けることで、ビジネスの商流を効率化して最終的に投資リターンを得ているのです。これをバリューチェーンと呼びます。
三菱商事や三井物産、住友商事はその名前の通り財閥系ですから、グループ企業と協力することによってより強固なバリューチェーンを構築しているのです。
商社株が割安な理由
一見素晴らしいビジネスを行っている商社が、なぜこんなにも割安に放置されているのでしょうか。
1つは資源分野への偏重が考えられます。特に三井物産は利益の大部分を資源分野からあげていますから、価格変動が激しい同分野のリスクが反映されていると言われていました。
しかし、昨年度は資源価格の下落により大幅な最終赤字を計上したにもかかわらず、三菱商事や三井物産の株価はほとんど下がりませんでした。つまり、資源価格の変動は織り込み済みであり、当該要因による株価下落はこれ以上起こりにくいと考えられるのです。
バリュー株投資では、株価の上昇を目指すよりも、下落を避けることを重視します。株価は常に動くものですから、下落を避けることで上昇の可能性を高めることができるのです。
もう一つ考えられる原因が、コングロマリットディスカウントです。コングロマリットディスカウントとは、企業が様々な分野の事業を行うことで経営資源が分散してしまい、投資リターンを押し下げると考えられているものです。
しかし、幅広い事業が行われているということは、リスクが分散されていると見ることもできます。リスクが分散されているということは、原則としてバリュエーション水準を上げることはあっても下げることはありません。
これは私の仮説ですが、コングロマリットディスカウントとは投資家が複雑な事業内容を調べることを面倒に思い、投資を避けているのではないかと思っています。もしそうであれば、企業の本質的な価値とは関係のない、投資家の心理的な問題です。
バリュー株投資は企業の本質的な価値に投資するものですから、投資家心理により実際の価値からの乖離が起きているとすれば、大きなチャンスです。長期的に見れば、株価は本質的な価値に収斂していくでしょう。
配当利回りは高水準
事業内容が複雑なら、最も単純な投資の考え方として配当があります。
配当は株価の上下に関係なく貰えるものですから、投資のリターンとして第一に考えるべきものです。配当利回りは各社とも軒並み3%以上を維持しています。
配当を再投資することにより、長期的には高いリターンを得ることができます。配当利回りが税引後で3.5%あれば、株価が全く動かなかったとしても、20年で資産を2倍に増やすことができるのです。
商社株は優良な投資信託と見るべき
このように商社株は「割安」「株価の下方硬直性」「リスク分散」「高配当」という好条件が揃った銘柄です。
商社が投資会社であるということに不安を覚える人もいるでしょうが、投資信託は3%以上の配当利回りを約束してくれることはありません。それどころか、ただ保有しているだけで、それ以上に高い手数料をむしり取っていきます。
商社は、自らの知見を活かして一般の投資家では手掛けることのできないビジネスに積極的に投資し、利益成長と配当を通じて投資家に還元してくれます。とても優秀な投資エージェントです。
商社株を優良な投資信託として見れば、長く保有するにはもってこいの銘柄だと私は考えています。
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