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三連休最終日に、ソフトバンクがイギリスの半導体会社ARMを3.3兆円で買収するという驚きのニュースが入ってきました。日本企業による海外企業の買収金額としては過去最大となります。ソフトバンクはどこへ向かおうとしているのでしょうか。
ソフトバンクが買収するARMとは
半導体で有名な会社といえば、「インテル、入ってる」のインテルや、自動車向け半導体のルネサスなどがありますが、ARMのビジネスモデルはやや特殊です。なんと、自ら製造や販売を行っていないのです。それでは何をやっているかというと、ひたすら研究開発に特化しています。
ARMの業績はここ数年うなぎのぼりに上昇してきました。
好調の理由はスマートフォンの台頭です。ARMの半導体の特徴は消費電力が非常に小さいことで、これがスマートフォンのニーズと合致しました。消費電力が小さいことは、電源から離れて操作するモバイル機器にとってとても重要なことなのです。ARMの技術を使った半導体は、世界のスマートフォンの9割以上に搭載されていると言われています。
そんな企業がなぜあまり有名ではないのかと言うと、前述の通り自分で製造・販売を行っていないからです。研究開発をして特許を取り、メーカーがその技術を使って開発する際にはライセンス料、さらには販売数に応じてマージンが入ってくるというわけです。つまり、ARMの技術を使った製品が売れれば売れるだけ、自動的にもうかっていく仕組みです。
優良なビジネスモデルと高い成長性
量産のための工場を持っていないので、自ら巨額投資を行う必要はありません。投資の必要がなく、メーカーが勝手に作るだけ収入が入ってくるので、リスクを抑えて高い利益率を上げることができる、大変素晴らしいビジネスです。これは、以前本サイトで取り上げた素晴らしい会社の条件に当てはまっています。
成長性という観点でも注目すべきです。スマートフォンもまだまだ伸びていくでしょうが、今特に注目されているのがIoTです。IoTとはInternet of Thingsの略で、全てのものにインターネットが搭載されることです。電源から離れたモバイル端末や自動車にインターネットを搭載しようとすると、ARMの半導体技術が欠かせなくなります。IoTの進展に伴い、ARMの収益ますます拡大していくでしょう。
ARMの売上高は現在約1,800億円、純利益は約600億円で、これからどんどん拡大していくでしょう。PERは50倍を超えていますが、純利益が3~4倍になるのはわけない事だと考えられます。買収金額だけ見れば3.3兆円と巨額ですが、ソフトバンクは決して高い買い物をしたわけではないと考えます。
孫社長が見据える先は・・・
ソフトバンクの財務が悪化するという声もありますが、アリババやスーパーセルを売却したことで2兆円以上の資金を得ています。孫社長は、その資金を早速ここに投じる何とも大胆なことを行ったわけです。
以前このサイトにも掲載しましたが、孫社長のようなカリスマ経営者のことを常人が理解するのは難しいでしょう。本人も記者会見でこのようなことを語っています。
今回もわかる人にはわかる、わからない人にはわからない。ほとんどの人はわからないだろうけれど、ARM社の事業がこれからのソフトバンクの主事業になっていく。
正直ソフトバンクがARMを買収して、これからどのような方向に向かっていくのか、完全に理解することはできません。しかし、純粋に投資という観点で見ても、ARMの買収は決して無謀ではありません。キャッシュフローが潤沢な企業なので、財務上の負担にもならないでしょう。
このニュースを受けて、ソフトバンクの株価は10%以上値を下げています。これまでもソフトバンクの株価は十分に割安な水準でしたが、それに拍車がかかる状況です。これまでたくさんの巨額買収を実行し、成功に導いてきた孫社長のことです。今回も何か考えがあってのことでしょう。孫社長が続投する限り、彼の夢にかけてもいいと思える銘柄です。
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