「素晴らしい会社」の3つの条件


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バフェットの言葉に「そこそこの会社を素晴らしい値段で買うよりも、素晴らしい会社をそこそこの値段で買いたい」というものがあります。ここでいう「素晴らしい会社」とはどのようなものでしょうか。

ソフトバンクという会社

2016.06.11

「素晴らしい会社」の3つの条件

私が考える「素晴らしい会社」の条件は以下の3つです。

  1. 特定市場における競争力がある
  2. 巨額の設備投資がいらない
  3. 資本の使い方がうまい

あまり細かいことを言えばキリがありませんが、大枠はこの3つの視点で会社を見ます。

特定市場における競争力がある

「特定市場における競争力」とは、バフェットの言う「経済の堀」を持っていることです。競合他社の参入が難しい場合や、商品が消費者に深く根付いている状態のことを言います。

経済の堀を持っていることで、長い期間にわたって利益を生み出し続けることが可能なため、その会社の価値は足元がおぼつかない会社に比べて高く評価できます。

市場シェアは、会社の競争力を表す最も端的な指標です。何らかの強みがあるからこそそのシェアを取ってきたということですし、市場に大きな変化がなければ簡単に奪われるものではありません。

ここで使うシェアは、必ずしも一般的な調査に出てくるものとは限りません。規模が小さなニッチ市場地域限定のローカル市場でも、そこに需要がある限り独占的な地位を築くことが出来ます。

例えば、国内のネットショッピングで大きなシェアを持っているのはアマゾンや楽天ですが、「中小企業の間接資材」に限定すればモノタロウがほぼ独占的な市場を形成しています。規模で敵わなくても、ニッチな市場での地位を揺るぎないものにすれば、多くの利益を生み出し続けることができるのです。

競争力がある会社は、利益率も必然的に高まります。消費者はその会社から商品を買わざるを得ませんから、高い価格で販売できます。結果として生み出された利益を利用して、さらに競争力を強化できるのです。

巨額の設備投資がいらない

巨額の設備投資がいらないということは、リスクを避けるという観点から重要です。

競争力を保つために巨額の設備投資が継続的に必要になるならば、会社は大きなリスクにさらされます。計画どおりに市場が拡大を続けている間は問題ありませんが、市場の縮小や、強力な競合の出現により、設備投資が無駄になって巨額損失を生むことがあります。シャープの液晶事業の事例はまさにこの結果です。

シャープはこれからどうなるか

2016.02.11

これは成長産業でもよく見られる現象です。成長産業で競争に打ち勝つためには、多くの場合多額の設備投資を続けなければなりません。革新的な技術を開発したとしても、またすぐにその技術が陳腐化してしまうことも多く、利益を生み出す暇もありません。

技術開発は人類にとって大きな利益を生みますが、それを開発する会社の利益や株主にとっては必ずしもプラスになるとは限らないのです。

資本の使い方がうまい

会社の経営者は株主から与えられた資金と、それをもとに生み出した利益を事業に投資することで成長を目指します。

株主のお金から生み出された利益(純利益)は株主のものですから、本来は還元されなければなりません。経営者がそれを再投資に使えるのは、株主が別の物に投資するよりも大きな利益を踏み出せるという前提があってのことです。

ROEは株主のお金を使ってどれだけ利益を出せるかを表す指標です。株主のお金をうまく活用できないのであれば還元すべきという、コーポレートガバナンスの議論につながってきます。

株主が最も信頼をおける再投資先は、実績をあげている既存事業への投資です。市場が拡大を続けているのであれば、ノウハウを持っている会社は高い確率で利益を高めることができるでしょう。

それ以外の事業への投資は、決して成功確率は高くありません。ユニクロの柳井社長が言っているように、事業の成功確率は「1勝9敗」です。そのため、関連事業への投資は株主が嫌がることが多いのです。

だからといって、単独事業だけでは成長に限界がありますから、関連事業への投資が必要になるタイミングがあります。株主のお金をいかに高い確率で成功する事業に投資できるかが、経営者の能力を見る上で重要なポイントです。

高く買っても意味がない

私から見て、上記の条件を満たす会社がいくつかあります。例えば、パーク24セコムオリエンタルランドです。これらの会社は特定の市場において独占的な地位を築いていて、追加的な投資も必要がなく、資本を自社が得意とする既存事業に投資しています。

しかし、これらの会社に投資すればもうけられるわけではありません

これらの会社が優良企業であることは、ほとんどの投資家が知っています。だからこそ市場で高い評価を受けるのですが、PERはそれぞれ35倍、20倍、29倍と、東証平均の14倍を大きく上回ります

割高な株価で買うと、値下がりのリスクを避けることができず、どんなに良い会社でも投資する意味がありません。圧倒的に割安な株価で買うこと難しいかもしれませんが、バフェットの言う「そこそこの値段」では買いたいところです。

バリュー株投資の考え方を実践するには、素晴らしい会社を価格が上がる前に見つけるか、何らかの理由で株価が下がるタイミングを見極めて投資することが必要です。

つばめ投資顧問では、割安な銘柄とともに素晴らしい会社を「そこそこの値段」で買うタイミングを皆様にお伝えしたいと思っています。サービス開始までもうしばらくお待ちいただければと思います。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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2 件のコメント

  • 貴兄の鋭い投資眼に大いに期待しております。今後もユニークなコメントをお願いいたします。

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