生成AIブームで日本の半導体銘柄は宝の山に!

生成AIブームでNVIDIAの業績予想が大幅に上がったことで株価も急騰しました。
NVIDIAに関連するところで、日本企業にも大きなチャンスが眠っているのではないでしょうか。

NVIDIAの解説はこちらの記事をお読みください。
【NVIDIA(エヌビディア)】PER200倍!それでも買える!

半導体”製造”における日本企業の圧倒的シェア

今回は半導体全体についての話になります。

今、半導体業界は少し落ち込み気味となっています。
コロナ禍でIT需要が伸びて一時は好調でしたが、一方で半導体には「シリコンサイクル」というものがあり、一度伸びた後には反動で落ち込むことがあります。
直近ではその波が下方向に向かっていて、半導体業界が冷え込みつつある状況でした。
しかし、ChatGPTなどの生成AIブームによりまた半導体に大きな盛り上がりが訪れました。

生成AIに使われているのが、今までの「CPU」ではなくて「GPU」というものです。

参照:カゴヤのサーバー研究室

「CPU」は複雑な計算処理を行って一つの答えを導き出すものであるのに対し、「GPU」は同時並行的に大量に処理を行うものです。
この「GPU」が生成AIに向いていたということです。
また、GPUはCPUに比べてかなり多くのチップを必要とします。つまり、AIの発展には大量のチップが必要ということになります。
メインがCPUからGPUになることで、落ち込んでいた半導体市場が一気に盛り返すことになるのではないかと私は考えています。

NVIDIAは設計を行う会社で、製造はTSMCやSamsung、Intelなどが行っていて、そこに『製造装置』を納入している日本企業は再び活性化してくると思われます。

今はNVIDIAが独占状態となっていますが、経済の原則として、儲かるところには「競合」が現れます。
競合が増えたところはやがてレッドオーシャンになっていきます。
一方で日本企業がやっているのは、製造プロセスにおいてかなり限定されているものの他の会社には真似されない領域です。
日本のメーカーの半導体製造装置のシェアは、シリコンウェーハ62.2%、フォトレジスト84%、コータ/デベロッパ92.1%、洗浄装置69.4%、ダイシングソー100%、テスティング64.1%と、相当高いシェアを持っています。
この分野では明確な競合がいないので高い利益率を維持することができます。
一方で、最終的な製品ではなく、部材や一部の製造装置を作っているに過ぎないので、市場自体は大きくありません。
しかし、その分野に関してはこれらの企業に依頼せざるを得ず、高い利益率を保持したまま半導体市場の成長とともに大きくなって行ける企業が日本企業にあふれています。
地道な研究開発を続けた結果が今につながっているように見えます。
かつては自動車業界で行っていたことが、メインが半導体製造という分野に移りつつあるということです。
目立たないものの、”小さな池の大きな魚”ということで利益を享受している企業群が多くあります。

『お宝』日本企業

それでは具体的な企業の話に入ります。
今回のNVIDIAの決算と株価上昇を受けて関連銘柄も大きく上昇しています。

アドバンテスト

まずはアドバンテストです。
半導体がちゃんと動くかテストをする機械を作っている会社です。

5年のチャートを見ても圧倒的に上昇しています。
なぜ上がっているかというと、NVIDIAのアニュアルレポートにアドバンテストから商品を買っていると明確に書かれていて、関連銘柄として間違いないからです。
NVIDIAが上がった瞬間に一気に上がりました。

しかし、私の”投資判断”としてはアドバンテストには慎重です。
なぜなら、アドバンテストの主要顧客はNVIDIAではないからです。

地域別の売上高を見ると、アジアが88.4%、米州が4.9%です。
NVIDIAはアメリカの会社なのでこの4.9%の部分に含まれることになり、仮にNVIDIAが絶好調でそこからの受注が伸びたとしても全体に与える影響はそこまで大きくないのではないかと思います。
また、株価が上がってしまっていて、PERは42倍となっています。
成長企業としては許容範囲内ですが、これだけ急に上がったとなると当面は調整の色が強くなるのではないかと思います。
NVIDIA関連ではありますがそこまで色濃くはないと言えるでしょう。

もっとも、これまで業績を伸ばしてきていますし、「テスター」のシェアは圧倒的なので今後期待ができる銘柄ではあります。
ただ、目先で少し上がりすぎているかなというところです。

イビデン

続いてイビデンです。
半導体の「基盤」を作る会社です。

アドバンテストと同様にNVIDIAのアニュアルレポートに取引先として掲載されています。

株価も同じように上がっています。

半導体の基板ということで、半導体を作る分だけ出荷することになり、少なくとも売上数量はどんどん伸びていくことが想定されます。
半導体市場全体に左右される部分はもちろんありますが、非常に手堅い銘柄だと思っています。
PERは32倍で、アドバンテストほどは高くなくて、目先で上昇したものの、まだ面白いのではないでしょうか。

ディスコ

私が”ガチ”で考えているのがディスコです。
先ほどシェア100%とあった「ダイシングソー」という半導体を切る機械を作っているのがディスコです。

株価はうなぎ上りです。

業績も右肩上がりとなっています。
GPUには大量のチップが必要で、その分「切る」作業も増えてくるので、ますますディスコに対する需要も増えてくるだろうと考えられます。

PERは昨年の業績で計算すると30倍くらいで、シェア100%でこれだけ業績を伸ばしているということになると30倍ならそこまで高くないという印象です。

今後も注目していきたいです。

まだまだある!半導体関連

これまではNVIDIAの恩恵を受ける企業を紹介してきましたが、GPUの需要の増大がシリコンサイクルを反転させてさらに大きく拡大するフェーズに入ってくると考えられます。
そう考えると、NVIDIAに直接つながっていなくても、半導体を作るという観点ではCPUもGPUも関連性があり、CPUに使われているものがGPUにも使われることもありますし、AIのためにサーバーを作るとなるとそこにCPUやメモリも必要ということになります。
そうやって半導体市場が再活性化することが考えられます。

あとはお客さんであるMicrosoftやGoogleの懐事情によるものもあります。
生成AI自体は無料で提供されているもので、それで儲けているわけではありません。
そう考えると、どこまでお金の供給が続くかというのが今後の半導体市場の焦点になると思われます。
一方で、「どれだけお金がかかってもやる」という企業の競争になってくるとどんどん市場が拡大すると想定されます。

半導体市場全体で考えると、例えば東京エレクトロンがあります。
様々な半導体製造装置を提供しています。

直近で上がりましたがまだ最高値は超えていません。
PERは30倍程度にとどまっています。

半導体のウェーハを提供している信越化学工業は最高値を更新してはいるものの、直近のEPSに対するPERは14倍程度となっています。
足元で円安やアメリカの住宅市場が好調だったこともあり、業績的には少しバブリーな部分もありますが、半導体市場の拡大を考えるとまだまだ面白い銘柄です。

PERが高いところではレーザーテックもあります。
PERはなお60倍以上ありますが素晴らしい企業であることは間違いなく、半導体市場の拡大があればもしかしたらまだ上を見込めるかもしれません。

『グローバルX 半導体関連‐日本株式 ETF』のすすめ

このように日本市場には様々な半導体製造関連の企業があります。
良いものが多くて逆に悩んでしまうかもしれません。
そんな方におすすめなのが『グローバルX 半導体関連‐日本株 ETF』というものです。
簡単に言うと、日本の半導体関連企業をごっそり入れたファンドといったところです。
ETFなので手数料が割と低く抑えられています。

これまでの推移を見ますと、設定来ではそれほど上がっていませんが、まだまだこれからというところです。
少なくともこの中に様々な半導体企業は既に入っていて、一社一社細かく判断することは自分ではできませんが、とにかく半導体関連を買っておきたいと考えるならこれで十分なのではないかと思います。

銘柄コード2644、組み入れ銘柄はレーザーテック、HOYA、アドバンテスト、ルネサスエレクトロニクス、信越化学工業、ディスコ、東京エレクトロン、ローム、旭化成、SCREENホールディングスと、メジャーどころは入っているので、ぜひ検討してみてください。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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