資生堂ストップ安!買いか?

今回は資生堂についてです。

資生堂は11月10日の金曜日に決算を発表し、そこで業績の下方修正が行われました。
そして翌週の月曜日、13日には株価がストップ安となりました。
資生堂のような大企業がストップ安になることはそう多くはありません。
一方で、株価の下落は一時的な反応であり、買いのチャンスだと捉える人もいるのではないでしょうか。

今回は資生堂の状況を冷静に分析し、今後の投資戦略を考えていきたいと思います。

下方修正でストップ安

10日の決算発表を受けて、資生堂の株価はストップ安となり、一日で約20%も減少しました。

出典:Google

株価は5000円ほどあったものが4200円ほどまで下がりました。
ここまで上がってきていて下がったのであればプラマイ0ということにもなりますが、年初来の資生堂の株価動向を見ると、基本的に右肩下がりで推移しています。

このストップ安の要因は通期業績予想の下方修正です。
第3四半期の決算発表で、資生堂は2023年12月までの通期業績見通しを示しました。

出典:プレスリリース

売上高は変わらないものの、コア営業利益は予想されていた600億円から350億円に減少し、41%の減少となりました。
税引前利益も470億円から270億円に減り、42%の減少となっています。
元々コア営業利益で増益予想だったものが、かなりの減益となりました。

下方修正のワケ

下方修正の主な原因は、中国事業におけるものです。
中国における景況感の悪化やALPS処理水(原発処理水)の海洋放出後の日本製品の買い控えが、資生堂の業績に影響を与えたと説明されています。
資生堂の業績には中国の影響が大きかったということです。

資生堂はここ数年、中国市場に力を入れており、それによって中国での売上が拡大していました。

資生堂 ドルチェ&ガッバーナ(D&G)・TSUBAKI撤退の真意!【ニュース×投資脳#04(2021 04 30)】

特に2018年頃には、いわゆる「爆買い」ということで日本にも中国人観光客が押し寄せてきて、資生堂を含む化粧品などを多く購入していました。
売れるものが高級品ということもあり、利益は大幅に伸びていきました。

出典:マネックス証券

中国経済が好調であったことや、経営者の影響があったとされています。
CEOに就任した”プロ経営者”である魚谷氏が経営改革を行い、『選択と集中』を掲げ、中国市場に焦点を当てて業績を伸ばしてきました。

出典:資生堂HP

2018年には1908億円だった中国での売上が、直近では2500億円になっています。

逆に日本においては売上を減らしてきています。
特に2021年には「TSUBAKI」や「UNO」といった日用品ブランドを売却しました。

足元ではコロナ禍もあり、厳しい状況がありました。
しかし、コロナさえ終わればまた元の状態に戻るだろうという期待も大きかったのではないかと思います。
実際に2021年12月期には業績も回復しました。
ところが2022年12月期には、中国のコロナ規制が厳しかったこともあり業績がまたマイナスになってしまいました。

2023年になると、中国のゼロコロナ政策も終了し、業績も戻るかと思われていた中での今回の下方修正です。

この下方修正の主な原因は、中国市場における逆風です。

原発処理水問題

資生堂の説明としては、原発処理水による日本バッシングが起き、日本のブランドとしての価値が低下し、商品が買われなくなったということですが、この説明が下方修正の理由として妥当かどうかは疑問が残ります。
中国での日本企業に対するバッシングはそこまで大きくなかったのではないかと感じています。

不動産バブル崩壊

なにより、不動産バブルの崩壊により、中国の経済が今苦しくなっていて、富裕層が急激に財布の紐を締め始めています。
資生堂は中国において高級ブランドとして利益率の高い高級品を売っていたのですが、富裕層の財布の紐が締まることでその市場自体が苦しくなっています。

現地メーカーの台頭

また、中国現地メーカーの台頭による競争激化の影響もあります。

出典:東洋経済ONLINE

中国市場では、マーケティングの手法としてインフルエンサーを使用したものが主流となっていて、資生堂もその手法で行っていたのですが、販促する代わりに低価格で販売することを持ちかけられ、結果として資生堂のブランド価値を低下させることになってしまいました。

マーケティングにおいては現地メーカーに利があるということになります。

成分開示義務化

また、化粧品の成分の開示義務化も、資生堂にとって不利となります。
中国メーカーは資生堂と同様の成分を使用し、それを安価に提供できるため、資生堂と同じ成分の商品が安く市場に溢れることになり、資生堂も価格を合わせなければならなくなってしまいます。
成分の開示義務化はまだ行われていませんが、2024年1月には開示が義務付けられることになります。

 

資生堂が行ってきた「ブランド」というマーケティング手法が通用しづらくなっていくのではないかと思われます。

結論:買えない

資生堂が中国市場にベットしてきたことが、結果的にはハイリスクであり、その悪い部分が今降りかかっている状況です。

中国での事業が不振なら日本に戻ればよいのではないかと思われるかもしれませんが、実際のところ、資生堂は今、日本市場でも調子が悪い状況です。
今期において、日本の事業は赤字であり、コロナ前と比較しても売上が戻っていないのが現状です。

皮肉なことに、資生堂が2021年に売却した日用品事業が好調で、今や利益率が10%を超えています。
一方で、資生堂の利益率は今期の下方修正後で3%に満たない状態です。
日用品事業に集中する方が良かったのではないかという結果となっています。

 

今回、株価はストップ安となりましたが、それでなくても株価は下がってきていて、長期的に見ても、今資生堂を買う理由はなかなか見出せません。

原発処理水の問題で一時的に下がったから買いという状況では決してないと思います。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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1 個のコメント

  • 中国リスクは以前から指摘されているにもかかわらず、経営者の中には中国はまだまだ大丈夫との意識を持っている人もいるようです。中国リスクは、経済だけで無く政治リスクが大きいとの認識を持つ必要が
    あると思います。

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