今回は、円高および円安による影響を受ける銘柄について考えていきたいと思います。
基礎的な知識として、円安および円高の影響を受ける具体的な銘柄も含めて紹介します。
それが分かっていれば、より腰を据えた投資が行えると思います。
目次
為替の考え方
私の為替に対する考え方としてこのようになっています。
- 現在の円安は、購買力平価で考えると 行きすぎ
- ただし、円安がいつが解消されるかは わからない
- どちらに転んでも 長期的に成長する銘柄 を買う
- 長期的に成長する海外で成長=円安メリット銘柄 が多い
- 国内で盤石 な企業は円高の恩恵を受けやすく安定
詳しくは先日公開された記事『【2023年12月】円安はどこまで続くのか?為替を動かす「本当の力」を解説』をお読みください。
為替は読めるものではなく、なおかつ為替の影響は避けられないものなので、円安の恩恵を受ける銘柄と円高の恩恵を受ける銘柄を組み合わせることで、長期的に安定感のあるポートフォリオとなるでしょう。
円安/円高でメリットのある企業とは?
円安・円高の恩恵を受けるものにはどのような銘柄やセクターがあるか、具体的に見ていきましょう。
円安のメリット
円安のメリットとして、まず輸出による競争力強化が挙げられます。
円安になると、製造原価が低下し、同じ品物でも競争力が向上します。
これにより、価格競争で日本の製品が選ばれやすくなり、利益も増加することが期待されます。
また、円換算効果もあり、輸出企業は円安時には円で表した時の売上が増加し、業績アップにつながります。
ただし、近年は多くの企業が海外に直接進出しており、海外で生産している場合は競争力強化のメリットは無くなってしまいます。
さらに、海外資産の増加も円安のメリットとして挙げられます。
海外子会社を持つ企業は、損益計算書上では現れないですが、含み益の形でバランスシートが膨らむことになります。
これらのメリットを享受しやすいセクターとしては、製造業が挙げられます。
日本は製造業が強く、物を作って海外に輸出する企業が多いため、これらの企業が円安のメリットを受けることになります。
また、海外にグループ会社を持つ企業も円安の恩恵を受けやすい傾向にあります。
日本の上場企業全体を見た時に、相対的には円安のメリットを受ける銘柄の方が多く、株式投資家としては円安の方が都合が良いということになります。
もちろん、円安だと輸入物価が上がるなどして国内の生活者には悪影響があるので、一長一短の側面があります。
円高のメリット
今度は円高になった際のメリットや、そのメリットを享受しやすい企業について考えてみましょう。
円高のメリットとして、輸入価格の下落による原価低下が挙げられます。
これは、円高の時に、海外で生産された製品を安く仕入れ、それを国内で低価格で販売することで、企業が利益を上げやすくなるということです。
過去の円高時にはデフレの時代があり、企業としてはファーストリテイリングやユニクロ、ニトリなどが大きく伸びた時期がありました。
この時、円が強かったため、海外で製造した商品を低価格で仕入れ、それを低価格で販売することで利益を上げることができました。
100円ショップもその例に該当し、売価が100円で決まっている中で原価を抑えた分利益が増えることになります。
ただし、円高は輸出企業にとっては厳しい側面もあり、日本全体の株価にとってはマイナスの影響が大きいです。
円高時にメリットを享受しやすいセクターとしては、食品や小売業、特にユニクロやニトリのような国内で高いシェアを持つ企業が挙げられます。
これらの企業は、競争にも強く、円高の状況下でも国内で競争力を強化することができます。
為替に関する注意点
企業を個別に見る際に、損益計算書に記載されている「為替差益」や「為替差損」は、実際の為替の効果ではなく、主にデリバティブ取引や金融取引から得た利益が反映されています。
為替の影響を数値で示すことは難しいため、公式資料では為替のメリット・デメリットは表示されていません。
為替の影響を確認する手段として、企業が過去の傾向から1円円安が進むとどれほど営業利益が増減するかを示している場合があります。
これは決算説明資料などで確認できるもので、会計資料として示されることはないため、注意が必要です。
為替予約に関しても、これも金融取引であり、一時的には為替の影響を軽減できますが、為替換算や長期的なトレンドには効果がありません。
為替のメリットを受ける銘柄の見つけ方
株探
特に分かりやすいのが「株探」です。
”円高メリット銘柄”でGoogle検索すると、株探のページがすぐに出てきます。
全てを見るのは大変なので、東証プライムに限定したり、時価総額別で表示(プレミアム機能)したりして、ある程度絞り込んでから個別の銘柄を見ると良いでしょう。
円安メリット銘柄についても同様です。
マネックス証券銘柄スカウター
マネックス証券に口座を開けば無料で使えるものです。
10年スクリーニングの「条件を追加する」のところから「海外売上高比率」にチェックを入れると、ソートすることができます。
こちらも全て見るのは大変なので、【東証プライム、時価総額5,000億円以上】など限定すると良いでしょう。
海外売上高比率が高いということは円安のメリットを受けやすいということとなり、逆に海外売上高比率が低いと国内産業ということで円高のメリットを受けやすいということになります。
円高メリット銘柄…アサヒGH、日清製粉、明治
それでは具体的な銘柄を見てみましょう。
アサヒグループホールディングス
業績は良い感じで伸ばしてきています。
ビールはオワコンと言われていますが、海外企業の買収なども行いつつ、国内でも盤石な地位を築いています。
アサヒは海外売り上げが50%近くになっていて、円安メリット銘柄の側面も持っています。
日清製粉
明らかな円高メリット銘柄として挙げられるのは日清製粉です。
直近では値上げが奏功そて大きく利益を伸ばしました。
長期で見ても右肩上がりに業績が伸びています。
株価もじわじわ伸びていて、直近では円高期待もあるのかと思われます。
明治
明治も面白いと思います。
コロナ禍では原材料高もあり苦しみましたが、それ以前は調子よく伸びていました。
これから円高の恩恵も受けられる可能性もあり、注目していてよいかもしれません。
ニトリ
業績は見事に右肩上がりとなっていて、理想的な形と言えます。
国内では高シェアを持ち、円高の恩恵を受ける銘柄の代表格です。
チャートは上がったり下がったりしていますが、円高となると株価も上がってくると思われます。
ニトリの長期的な課題としては、国内の市場を取り尽くした感があり、今後どう成長していくのかということがあります。
円安メリット銘柄…トヨタ、半導体関連、村田製作所
円安の恩恵を受ける銘柄も見てみましょう。
トヨタ
代表的なものはトヨタになります。
少しずつですが業績も伸ばしてきていて、最近ではコロナ禍の反動増と、円安の恩恵を受けて右肩上がりとなっています。
株価も直近では円安の恩恵を受けて大きく伸びています。
半導体
半導体関連銘柄も円安の恩恵を受ける代表的な銘柄です。
東京エレクトロンを例に見ますと、直近では半導体不況もあり落ちていますが、長期では右肩上がりとなっています。
最近では「円高に向かう」と言われながらも株価が伸びていて、それだけ半導体に対する期待が大きいのだと推測されます。
村田製作所
村田製作所も長期で業績を伸ばしています。
ただし、村田製作所は為替だけでなく景気の影響も大きく受ける銘柄です。
株価は一つの要因でのみ動くものではないので注意しましょう。
セブン&アイ
メーカー以外だとセブン&アイホールディングスなども面白いと思います。
実は今の稼ぎ頭は海外コンビニエンスストアであり、円安恩恵銘柄なのです。
しかも、もちろん国内でもしっかり経営しているので円高の恩恵も受けられるため、円安・円高のどちらにも対応できる銘柄だと思います。
株価も手堅く推移しています。
リクルート
製造業以外の円安恩恵銘柄としてリクルートも挙げられます。
indeedが好調で、売上はドルで計算するので円安になれば恩恵を受けることとなります。
売上の6~7割が海外となっていて、業績も伸ばしています。
リクルートも、国内でも様々な事業を行っていて、為替に関してはフラットな会社と言えます。
為替からの脱却
セブン&アイやリクルートのように、元々内需系の企業だったものが海外に進出し成長することで、為替のデメリットを受けにくくなります。
それを着実に達成してきたのがユニクロのファーストリテイリングです。
国内からアジアに進出し、最近では欧米でも売れています。
売上も海外の方が大きくなっています。
こうやって成長していくことで、為替の影響を軽減することができます。
私たちのポートフォリオも、成長しながら同時に安定性も高めていくことが理想だと思います。
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